恥ずかしい。
「あ、あそこよ。ミスターマロンって看板がかかってる!」
ガウディのお店と寸分違わない趣のある看板、可愛らしい字体はあれ、マロンさんの好みかな?
お店のつくりは流石にそっくりとはいかなかったみたいだけど、せめて看板だけでも同じものをってアランさん、言ってたものねぇ。
ガウディから運ぶのは大変だから、こちらに来てから作らせたのかなぁ?
ふふふ。
新品の看板、なんだかとっても嬉しい。
お店はまだオープンしていない。
まだ内装とかが少し残ってるのかな?
大工さんが作業しているのが見える。
アランさんとマロンさん、いた。
二人とも忙しそうに動き回ってる。
そうだよね。お店ひとつオープンするんだもの、色々やらなきゃいけないことあるから。
店員さんかな? 可愛らしい制服? お揃いのメイド服? そんなのを着た若い女性も数人いた。
もしかしてあれ、グランドパティエの制服、なのかな?
アランさんやジャンが修行したっていう帝都の有名なお菓子屋さん、グランドパティエ。
このお店も表向きはアランさんのミスターマロン2号店だけれど、その実お店を建てる資金も従業員もそのほとんどがグランドパティエの持ち出しだって聞いた。
まあ、それはしょうがない。っていうか、グランドパティエ側としたら、そこまでしてもミスターマロンを誘致したかったってことなんだろう。
っていうか、リュークさんが、かな。
チョコレート菓子をお土産に、何度かガウディにも来てくれたリュークさん。
アランさんはガテン系、がっちりした感じでお髭もっさり。
ジャンは、ちょっとヤンキーっぽい優男系。
でもってリュークさんは。
もともとがお貴族様だって話だったけど、その貴族の血がなせる技なのか、スーッと背も高く、金色の髪は短いけど、クリンクリンな巻き毛。
瞳も碧く、エメラルドのような輝きを放っている。
うん。
そのままで十分王子様に見える容姿だ。
まあ、ギディオン様の方が素敵だけどね。
この3人が一緒に修行をしていただなんて、ほんと信じられないけど。
っていうか、アランさん、そう考えると本当はすごく若いのかな。
ふふ。
てっきりおじさんだと思ってたけど、リュークさんなんかギディオン様とそう歳も変わらないように見えるもの。
やっぱりお髭もっさりがお年寄りに見せてる原因かなぁ?
「おう、着いたのか、早かったな」
あたしに気がついたアランさん、表まで出てきてくれた。
「ふふふ。ギディオン様の魔法でね、ささっと飛んできたのよ」
「おー。さすが隊長さんだなぁ」
「そうよ。ギデオン様は凄いんだから」
アランさん、冒険者していただけあって魔法にも慣れてるみたいだから、この辺は内緒にしなくても大丈夫みたい。
「まあ、嬢ちゃんに最初助けられた時も、すごい魔法だったしなぁ」
え?
「はは。セレナ嬢ちゃんもすごいよなってはなしさ」
はわわ。バレてた?
「そうだね。アランはセリーヌの魔力を見てるんだったね」
ギディオン様!?
「ははは。ほんと、天使っていうのはセレナ嬢ちゃんのことを言うんだなって、そう思ったさ」
ああ、もう。
顔が真っ赤になっちゃってる。
アランさんには最初っから色々バレちゃってたってことなの?
「でもさ、俺が嬢ちゃんを気に入ってるのは、嬢ちゃんの魔法のせいじゃないぜ。その心意気に惚れたんだ。それだけは信じてくれな」
はう。
あたしは両手を熱くなったほおに当てて。
もう、なんて答えていいか、わからなくて。
でも。
そっか。
心意気、か。
なんだかそれってすごく嬉しい。
顔は真っ赤に熱かったけど、ほおが緩んでいくのがわかる。
ニマニマしそうになったほおを、あたしは一生懸命押さえ。
それでも笑みが溢れてしまう。
なんだかそれがすごく恥ずかしかった。




