ギーシ・フンケキ島8・オッス文!
18:ギーシ・フンケキ島8・オッス文!
ギーシ・フンケキ島が赤く朝の光に染められるころにヤマくんはテントから出て、寝ぼけた目で、寝ぼけた空を見上げながらジョロジョロやっていると、あ!と思った。ギーシ・フンケキ島が赤く照らされ始めたのでバグンの背中の上から流れて行く地表を眺めていた文は、あ!と思った。
というわけで文とヤマくんは朝を迎えたばかりのギーシ・フンケキ島の上に坐っている。やわらかい草の上に2人で腰をおろしている。バグンは少し離れたところで寝っ転がっている。他のみんなはテントの中で眠っている。空は静かに自然に赤みを減らしていく。
「正直に言うと文くんを置いていこうと言ったのは私です」
「あ、そんなん。って、ひ、ひどいなあヤマくん!どうしてそんなことを!」
「一応リーダーってこともあって影地球の事やみんなの事を考えての・・事だったんですけど・・でも怒られて当然ですね。よし!けっても殴ってもいいです!でも!みんなは決して悪くないでのです!みんなは本当は文君を探しに行こうとしたのを私が力を使って無理やりにみんなの考えを流したのですから!」
ヤマくんは立ちあがって大の字に身体を広げて目を閉じた。文も立ち上がった。そしてヤマくんを見た。文は何かを考える前に身体がぶるぶる震えだして止まらなくなり、身体がどんどん狂い始めた。右手は硬く握られて次の瞬間にはヤマくんの鼻から血が垂れるほど殴っていた。
「ぼ、ぼけーぼけーぼけー!」
文はさらに続けた。文の身体がそれを望んでいた。胸に、腹に、顔にパンチ。腰に、足に、キック。ヤマくんの顔はどんどん変形している。唇は切れて、頬やまぶたは赤く腫れている。それでもヤマくんは耐えている。バグンはそんな2人を止める気は無かった。起きているけど寝てるふりをしていた。男だからそうするべきだと思って空を見ていた。パンチパンチ、キックキック。ぼちぇーぼちぇーという文の声。5分後にはヤマくんの限界がやってきてふらついた。文はヤマくんをぎゅっと抱きしめて震える声で言った。
「ゆるしてあげるよ僕の友達」
「ありがとう」
ヤマくんは言って気絶した。それから少ししてザオが起きた。ザオがテントから出ると文は濡れタオルでヤマくんの顔を冷やしていた。ザオはそれを見てなんとなく分かった。
「オッス文!」
「やあザオくん」
「さて!オレをなぐってもけってもいいぜ」
「いや、もういいよ。もう気が済んだ」
「・・う。そうです、すべての責任は私の中にあったのですから」
ヤマくんは目を覚ました。
「あ、やっと起きた。ごめん・・思えば僕がバカなことしたからだったのに」
「いや、おあいこってことで、もう終わりにしましょう」
「O.K!ヤマくん」
ザオはヤマくんのことをさすがだな、と見直した。そしてテンネコを起こしてヤマくんの傷の手当てをしてもらった。テンネコは文の目を見ると自然に口が開き、おはよう文、と言った。ヤマくんの傷が完全回復した頃にはみんな起きてきた。そしてみんな文がいままでずっと一緒にいたかのように朝の挨拶をした。それは文をいてもいなくてもいいと考えているわけではなくて文の目をみると挨拶する以外に何もしなくていいと感じたからだ。それはバグンが文の中に認めた力のためだろう。確かに息づく子供のころの力・単純だけど大きな力の。
朝の白い光がギーシ・フンケキ島を包む頃にみんなは白牙の森へ向かうことになった。ヤマくんのにらんだ白牙の森は、文が見た炎絵の鳥が飛び立った方向と同じだった。
「あーーーでっけえぬいぐるみじゃあ」
アー助は少し離れたところに転がる巨大な黄土色の物体を見て言った。
「あ!ほんとだ。すげえ!」
アデは言った。2人は巨大なぬいぐるみの方へ走って行った。文とヤマくんが、待て、と言ったが2人は走って、ぬいぐるみの腹へ飛び乗った。
「はははフカフカする!」
アー助は楽しんだ。
「本当だよ。みんな!おもしろいぞ!」
アデは叫んだ。
「ぐっ、ぶっ、オイ!なんかお前ら?」
ぬいぐるみと思われたバグンは言った。2人はバグンの顔を見て固まったまま腹の上でポムポム跳ねている。




