ギーシ・フンケキ島6・寝る前会話
16:ギーシ・フンケキ島6・寝る前会話
3つのテントの中のみんなは熟眠3秒前の状態になっている。アー助は目を閉じて眠りの世界に半分入り、トイレに行こうかこのまま寝ようか迷っている。
「やいと!」
アデが寝言を言った。アー助はアデが夢の中でカワイイ頭を突き出してトラに向かっていくところを想像するとおかしくなって目が覚めた。
テントの外に出ると今まで知っている夜には無い、けっこう明るい夜を見た。空を見るとあちこちに銀色にぼんやり光る怖いくらいでっかい石が浮いている。その石には不思議な形の木が生えている。アー助は、あっ~、と思った。アー助はテントから少し離れたところでジョロジョロやった。
「あっ~すっきりした。・・・キレイな夜だ・・・」
アー助がテントに戻ろうとしたら、更に少し離れたところで誰かが体育座りをして空を見ていた。アー助は小石を投げてみた。
「い、いた!いたいっしゅねえ。誰っしゅか?ほんとう」
‘マホ語’ってことはあいつしかいないな、アー助は思った。アー助は、ふあっあっあっすまん、オレ、と言った。
「アー助君っしゅか。まったく。よいよっしゅねえ」
「わりい。すまん。・・・それより何しよるん?」
「いや、ちょっと文君のことが気になってねえ。それとここの夜も気に入りましたねえ」
「文なら大丈夫・・・たぶん・・・それよりマホ、メガネ外人はどうやってこっちの世界に来た?」
アー助はメガネ外人の隣に寝転がった。メガネ外人は話し始めた。
§
メガネ外人は旅好きでいろんな所を旅していた。その時も旅の途中だった。
「イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
メガネ外人がブロックの街を歩いているとビルとビルの間から叫び声が聞こえた。メガネ外人はびっくりして転げた。なんしゅかいったい、と混乱した。
「ホラホラふへへへへふへへへへ」
「キ。イヤーーーーーーーーーー。キ・キヤーーーーーーーーーモオォーーー!」
メガネ外人はビルとビルの間で女の人が襲われている、なんとかしなきゃ、と思った。でっかい荷物の中から使えそうなものを探した。傘を取りだしたら一緒に本が落ちた。その本は、夏の暑い日に丸メガネをかけたつるつる頭の82歳に水一杯とアンパン1つのお礼にもらった。怪しげでボロイ本だ。メガネ外人はなんとなくその本を開いた。
機械音のギターとドラムのような音とともに角と牙の生えた骨と皮だけの人型の化け物が現れた。背丈3m。メガネ外人は、わ、私。私。酔ってるんしゅかあ?と思った。そして呆然としている眼には本が燃えて行くのと、1枚のメモ用紙がひらりと落ちたのを捉えた。メガネ外人は落ちたメモに書かれた文字を読んだ。『この本は開かん方がええよ じいちゃんより 4/12×残念4/16○楽しみ・・・ヒサエさん』よいよっしゅねえ、と思った。『ガクガクガク・・・。私の名はコダイ邪。キサマ困りごとでもあるのか?』とメガネ外人の頭の暗闇に赤い文字で文章が浮かんできた。そういえば女の人を助けようとしていたんだっしゅ、と思った。『オウ分かった。ガクガクガク・・・ぴこ・・・キサマの時間の一部をいただいた、まあ取引だガクガクガク・・・』えっえっちょっと待ってほしいしゅ・・・そ、そんな勝手に、と5回くらい繰り返して念じたがすでに骨と皮の背丈3mは消えていた。
「メガちゃんキレましゅ。あったまきたぞ、こらあ!おらあ!こらあ!」
メガネ外人は半年ぶりに怒った。そしてそのままビルとビルの間に入って行った。
「なんだメガネオッサン?」
金髪の15歳が言った。他にメガネをかけた10歳の男の子がナイフを持っていて女の人がおびえていた。
「どっかいちぇこのメガネおっさ・」
「やかましい!」
メガネ外人はナイフで切りかかってきたメガネの男の子を殴り飛ばした。殴り飛ばしたその手には黒い蛇のような空気が巻きついていた。金髪の15歳は目を丸くしてメガネの男の子を見て、メガネ外人を見た、二人は目が合った。
「なんしゅか、なんか言うんか!!この」
「まて何も言わ・」
メガネ外人は殴りたくて殴りたくてしかたがなかったのでいちいち人の話を聞いていられなかった。殴られた2人は倒れて、うぐ、と言っている。
「おまえら女の人にあやまれえ!」
2人はすみませんでした、うぐ、と言った。
「お、お、お、おっしゅかあ!」
2人は、は?と聞き返した。
「や、やかましい!おらあ!ほらあ!」
2りは更に殴られた。
「いいんです。もういいですよ!」
女の人は言った。
「し、しかしっしゅ、ね。しかし・」
「いいんです!それじゃありがとうございました」
女の人はどこかへ走って行った。メガネ外人は少し落ち着いて2人に聞いた。
「君たちいったい何したんしゅかあ?」
しかし2人は気を失っていた。そして突然目の前にサクライさんが現れた。
「おっ!なんでしゅか。いきなり。あらあ?」
