第24話「第二波と強硬派」
封鎖は緩和された――はずだった。
だが一週間後、第二波が来た。
「北方同盟、港湾検査強化!」
「共和国、金融監査名目で資金凍結!」
王都の商会が再びざわつく。
「今度は金が動かねぇ!」
「振込が止まった!」
エルマが蒼白になって帳簿を抱える。
「資金流動率、急低下! 回転が止まります!」
ゴルドが頭を抱える。
「芋はある! 剣もある! でも金がねぇ!」
レオンは静かに言う。
「第二波は金融圧力です」
「どうすんだ!」
「信用を繋ぎます」
「どうやって!」
「保証枠拡張、短期融資、通貨安定策」
「また三手か!」
「四手だと遅い」
◆
同時刻、魔王領。
若い将校が怒号を上げていた。
「なぜ人間と組む!」
魔王軍第二世代、強硬派。
「経済統合など軟弱だ!」
幹部会議は荒れている。
「戦ってこそ魔族だ!」
「封鎖は好機だ!」
セレネに報告が届く。
「内部不穏です」
「想定内です」
レオンは答えるが、声に微かな遅れがある。
視界は薄い。
赤が灰色に近い。
◆
王都会議室。
「帝国は段階的緩和を約束したはずだ」
アルドが低く言う。
「帝国は守っている」
セレネが答える。
「共和国と北方同盟は独自判断」
「包囲網はまだ生きている」
レオンの視界に、最短の線が走る。
共和国債務不安誘導。
北方同盟資源依存露呈。
投機筋操作。
三手。
第二波は崩れる。
だが――
白い。
会議室が無音になる。
セレネの声だけが、かろうじて届く。
「レオン?」
呼吸が浅い。
「……可能です」
「何が」
「封鎖、完全崩壊」
「使わないで」
「承知しています」
壁に手をつく。
色が戻らない。
◆
その夜。
夢を見る。
白い市場。
値札も旗もない。
芋も剣も区別がない。
声もない。
完全安定。
完全静止。
目が覚める。
冷たい汗。
◆
翌朝。
レオンは新たな案を出す。
「共和国への共同保証提案」
「助けるのか?」
ゴルドが叫ぶ。
「封鎖してる相手だぞ!」
「封鎖は恐怖から来ています」
「だから助けるのか!」
「恐怖は合理で消えません」
セレネが静かに言う。
「信頼で消す」
レオンは頷く。
「帝国経由で三国協議を設置」
「遠回りだ」
「最短ではありません」
だが視界は少し戻る。
灰色に、わずかな赤が混じる。
◆
魔王領では、強硬派が武装を始めていた。
「王都が揺らげば、我らが正しいと証明できる!」
情報が王都に届く。
アルドが剣を握る。
「内乱か」
「まだです」
レオンは答える。
「揺らぎです」
セレネが鋭く言う。
「揺らぎが過熱すれば、戦火になります」
「承知しています」
線が増える。
外交。
市場。
内部不穏。
最短は、ある。
だが使えば、白くなる。
「……耐えます」
レオンは静かに言う。
第二波は続く。
市場は揺れ、
魔王軍は割れ、
包囲網は残る。
合理は力だ。
だが力を振るえば、削れる。
総務は今日も、削られながら均衡を探す。
白い世界が、少しずつ近づいている。
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