ギーシフンケキ島2・お絵かき
9:ギーシフンケキ島2・お絵かき
文は両手とポケットに大量のカエルとトカゲを抱えてバグンのところへ帰ってきた。バグンは大きな舌を垂らした。
「トカゲとカエルくらいしか獲れませんでした。ごめん」
「お前バカか、何故逃げなかった?いくらでも逃げられただろうが?」
「だって、肉とってくるって約束したから、え、逃げてもよかったん?」
「まーいい。とりあえず肉よこせ」
「どうぞ」
バグンと文は横たわる大木に並んで腰掛けている。バグンはトカゲやカエルをすべて宙に放ると大きな口で受け止めた。文はバグンの頭を子供の眼差しで見つめている。そのうちに耳の翼が自分を呼んでいるような気がして頭の上に飛び乗った。
「何すんだよ」
「どーしても乗りたくなった。ゴメン」
バグンを見下ろす文の目を、バグンは見上げた。阿呆な目だ。だけどその中にしっかりと息づいている“子供の頃の力・単純だけど大きな力”を感じた。それはいつからか忘れてしまった力だった。思わず微笑んだ、嬉しさを感じて。
「乗り心地はどうだ?」
「どーしても飛びたくなる」
「だったら飛ぶとしよう」
バグンは文を頭に乗せたまま空へ飛び上がった。
「翼、ばたばたさせないんだね」
「オレの翼はばたばたさせんでも飛べる。風と絡ませるんだ」
バグンの耳は風の螺旋模様に逆立っている。
「涼しー」
「はっはっはっはっー」
バグンはさらに上昇し雲を抜けた。雲の広場や、泡立つ山、真っ白い真っ只中に黄土色のコアラと文は浮かんだ。二人は心が暴れて暴れてしかたがなかった。爆笑しながら拍手した。
ギーシフンケキ島のどこかでは白い光を放ちながら燃える赤い線で何かが描かれ始めた。