「私は影地球の者よ。あなた力あるみたいね。影地球を旅してみる気は無い?」
「・・・・・はあ?・・・・・はあ?」
そしてメガネ外人はこの30分後に異界への旅出を決意したのだ。
§
「ふうん。そうなんだ」
「まあ来てよかったしゅけどね。ほふ」
「タチバナさん?」
「ほほほ・・・・・でもコダイ邪に取られた自分の時間の一部ってのが未だにわかんないんしゅよねえ」
「うーん」
アー助は空を見ながら考えた。あ、もしかしたら、と思いメガネ外人のメガネを取ってみた。何しゅかあ?、と言った3秒後。
「・・・。ううん。ここどこ?」
「コダイ邪のばあかたれ!」
「なんだとキサマ」
アー助はやっぱりねと言ってメガネを戻した。
「・・・んう。お。なんかポーとしてたっしゅ。えーとところでアー助君はどうやってこっちに来たんっしゅかあ?」
いいこと知った、くくく、おもしろい、こんど文に教えよっと、アー助は思った。
「どうしたんしゅか?」
「いや、何でも無い。オレはどうやってこっちに来たかと言うとなあ」
アー助は空を見つめたまま話し始めた。メガネ外人は虫に刺された足を掻きながら話に耳を傾けた。
§
アー助は腹が減ると何でもかんでも食べまくる癖がある。ある土曜の午後、学校からの帰り道にアー助はとても腹が減った。しかし家まで30分かかるところでお金も持っていなかった。そして、腹が減ってもう自転車が漕げん、と思った。アー助はいつも一緒に帰っている友達のチエちゃんとブシゲに、何か食いもんねえか?と聞いた。
「あめ玉3つどうぞ」
チエちゃんは言った。チエちゃんは色グロでちびの15歳の女の子だ。
「あーありがとう。パク、パク、パク。パキッ、パキッ、パキッ。ジャリ、ジャリ、ジャリ。ゴックン。・・・・・。たらん。ブシゲは何かもってねえか?」
「ない」
ブシゲは四角い顔と身体をした15歳の男の子だ。アー助は2人に金貸しといてくれねえか?と聞いたが2人は持っていなかった。アー助はしかたなく自転車を漕ぎ続けた。チェーンが回る音がした。3人は白い建物の並ぶ直角の曲がり角が続く道を進み、両側に草原の広がるくたびれたアスファルトの道を進んだ。あと15分行けば3人の住む街へ着く。大きな音でアー助の腹が鳴った。
「アー助さん大丈夫ぅ?大丈夫?」
「やばいよ。アー助は或る程度お腹が減ると草でも食べちゃう。何か食いもんねえかな。ねえかな」
「あー。あー。あー」
アー助は目がぼやけ初めて自分が何を言っているか分からなくなってきた。ブシゲは5m先にある石造にお供えしてあるおむすびと団子が目に入った。それを早速取ってきてアー助に食べさせた。
「どうだ調子は?」
「・・・うむ。少しおさまった。さんきゅうブシゲ」
「いいってことよ」
「でも大丈夫かしら、お供え物取っちゃって、バチとかあたるよ」
「今の時代バチとかあたるかよ。下らんこと言うな」
アー助はあくびをした。すると口の中に火の玉が燃え出た。
「あら!アー助さんバチあたっちゃったあ!あら?あら?」
チエちゃんは可愛くニコニコしながらブシゲを見た。
「う・・・うるせえ目だな、オ、オレだって間違った事言う時もある。それより大丈夫かアー助」
「ひ・・・ひがひえん(火が消えん)ひがひえん。こえあふひがひえあえん(これじゃ口が閉められん)あー。あー。あー」
「アー助さん頑張って!アー助さん頑張って!」
「うーん大変なことになった。あーらら。あーらら。どうしようかいのオ!」
突然3人の目の前にサクライさんが現れた。
「あらあら、ウフフ、ずいぶんお困りの様子」
「なんなーこいつー。いきなり出やがった。う?う?う?」
「アー助さんの口から火の玉が出ることも不思議なことだけど、あなたが突然現れるのも不思議なこと。ねえ!あなたならアー助さんを助けられるんじゃない?」
「Yes。助けられるわ」
「なら助けて」
「あおう!あうええうえ(頼む!助けてくれ)」
「助けてあげたら来てほしいところがあるんだけどいい?」
サクライさんはアー助の目を見て聞いた。アー助は何度も頷いた。その後アー助は火の球を操れるようにしてもらい家の人にサヨナラして、サクライさんと一緒に影地球へとやってきたのだった。
§
「はっはっはっかなりマヌケっしゅねえ!」
「まあそうだ。あんまり笑ってくれるなよ。おまえだってかなりマヌケだで」
「ほふ。そっしゅね。ほっほっほっ」
2人はそろそろ寝ることにした。2人は銀色にぼんやり光る怖いくらいでっかい石を見上げながらジョロジョロ小便している。
「私ここにきて忘れてたものと失ってたものを知ったようなきがしましゅ」
ジョロジョロジョロ小便の音。
「・・・ああ。おれもよく分からんけどここに来れたことイヤなことじゃないで。ぶるぶる。さて寝ようで」
「ぶるぶる。はい、寝ましょう」
2人はおやすみと言い合ってそれぞれのテントへ帰っていった。そして5分後にはいびきをかいて寝た。




