東方の破壊者・キズ
10:東方の破壊者・キズ
シュガーリョウは東方から影地球を破壊している、黒猫のキズのところへやって来た。
「オッス、リョウくん」
「調子はどうか?」
「まあ見てよ」
キズが白く乾いた岩山のほうを指した。山の周を大勢の人が取り囲み、シュガーリョーシュガーリョーと唱えている。その者達の瞳からは黒い光が放たれ、白い岩肌に闇を当てている。岩山はやがて轟音と供に崩壊した。
「いーぞいーぞ、その調子で壊せ壊せ。みんな壊せ。壊しまくれ」
「O.K.まかせといてリョウくん」
東方の破壊具合に満足したシューガーリョウは南方の方へ飛んだ。
遠い夜。キズはダンボール箱に入れられて草むらに捨てられていた。空から降る冷たい雨が雑草をぬらし、風が混ぜていた。キズはその日の夕方、かわいがって飼ってくれていた家人に捨てられた。理由は分からない。捕まえられてダンボールに封じられて何かに乗せられて運ばれて草むら放置された。家人は、ごめんねバイバイ、と言うと背中を向けた。付いていっても無駄だ、と解ってあきらめた。雨を避けようという気にもならなかった。闇夜に銀色の針のような雨。自分でも信じられないくらい間の抜けた声で鳴いていた。突然、後ろから丸い腕に抱え上げられた。黒い半そでと半ズボンの坊主頭の太った男。
「おい。お前は今日からオレの手下だ」
男はとても耳障りなうるさい声で言った。
「うるせー声だな」
「オレの名はシュガーリョウだ。覚えろ。覚えろ」
ノイズだらけのラジオ放送のような声でシュガーリョウは言った。キズは丸い腕に爪を立てて飛び降りた。
「いてっ。オレの腕にキズが付いた。そーだそーだ。お前の名前はキズにしよう。そうしよう」
キズはこいつといると悲しむということが出来ないことに気が付いた。こいつの中の、何かの力によって。
「キズでいいよ」
「付いて来いキズ」
そんな風にしてキズはシュガーリョウの手下になった。




