アクマさんだ
27:アクマさんだ
青色の空の上の黒色の空には巨大な円をつくった人ゴミが暗いオレンジ色の炎のような光に包まれている。そしてその円の中心には真っ赤な長い毛を炎のようにゆらめかすマジャがいる。
「うぐくぐぐ、ようし、たまったぞ。これだけの魔力と黒い光があれば十分だ」
バグン、テンネコ、ザオは空にイヤな予感を感じたのでヤマくんに調べてみようと言った。ヤマくんは高く高く飛べるバグンと戦闘に備えてザオとキーポを空へ送った。
ザオとキーポはバグンの頭の上でどんどん遠くなっていく地上を見ていた。地表には巨大な穴がボコボコ開いていたり、巨大な地割れがたくさんあるのが見えた。森も、川も、山も、家も、おかまいなしに破壊されている。
「どう思う?」
地表を指してザオがきいた。
「落ちたら死ぬな」
キーポが答えた。
「ああ、森に空いたでかい穴見てどう思う?」
「すごい力だ。恐ろしいな」
「それもあるな。オレはものすごいアンバランスを感じる。自然の力で何千年ってかかって生まれた森だ。その森にあんな風にかんたんに穴があいてんだ。絵に描いた森を消しゴムで消すのとはわけが違う。生まれてきて息をしていた本物を消しちまったんだ。1つの森にかかった時間さえ消しちまったんだ。あの森はもう元の森じゃなくて一部分を消された森なんだ」
ザオは心に巨大な何かを感じながら語った。
「・・・は。・・・ん。・・・よくわからんぞ」
キーポはよく分からんかった。
「身体の一部を消されたキーポだ。そしてオレだ」
キーポはとりあえず頷いてから。1人でぶつぶつ考えた。森がオレで、オレがザオ。
空を上へ上へ昇るほどバグンは強くなっていく、イヤな予感を感じた。空は青色から黒色へと変わっていった。
「うはあ・・・!?」
キーポは言った。ザオはキーポの視線の先を追った。そこにはオレンジ色の炎で出来ている巨大な円が浮いていた。
「あれだな。イヤな予感の正体は」
バグンが言った。ザオは機械の目でその円を見た。カシャカシャ。オレンジ色の炎の円の中は人ゴミがいるのを見た。円の中心には炎のような毛を持つネコがいるのを見た。
「お前がシュガー・リョウの手下のネコか?」
ザオが叫んだ。マジャはザオたちを見た。
「そうだ!そして今、影地球が終わるところだ!おまえらそれを止める気か?」
「当然!!!」
ザオたちは答えた。
「それなら死ぬ気で来いよ」
マジャは目を見開いて言った。その目の中で黒い渦がゴゴゴゴゴと音をたてた。バグンは二人を乗せてマジャに近付いた。ザオは機械の右手から光の球を撃った。マジャはさっと身をかわすとキーポの顔の前まで素早く移動し右前脚を振り上げた。その足にぼっとオレンジ色の光が灯った。と同時にキーポの顔を引っ掻いた。
「ぐはっお!」
キーポは素早い攻撃と痛みに声をあげた。キーポの左頬には4つの深い傷ができた。キーポはカっとなりマジャをひっ捕まえてばちん、とびんたした。さらにばちんばちんと続け、どこっとけり飛ばした。
「ぐあ」
マジャはふっとんだ。キーポは興奮のためふるふるなっている。
「い、いてーくそ。この低能サルめ」
マジャは痛そうに歯をくいしばった。
「今すぐ破壊なんてやめろ!」
ザオがマジャに言った。
「クク。そんな気ないな。後一撃でこの計画は終了する。オレの一撃でラストが決まるんだ。ハハ・・・止めない」
マジャはザオに飛びかかった。ザオは右手から出した細いレーザー光線でマジャの胸を貫いた。マジャは空中で身体を丸くした。
「ぐくっ。くそ。ちょっと調子に乗らせたら、・・・く、仕方が無い。破壊力は半減するが仕方が無い。せっかく貯めた魔力なのだが、おまえらのために半分使ってやるよ」
マジャは巨大な円の方を向いて、口を開けた。巨大なオレンジの炎の円は、ぐんぐんマジャの口に入っていき、入るたびにマジャの身体は変化した。足がどんどん大きくなり、胸もどんどん厚くなって、頭の額がぐぐっと広がり、キバも発達した。最期には二本足で立つ巨大な赤い獣になった。
「おげ、おれたちの5倍はある。バグンの2倍。・・・ありゃネコじゃないアクマさんだ」
赤い獣はザオの方を見た。
「さっきのあれは少し間違えば死ぬところだった。ククク」
赤い獣はザオをはじいた。
ゴカ!
ザオはバグンの頭から落ちた。しまった!と叫ぶザオに赤い獣は全力で体当たりした。それはネコなみのスピードだった。
ガポカ!
ザオの身体は真っ二つになって地上へ落ちていった。キーポはそれを見てバグンにひそっと言った。
「逃げよバグン」
バグンはよし仕方ないと言って急降下を始めた。キーポはバグンの毛を思いっきり掴んで上を見た。赤い獣も化け物の顔で追いかけてきている。
「た、たっけてーーーーー!」
キーポは叫んだ。
「いて!!?」
白キバ岩の上に、ぽけえと腰を下ろしていたライは叫んだ。頭に何かが降ってきたのだ。
「こぶできるぞ。くそ」
ライはそう言いながら何が落ちてきたのかと下を見た。見下ろした地面はひびとへこみが出来ていてその中心には見たことのあるものがあった。金属でできている奇妙な手足、黒い服を着た胴、レンズの目・・・ライは思い出している。
「あ、ザオとかいうやつの身体の半分。あいつけっこう強い方だった。あいつら何かと戦ってんだ。へえ。強いもんと戦ってんだな。大変だなけっこう」
ライは、頭いてえな、なんか頭痛いよ、くそ、と思いながら風に吹かれている森を見ている。




