南方の破壊者・マジャ
12:南方の破壊者・マジャ
南の島が破壊音と共に海に消えた。島のあった上空には暗雲のような人々が浮かんでいる。更に上空には、赤く長い体毛に覆われた猫、マジャが居る。東方の空からシュガーリョウが飛んできた。
「ようリョウ」
「どうだ破壊の方は?」
「南方の破壊は後三日で終わる。次はあの島だ」
マジャは大きな島を指した。
「こいつらとオレの魔術のハイブリッドだ」
「おもしろそうだな。早くやってみろ」
マジャは人の暗雲を大きな島の上空へ移動させ、自分は赤い体毛を針のように逆立たせた。人々の目には漆黒の闇が溜まっていった。マジャが尖った歯をむき出しにすると、暗雲から無数の黒い線が島に向かって伸び、島は轟音と共に崩壊した。シュガーリョウは目をまん丸にして拍手した。
「いーぞいーぞ。その調子だ」
「まだ成長するさ」
「それもいい。とにかく破壊しろ。何でもかんでも破壊しろ」
「解った」
シュガーリョウは西方の空へ飛んだ。
マジャは子猫の頃に、他の猫から赤毛の変猫と呼ばれ、からかわれていた。言葉で、自然になったのだから仕方が無い、と説明してもからかわれた。いつからか言葉を使うのをやめ、力を使うことにした。からかう猫を片端から噛み付いて引っ掻いた。誰もからかわなくなったが言葉も掛けてこなくなった。マジャは力だけの世界に身を置いた。そんなマジャの仲間になりたいと思う猫達がいくらか寄ってきたが、マジャはどの猫とも話さなかった。そういう猫達は、二、三日マジャの後を着いてきたが、そのうちどこかへ居なくなった。
「おい。お前、強い猫だ。オレの手下になれ」
ある日シュガーリョウが声を掛けてきた。マジャは無視していたが、いきなり後ろから抱き上げられた。
「オレは誰の仲間にもならん」
マジャはシュガーリョウの目を睨み付け、久々に言葉を放った。
「オレはお前に興味は無い。お前の力に用があるんだ」
マジャは初めて他人からまともな言葉を聞いたような気がした。
「分かった。力だな。力を貸そう」
それからマジャはシュガーリョウと共に力の世界を歩んでいる。




