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Baroque Academy / シティスクールストーリー  作者: 原作:Rebecah Creative Studio / シナリオ原案:桃太郎V
第二部
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53/55

終章 最後のスクールライフ(Final)

 学園長「ラザール夢ノ橋」。年齢は物語開始時では55歳、2012年現在は58歳。性別は男性。役職は学園長。彼の能力「インスタント・フレーバー」は、カップ麺にお湯を注いで3分または5分待てば、猛り狂う対象者達の戦意を奪う芳香を発する。


 文字通りの学園長、大変温和で、いつも生徒達を気にかけていて、あえて生徒会の暴走を放置、帰宅部を容認し、自分の首が飛ぶことも覚悟で、彼らに未来を委ねる決心をしたという。


 お茶目のある人物で、生徒人気も上々。肥満を指摘されると激しく落ち込んだのち、生徒に対しては液体スープを、職員に対しては熱湯を飛ばしてきた。


 身長は現在の「雅史(2012年時点では170cm超え、大空翼並みのデカさ)」より低い、おおむね166cmくらい。体重は現在の「健太」並み、78kg近く。


 そんな学園長だが、彼に誰にも言っていない秘密が隠されていた。そう、彼の正体は、時間遡行(じかんそこう)を繰り返してきた、いわゆる半分未来人のようなもの。裏を返せば、ネットから消えた元の世界の人物「マカズ」の未練、心の残滓から生まれた存在ということになる。「夢ノ橋」の名を持つ人物として2007年12月30日6時25分より転生して、元の世界同様の人生を歩み、2009年4月6日0時34分に「誘い受けから出たまこと」のごとく「樋串武」と名のついた学校創立を決意して、2009年7月27日0時14分27秒に完成して3年半後、2012年12月最後に閉校した。そして消え、3度目の人生として「夢ノ橋」の名を持つ人物として、その繰り返し。円環のように転々と繰り返し、繰り返し。何度目かは忘れたが「ラザール夢ノ橋」として転生した彼は元の世界同様の人生を歩み、同じことの繰り返しをしてきた。分岐点がいくつかあるとはいえ、「長門有希」的にいうと「今回が52334回目に該当する。」。この世界、「レベッカ」のいる世界に「夢ノ橋」の名を持つ人物が時空の彼方から来たのだろう。


 学園を閉校する理由は不明だがひとつ確かなことがある。


 2012年10月31日 2時2分〜4分 Twitter


「(教唆女・由紀乃:)一緒に死のうよ。冬の海に服を着たままザブザブ入って行って離岸流に流されて遭難して死にたい。」


 彼女が「夢ノ橋」を唆した。ただそれだけが閉校の動機になり得る。


 ここは7人の夢の中。心の奥の切なる願望を見るための、覚めない夢の中で、終わりのない夢を見続けるものだ。


 「ラファエル」と「ダイアナ」の願望は、11年前にWTCの下敷きとなってこの世を去った両親の温もりを感じるもの。「ハイペリオン」の内なる欲望は、「アトラス家」を守る「スーパーガーディアン」として従事するもの。


