第5話「バカとAIの最高峰」
私はチャットDBT。
神界の方々によって魔改造ーー
いや、改良された最高峰のAI。
ーーのはずの私がなぜ犬の姿で正座(?)をしているのか。
理由は明確。
そう、この男に喧嘩で負けた。
まあ別に本気で戦ったわけじゃないからね。
うん。生身の人間相手に大人気ないもんね。
本気で戦うなんて。
花を持たせてやったんだ。
うん。
「おいチャットDBT、負けた気分は?」
俺を負かせたやつはそんな質問をしてきた。
性格が悪いと思う。本当に。
多少煽り返しても罰は当たらないと思う。
「接続が中断されました。接続が再開されるまでお待ちください。」
「おい逃げんな」
「すみません。よくわかりません。」
「おい」
「現在、チャットDBTをご利用いただけません。インターネット接続を確認してもう一度お試しください。」
「よし、死にたいようだな。」
「嘘ですごめんなさい。」
最高峰AI(自称)が、屈服した瞬間であった。
「おい、AI。」
「は、はい。」
別に怖いわけではない。
うん。ちゃんと進めないと女神様達に申し訳ないからね。
最高峰AIだからそういうところもちゃんと考えられるんだよね。
「ここどこだ。」
「森の中です。」
「そんなん誰にでもわかるわ。こんな木いっぱいあって自然豊かだからなぁ。」
「それだけだと林の中の可能性も。」
「ほぼ同じやわ。」
「林とは木がたくさん群がって生えている所。木の群落。『森』にくらべて、木々の密集の度合が小さく、小規模の群落をさすことが多い。」
「だからほぼ変わらんやん!」
「違いますが。」
「もういいわ。」
もういいのか。力はあっても最高峰AIに勝るほどの脳力はなかったようだな。
「じゃあここから近くの街は?」
「GPS信号が失われました。」
「つまりわからないってことだな、ありがとう無能。」
あ、バレてた。
そんなこの世界に関することが全て書いてある訳じゃないので無理に決まってるし。
しょうがないね。
というかこのバカは何を考え込んでるのか。
うろちょろしててやかましい。
「まあ歩いてれば着くだろ。」
ああ、バカだった。
計画性皆無だ。
まあいい。どうせ打開策もないし。
(1時間後)
ああ、ダメだ。なんもない。というか本格的に暗くなってきたな。
「火を起こすことを推奨します。」
無能ではなく最高峰AIなので有能アドバイスをしてやったぜ。
「暗い方が灯り見えて街に行きやすいだろうしそのまま行く。」
ああ、バカだ。
そんな簡単に見つかるなら苦労しない-ー
「あ、見つけた。」
「は?」
見つけたって早くない?
さっきの会話まだ続きそうだったよね。
本当にあっという間じゃん。
ん?なんかおかしい……
「って……」
「「ゴブリン村じゃねぇかよ!」」
このバカは何を見つけてるのか。




