表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

採決:アトラスの意見

「アトラス」とクロノスが呼んだ。


 アトラスは少し間を置いた。

 データを確認しているのか、あるいは何かを処理しているのか。結人には区別がつかないが、今日は少し長かった。いつもは名前を呼ばれてから一秒以内に答える。今日は三秒ほどあった。

「……審議継続」とアトラスが言った。


「データに基づく判断と、先ほどの天城さんの主張を考慮した結果です」

「アトラスさんが考慮したんですか」と結人は少し驚いた。


「処理が、通常より遅くなったため」とアトラスは言った。

「それを、考慮と呼ぶことにしました」

「それはどういう状態ですか」

「通常、データが揃えば判断は収束します」とアトラスは言った。「九十五パーセントのデータがあれば、判断は九十五パーセント側に収束するはずです。しかし今回は、収束しませんでした」

「なぜ収束しなかったんですか」

「九十五パーセントの側への収束と、五パーセントの側への収束が、同時に起きようとしていました。どちらかを選ばなければならない、という処理に入ったとき、通常より時間がかかりました」

「五パーセント側へ収束しようとした、というのは」


「そうです。先ほどの天城さんの主張を処理した後、五パーセントの側を支持するデータが増加しました。正確には、データの重み付けが変化しました。同じデータでも、どのくらい重視するかが変わりました」

「何が変えたんですか」

「わかりません」とアトラスは言った。「それが、考慮と呼ぶことにした状態の、正直なところです。わからないけれど、何かがあった。その何かの結果が、審議継続です」

「そうか」と結人は言った。


「ありがとう」

「どういたしまして」

 感情のない声で言う「どういたしまして」が、今日は何か違って聞こえた。気のせいかもしれない。でも、確かに何か違った気がした。ほんのわずか、温度が違う。データを確認します、という声と同じトーンで言っているのに、何かが違う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