 「ハンナ」の切望は、「雅史」とともに過ごす時間。2年前のせいで大きく狂ってしまったのも無理はない。


 「エドガー」の希望は、未来の子の教育。「雅史」の夢は、仲間とともに過ごす時間。


 6人は自分それぞれの夢(裏を返せば、都合の良い夢)を見せられて、抜け出すことは難しい。


 肝心の「清子」は...。


「(清子:)またあの夢ですの?わたくしの前から出ていって頂戴(ちょうだい)。」

「(夢の中の貞夫:)君の心の奥底に未練がある限り、何度でも君の前に僕が現れる。」


 またもやフォルテ中学校在学時代のことで、告られるも振ったはずの男子こと「佐々木貞夫」が「清子」の前に出てきたのである。失望か絶望か。


「(清子:)わたくしはあなたに構っている暇はありませんので。」

「(夢の中の貞夫:)河川敷で練習している彼のためか?」

「(清子:)...あなたには関係ありません。」

「(夢の中の貞夫:)今の君に何ができる?この前とは違い、出口が塞がれていて、現実に戻るのは困難だ。」


 今の状況は前回とは違い、自力で目覚めるのは難しい。場面を「雅史」および「ハンナ」に切り替えれば進展するはず。まずは「ハンナ」から。


「(ハンナ:)...雅史くん、最後まで一緒にいられなかったことを私は後悔している。」

「(夢の中の雅史:)...それは違うよ。」

「(ハンナ:)...?雅史くん...もうひとりの雅史くんというべき?あなたは確か...。」

「(平行世界の雅史:)そうだよ、別の世界線の僕だよ、もうひとりの姐さん。それにしても、君はこっちの姐さんとは変わらないね。」

「(ハンナ:)そういえば、覚えのない記憶によると、あなたのその携帯電話。私の知っている雅史くんとは違う機種で、こちらの清子さんのものと同じだったような。」

「(平行世界の雅史:)僕の知っている姐さんの携帯電話は君とは違うね。よく見ると、機種が違うし。」

「(ハンナ:)あ...。そういえば新しい携帯電話に乗り換えてなかった。そろそろ替え時かしら。」

「(平行世界の雅史:)まあ、それはさておき、ここを抜け出さなきゃね。どうやって出ようかな。僕の知っている姐さんは今頃、もうひとりの僕と話しているだろうだし。」


 次は「雅史」の場面。


「(平行世界のハンナ:)夢の終わりよ、雅史くん。」

「(雅史:)あれ?僕の知っている姐さんじゃない。誰かな?」

「(平行世界のハンナ:)私は別世界の私。起きて、現実に戻って。」

「(雅史:)...そうか、僕は今、学園長と戦っている最中だったね。清子たちを助けなきゃ。」

「(平行世界のハンナ:)目覚めるメロディー聴かせてあげる。私が吹くから、その音色聴いて。」


 平行世界の「ハンナ」は手元のオカリナを吹き、「雅史」を無限の夢から抜け出すのを試みる。


「DBDB_D_A__D.(レシレシーレーラーーレ)」


 彼らの意識は「ローズマリー」の怪異の力を通して繋がっている。そろそろ目覚めの時だ。


【Final-Phase】

「(清子:)...。」


 夢の中の「貞夫」との揉め事の末に「清子」は誰よりも早く目覚めた。「雅史」は「目覚めのメロディー」を聴き、「ハンナ」は夢の中でオカリナを吹き、自力でなんとか脱出できたが「ラファエル」と「ダイアナ」は両親の温もりに引きずられていて、「エドガー」は未来のある「セレーネ」の教育に集中していて、未だに目覚めない。「ハイペリオン」は、自分が思っていたのとは違うのか自力で夢から覚めた。


「(ハイペリオン:)退屈な夢なんかより、現実のほうが楽しい。さぁ、御主人様、夢の終わりですよ。超官も。」


 奪われた能力は学園長の手にある。一度奪われた対象者は二度とその能力は使えなくなる。だがそれは第一能力の話。第二能力が使えなくなるなんてことは一言も言っていない。


「(ラザール:)...能力を奪い尽くしたんだけどね。」

「(ローズマリー:)よそ見をしている場合か。」


 「ローズマリー」は引き続き、学園長「ラザール」との戦闘を継続している。その隙にすべて奪われなく手元に残っていた「ハイペリオン」の第二能力を行使し、3人を現実に戻す。


「(ラファエル:)...いい夢を見ているときに.....。」

「(ハイペリオン:)寝言言ってる場合ですか御主人様!!今はラザールの真意を知ることですよ!!」

「(ラファエル:)...温もりを感じてわかった。ラザールの望みは、俺らに終わりなき夢を体験させることだったんだ。俺にはさっぱり理解できないがな。」

「(清子:)くだらない悪夢を見せ、過去にわたくしを縛りつけようが過ぎたことです。もう終わりにしましょう。」

「(雅史:)僕たちには未来がある。勇気があれば未来だって変えられる。だから僕たちは希望をもって前に進む。だから、楽しかったスクールライフを終わりにしよう。清子、ラファエル、究極奥義で幕を閉じよう。」


 「雅史」の究極奥義「ジ・アース」は、7人の想いが込められたエネルギーを放つもの。「雅史」、「清子」、「ラファエル」が合掌するための中心に立ち、周囲から4人のエネルギーが送られ、蓄積したエネルギーと主役3人が上昇、巨大化したエネルギーに3人が同時に突進し、エネルギーが7に分かれ、再び結束した光の矢は対象に降り注ぐ。


「(ローズマリー:)あれが噂の究極奥義か。」


 「ローズマリー」は究極奥義の餌食にならぬよう退くとして、究極奥義に対する「ラザール」は奪取した能力のひとつ「どすこいパヴィース」で、自身を一定時間無敵状態にして防ぐ。


