終章 最後のスクールライフ(3)
【樋串武学園・時計台内部】
いよいよ最後の舞台となった。今この場にいる味方が8人「雅史」「清子」「ラファエル」「ダイアナ」「ハイペリオン」「ハンナ」「エドガー」「ローズマリー」。相手がたった1人「ラザール」。
「(清子:)...あなたはいったい誰ですの?」
「(ラザール:)それを聞いて、どうするんだい?」
「(ローズマリー:)清子、奴に何を言っても無駄だよ。答える気がないだろうだし。」
「(雅史:)学園長はこの世界の人じゃないことは確かのはず。質問を変える。じゃあ、あの時の、2年前の、修了式後のことだけど、生徒会の皆を意のままに操ったよね?どういうカラクリなの?」
「(ラザール:)さあ、どうなんだろうね。」
「(ラファエル:)あくまでも答える気ないのか。俺はラザールのことを知りたいんだ。言える範囲だけでいい、話してくれ。」
「ラファエル」の問いに「ラザール」は答えず、沈黙する。
「(ローズマリー:)ほら、言わんこっちゃない。とっとと解決しよう。」
「(ハンナ:)...学園長、あなたの生徒を何だと思っているの?」
「ハンナ」の今の発言でも「ラザール」は動じず。
「(ハンナ:)...なるほど、生徒を余興のためのzabawkiとしか見てないようね。」
「(ダイアナ:)ラザールは何も答えてくれない。年末が近づいたタイミングで学園は閉じられる。じゃあ、学園を創立して楽しげな3年前のラザールは、どこいったのよ!?」
「ダイアナ」の今の発言に「ラザール」は微かに口を動かす。
「(ラザール:)...もう役目を果たしたまで...だ。」
「(ダイアナ:)...理解できないッ!!!!!」
「(ラファエル:)やはりな、ラザールにとって学園は暇つぶしのToyとしか見ておらんのか。シティ中のありとあらゆる生徒をよく集めたもんだ。くだらぬ暇つぶしのために生徒は消費され、切り捨てられていっ...た。」
「(ハンナ:)当時の私は仁雄くん同様、学園の誘いに乗らなかった。なぜだと思う?私の力を悪用されないためよ。」
「(雅史:)そういや、ミュゼットも同じ考えだった気が。」
「(清子:)つまり、わたくしらをオモチャのように遊ばれていた...とか。」
「(ラファエル:)俺ら4人は違うぞ。ラザールを追うために編入したからな!!」
長話に「ラザール」はしびれを切らす。
「(ラザール:)おしゃべりはここまでにしようか。ばかげた話に付き合っている暇はない。」
「(ローズマリー:)あいつがそう言っているようだし、戦おう。」
「(ラザール:)わかってるよ、そう焦るな。これから君たちにいい物を見せてあげよう。ご覧あれ!!」
【Phase-3】
「ラザール」が8人に見せたいもの、周囲に明かりがつく。それぞれの方向に6人の姿が確認された。
「(雅史:)杏璃、健太。他は親分と典子、新入生。もうひとりは、僕とは関係ない元会計。」
「(清子:)雅史さん!!そこは、『どうしてこの場所に囚われていますの!?』って言うところですわ!!反応薄いっていうレベルではありません!!」
「(雅史:)あ、ごめん。ちょっとばかりか驚いて、言葉を失うくらいだよ。」
