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第7話「三角州と犬とサトウキビ」

男は頬を少し掻き、言った。


「えーっとお前も転生者ってことはチート貰ったんか?」


「まあ一応。」


俺とこの男は会話を交わしていた。


「一応ってことはやっぱ欠点があるん?」


「まあね。」


「俺の能力は万片物検索(アカシックピースレコード)。」


「なんか強そうだけど。」


「まあ所詮かけらだけどね。」


「なるほどね……。」


「ちなみにお前は?」


「俺は不死だね。」


「うわー。絶対強いじゃんもう。いいなー。」


「いやそうでもないんだよねー。これ。痛みは感じるし。死にたくても死ねないし。」


「死ねないのかー。死にたくても死ねないから考えるのやめたくなるだろうなー。」


「唯一の死に方が不死のスキルレベルを99のカンストにすること。」


「ちなみに今のスキルレベルは?」


「16だね。」


「ほぼ無理じゃん。」


「まあ一応こっち来てからここで永遠にストップしてるせいだけどね。」


「なーんだ、俺と同じか。」


「お前はこっち来て全く時間経ってないだろ。」


「「あっはっはっはっ」」


「ちなみにお前名前は?」


「佐藤稔、ちなみに16歳、砂糖が実るからサトウキビって呼ばれてる。サトウキビ自体に砂糖が実るわけではないのにね。そう言うお前は?」


「河上(かわかみ) 天治(てんち)、お前と同じ16歳。」


「おお、めっちゃ響きかっこいいじゃん。」


「"河"川の運搬する土砂が河口付近に堆積して形成され、"上"流に頂"点"をもつ三角形の低く平らな"地"形。で三角州って呼ばれてた。」


「…………。」


俺より酷いあだ名があるとは……。


というか無理やりこじつけてるだけだろ。もはや。


「せめてなんか言ってくれよ。」


「これからよろしくな。"三角州"。」


「お前性格悪いって言われない?」


そんなことを言っているとAIが現れて言った。


「というかお前ら脱出しなくていいのか?」


「うわぁ!宙に浮いてる犬が喋った!……宙に浮いてる犬が喋った?」


「えーっとこいつはAIでなんか転生特典でついてきた。」


大体合ってるし別にこんくらいの説明で大丈夫だろ。


「まあ転生特典ってよくわからんの多いしまあ有り得るか……。」


「納得できたようで何より。」


男はハッと思いついたように言う。


「ちなみにここを脱出する手立ては?一応聞いておきたい。正直もうそろそろ脱出したいし。」


「そんなこと言われてもなぁ……。」


「何かないの?能力でなんかするとか。」


あ!そうだった。


「強いていうなら最初に使った時に出てきたこいつら。」


「おい今どこから出した。」


ズボンの中しか収納するところがなかったからしょうがないだろ。


俺は床に並べて見せた。


「ポテチの袋とキッ○ン泡ハ○ターとお酢……一人暮らし始めたての大学生のキッチンに置いてある物みたいなセットじゃん…。」


「だよな。」


やっぱりみんなこうなるよな。


「……あ!そういうことか!」


「どうした?」


三角州がなんか思いついたようだ。


「いやさ、昔テレビで見たんよ。塩素系漂白剤にお酢とか混ぜると有毒な塩素ガスが発生するって。」


あー……それでゴブリンたちを倒せって意図だったのか。


ん?有毒なガス?


「いやでもそれ俺たちも死ぬくない?」


「俺は死なないから死ぬとしてもお前だけだな。」


あ、そうだった。


するとAIが現れて言った。


「サトウキビのスキル、万片物検索(アカシックピースレコード)は『勝つための物』をランダムで支給する性能です。毒ガスでサトウキビさんが死ぬなら、流石にそれは勝利とは言えないので矛盾しますね。」


ここに来ての有能振り、こいつの評価を改めるべきか。


確かに、死んだら勝ったとは言えないか。


「そうかぁ……じゃあそこでこいつを使うんじゃね?」


「ポテチの袋かぁ……。」


ポテチの袋って言われてもなぁ……。


「なんかあるんかなぁ……」


「ん?なんかすっごい視線が……」


あ、なんか聞いて欲しそうな顔。


このAI分かりやす。


すっごい自信満々じゃん。


まあAIの正しい使い方かぁ?


分からないことを聞くって。


「なあAI、ポテチの袋って何か役に立ちそう?」


「よくぞ聞いてくれました。ポテチの袋、まあアルミ袋は他のポリ袋などの袋と違って塩素ガスを通しにくいのでポテチの袋に空気を入れてその中で呼吸することで短い間、およそ10秒、長くて15秒くらいは息が持つ可能性が高いです!多分…。まあ短い間なので結局息止めないといけないんですけどね。」


「……なるほど。」


すっごいドヤ顔……。


まあいい。


「よし!作戦会議するか!」


俺たち2人と1匹は作戦を練ることにした。


まあ、


「お前が犠牲になるのがいいと思いますよサトウキビさん。」


「なんだクソAIまたやるか?」


AIに掴みかかろうとした俺を、三角州が慌てて止める。


「待て!せめて喧嘩はするなよ?!」


「三角州!止めるなよ!決着をつけるべきなんだ!」


こうなるのは必然だったが。

後書き

※作中で登場する方法は危険です。現実で真似しないでください。


塩素系の製品と酸性のものを混ぜると有害なガスが発生するおそれがあり、重い健康被害につながる可能性があります。


不死身の方も含めて、絶対に試さないでください。


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