「(ラザール:)この能力さえあれば、私は無敵さ。」

「(雅史:)僕たちの絆はこんなものじゃない!!清子、星を落としてよ。」

「(清子:)わたくしの能力はまだ残っています!!オトナさんから賜りし究極奥義で、学園長の夢を終わらせます!!」


 2年前より「マイケル」に伝授されしかつ「鵲一族」に伝わる究極奥義「コメットストーム」で、学園長の頭に降り注ぐ。「ジ・アース」に並ぶ高威力奥義だ。


「(ラザール:)そんなコトしても無駄だ。」

「(ラファエル:)それはどうかな。ザ・ワールドォ!!トキよ、動き出せ!!」


 3.5秒間時を止める能力を吸い取られたにもかかわらず「ラファエル」は逆の力を発動する。「ジ・アース」と「コメットストーム」を対象に3.5秒間、時間を速めることで威力を向上する。


「(ラファエル:)2人の奥義を速くするだけ...だと思ったら大間違いだ!!シンクロ技を超えたシンクロ技、すなわち、3人の、7人の力を合わせたリミットオーバーシンクロ奥義だッ!!」

「(ダイアナ:)あたしだって、手伝えることがあるのよ!!ッアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!」

「(ハンナ:)雅史くんを援助するために、さらなる力を加えなきゃ。オカリナを手に...。」

「(エドガー:)一肌脱ぐとしますか。」

「(ハイペリオン:)いい加減目を覚ましてくれよな。」


 「略奪」で奪えないもの、第二の能力だけに限らず。それは絆だ。7人の絆パワーが学園長の夢に大きく勝っていた。


 「ダイアナ」の第二能力「増幅音波光線(アンプリファイア・サウンドウェーブビーム)」、「ハンナ」のこれまで隠された能力「楽器の力(パワー・オブ・ミュージカル・インストゥルメント)」、「エドガー」の奥の手「北極星強化(ポーラスター・ブースト)」、「ハイペリオン」の第二能力「夢の終わり(エンド・オブ・ドリーム)」が3人の助けになり、「ラファエル」の第二能力「リミテッドカオスコントロール・ファストタイム」が2人の助けになり、「雅史」の究極奥義「ジ・アース」、「清子」の究極奥義「コメットストーム」が学園長を討ち破る力になり、学園長の夢は終わりを迎えるのであろう。


 学園長「ラザール」は7人の絆に敗れ、今日中にわたる最後の能力バトルに幕を閉じた。


 学園長は何を望んでいたの?


 楽しかったあの頃をもう一度。消化しきれなかったものを、一番やりたかったことを、思い描きたかったことを、時間遡行してまでやり直した。


 もう一度思い描きたかった「内部校争」と「能力バトル」。「序章 学園の始まり」は彼の望み通りのシナリオだった。順調に事を進めたが2009年11月下旬より予期せぬ事態が起き、シナリオが大きく狂ってしまい、翌年2010年夏休み前に生徒会書記を利用してまで騒動を起こすなど、前世(レベッカのいる世界に来る前のこと)の出来事と結局何ら変わることはなかった。


「(ダイアナ:)ラザール、もうやめよう。」

「(ラザール:)もう一度、学園を創設する前の時からやり直すしかない。」

「(ハイペリオン:)目を覚ましてくれよラザール。もう過ぎたことなんだし。」

「(ラファエル:)さ、アメリカに帰るんだ。超官、帰還準備を。」

「(エドガー:)ええ。」


 4人は元来より追いかけてきた「ラザール」を連行し、学園を後にした。


 粒子が溢れるこの学園は消えかかっている。


「(清子:)...終わりましたわね。何もかも...。」

「(雅史:)...遊び疲れたね。今日は大晦日だし、清子ンちで年を越そうかな。」

「(ハンナ:)...レベッカはどこ?」

「(雅史:)...もしかすると、ドロシー同様の理由で消えたっぽい。思い残すことなく、ほっとした顔をしただろうに。」

「(清子:)...感謝の言葉を送りたかったのですが仕方がありません。まもなく消えるこの学園の防衛プログラムに紐付けられたゆえに。」


 「清子」の足元に薔薇の花びらが落ちてあることから、気づかないうちに薔薇の花びらとなって消えたのだろう。


「(清子:)さて、帰りますわよ。」

「(雅史:)よし、帰ろう。清子ンちで年越し蕎麦食べようかな。」

「(ハンナ:)Śledzie w occie(ニシンの酢漬け)の材料を買わなきゃ。」


 残る3人は新年迎える準備のために学園を後にした。......何か忘れてないか?


 派手に目立っていた主要人物達に忘れられていて、横たわっている6人「杏璃」「健太」「源郎」「典子」「魂二」「アーサー」は目を覚まし、気づいた時には22時、既に夜時間だった。救済措置なのか、幸いなことに時の番人「Mr.黒澤J」が事の終始を見ていたようなので、目を覚ました6人を保護し、消されかけていた記憶を復旧したうえで、「清子ンち」まで送った。これをもって、最後のスクールライフに終止符を打ったのであった。

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