「(清子:)あら、そういうことでしたの。きつく言い過ぎました、申し訳ありません。」
「(ラファエル:)...何がどうなっているんだ?ラザール、6人の生徒を見せてまで何をしようってんだ!?」
「(ローズマリー:)悪いな6人、清子との約束果たせなくて。」
「(ダイアナ:)清子...なんでそのことを教えてくれなかったの...?」
「(清子:)ローズマリーさんが解放してくれると思った、わたくしの誤算です。」
「(ローズマリー:)学園長やら相手にコテンコテンされ、尻尾巻いて逃げちゃったけどな。」
「(ダイアナ:)...どうでもいいじゃなくてよかった。冷たいあなただったらあたし、悲しい気持ちになっていたかもしれない。」
「(清子:)...ご冗談を。6人を見捨てるわけありませんこと。」
「(ラファエル:)ラザールよ、何とか言ったらどうだ!!」
6人「杏璃」「健太」「源郎」「典子」「魂二」「アーサー」は8人を囲むかのように動く。
「(ラファエル:)どういうわけか、帰宅部5人や風紀委員の男に囲まれたな。」
「(ダイアナ:)正確に言うと、帰宅部2人、新派閥3人、生徒会1人。」
「(ハイペリオン:)Hello、元気かーい?」
迫りくる6人、背中合わせで下がる8人。
「(雅史:)それにしても、様子が変だ。どうしたの?杏璃、健太。」
「(清子:)呼びかけても、未だに黙するとは、ただ事じゃありませんわね。」
「(エドガー:)私の能力発動していないにもかかわらずとはいったい?」
「(ハンナ:)考えられるのは、何かしらの方法による洗脳。あるいは...。」
「(清子:)...超高校級の絶望(Ultimate Despair)に似たようなもの...まさかとは思いますが、1ヶ月間...いや、学園が終わる、この日で絶望に染まったとか?」
「(雅史:)杏璃と健太は学園の秘密を知らされてしまい、絶望したということ?それは一大事だね。説得して、目を覚まさなければ。」
「(ハイペリオン:)つまり、影の薄いモブ共を正気に戻せばいいんだな???俺の能力で正気に戻してやらぁ!!!」
「(ラファエル:)ま、待てハイペリオン!!」
「ハイペリオン」は「ラファエル」の制止を無視して、自身の能力「ダークネス・ナイトメア」で対象者の夢の終わり、現実回帰を試みる。
「(アーサー:)...う......。」
...何かが違う。現実に戻れるはずなのに、悶え苦しむ6人。学園長「ラザール」に真実を見せられ絶望したはず。学園長の能力は、お湯を注いで3分か5分待てば、猛り狂う生徒達の戦意を奪う芳香を発するものであるはず。6人の戦意は今もバリバリだ。
「(ハイペリオン:)Huh?効かないな。どうなっているん?」
「(ラファエル:)...ラザールの能力は他にあるってことか?」
「(ラザール:)...気づいたか。私にはもうひとつの能力がある。『略奪』という、生徒達の能力を奪取するものでね。一度奪われた対象者は二度とその能力は使えなくなる。ふふふ、私が作り出した登場人物の能力がそのようなカタチで役立つとは夢にも思わなかったよ。」
「ラザール」の言葉の中に、ありえないものは何かな?
「(ラファエル:)...今、何と言った?」
「(ラザール:)まだわからないのか?ラファエル、ダイアナ、ハイペリオン、超官を除いた生徒達、関係者は私の心を満たすための駒でしかないのよ。」
「(ラファエル:)そうじゃない。ラザールが作り出した登場人物とはいったい、誰のことだと聞いている!!」
「(ラザール:)そうだな、杏璃と健太はキャプテンの幼馴染という設定で私が作り出した。」
「(雅史:)違う!!2人は小さい頃からずっと一緒、この学園に入る前までは一緒なんだ!!じゃあ、典子、親分はどうなの!?」
「(ラザール:)あぁ、他の4人は、登場人物の運命の一部に過ぎないよ。」
「杏璃」と「健太」は、「雅史」の幼馴染として設定されたもの。他の4人「源郎」「典子」「魂二」「アーサー」は、「雅史」の運命の一部として組み込まれたもの。
「(ハンナ:)...[オカリナを吹く。A__D__G__C_G__]」
6人は無力化されたかのように倒れる。
「(ハンナ:)御託はいいかしら?学園長の長話に付き合っている暇なんてないから。」
「雅史」は倒れた幼馴染2人に近づき、確認する。
「(雅史:)...2人に何も感じられない。抜き取られたか。」
「(ラザール:)あんな雑魚、私の心を埋められたものじゃないから没収したまでさ。」
「(雅史:)...未来人ドロシーから聞いた。この学園とは有能な生徒が集まるもの、その実態は僕のような能力を持つ人が集まる異能青少年保護施設だったとは。それに能力を抜かれた6人は魂のないまま、こうやって学園長の意のままに操られて。生徒会の皆は操られたというか、学園長の仰せのままに動いてたというか。」
「(ラファエル:)生徒会5人はラザールの仰せのままに動いた、それに比べてこの6人はラザールが奪取した能力のひとつで魂の肉体を引き離され、魂の抜け殻を意のままに操られたっていうのか?」
「(ラザール:)...そろそろ決着をつけようか。」
「(ローズマリー:)どうやら話のわかる相手じゃないことはわかった。君たち、相手が一人だけなので、8人がかりで畳み掛けよう。」
「(清子:)...違う。わたくしは...学園長が作り出した登場人物ではありません。証言者が複数人いることをお忘れなく。委員長と和子さん、ミュゼットさん、フォルテ中学校卒業生の皆さんだって、わたくしのことを見ていましたから!!」
8人は総掛かりで学園長「ラザール」を叩く。
「(ラザール:)愚か者めが!!」
ラザールの能力「略奪」で、「ローズマリー」を除いた7人の胸を突き刺す。
「(ローズマリー:)!!!」
7人の能力を吸い取るかのように没収、7人は意識を失う。7人分の能力を得て、内から力が沸き上がる「ラザール」。
「(ローズマリー:)なんてことを...。貴様は何がしたいんだ?」
「(ラザール:)これから消える怪異に言う必要あるまい。どのみち、私の能力の餌食になる。たとえ誰だろうと、私には敵わない。キャプテン達も全員、夢の中さ。そろそろ終わりにしようか。」
「(ローズマリー:)...雅史達はまだ死んでないってことか。ならば、私が時間を稼がないとな。学園長、私の遊びに付き合ってもらう!!」
「ローズマリー」は命がけで学園長「ラザール」と戦う。意識のない7人を目覚めさせるために時間を稼ぐ。意識のない「清子」は動くこともできない。
「(ラザール:)ここだけの話だけど、2年前の夏休み直前、悩んでいた生徒会書記デイモンくんに、密かに、秘密裏に他の生徒から奪取した『醒めない夢』能力を付与したのは私だ。2011年に入ったのち、返却したがな。」
「(ローズマリー:)2年前に起きた、おぞましいあの出来事に乗じて、貴様の生徒の能力を奪い、生徒会書記に能力を付与した、のちに貴様の能力『略奪』を使い、奪取するカタチで返却したというのか?目が覚めないのは、『醒めない夢』能力によるものなのか?」
「(ラザール:)そうだよ。夢の中身は、本人のみぞ知るがね。それに、怪異たるキミは2年前の事件を知っているとはさすがだ。」
「(ローズマリー:)私は平行世界から来た、元人間だ。何らかの理由で怪異になったが、それだけは言えることはある。私が与えた怪異の力はそんなものじゃない。雅史とハンナの中に怪異の力がまだ残っているのを感じる。2人とも、その力を私に。」
「ローズマリー」は2人「雅史」「ハンナ」の中に残っている怪異の力「トンカラトン」「スレンダーマン」を吸収し、その力で学園長「ラザール」に立ち向かう。
「(ローズマリー:)清子...私が時間を稼いでいる間に、自力で夢から覚めるよう願う。」
そうしているうちにこの学園は粒子のようなものが溢れ出す。学園長の心から生み出したものなのかは、次の機会で明らかになる。
―Final-Phaseへ続く。




