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43話 前編 酔っ払い 

 奏楽は吉塚とノワールとナナと共に食べ放題のバイキングへやってきていた。吉塚は昨日飲んだお酒がまだ抜けきらないようで少々ふらつきながら料理を選んでいる。

 ノワールは「お水を飲むといいんじゃない」と言う。


「あ? ああ」


 吉塚はふらふらしながら料理をテーブルまで運ぶと水を取りにいくのだった。

 ノワールは「なんであんなになるまで飲むのかしら」と言ってげんなりしている。確かに彼女の言う通りだ。昨晩ベッシと共に奏楽と吉塚は飲み屋でお酒を飲んでいたのだが、ここまでふらふらになるのなら飲まない方がいいだろう。

 奏楽はやれやれと思いながら取ってきた料理を食らう。


      〇


 四人でクエストをしに行こうという日程であったのだが、吉塚の調子をみると難しそうだ。今日の日程は変更しようかという話になるのだが吉塚は顔を一生懸命に横に振るっていた。


「なんでだよ! これくらいなら大丈夫だって! たかが二日酔いだ!」


 ノワールは「されど二日酔い」と言う。

 奏楽はナナに「どう思う?」と聞く。


「無理はしない方がいいと思うよ」


 すると吉塚は「よっしゃ」と声を上げる。


「無理してないからオーケーだな。じゃあ、行こうか!」


 奏楽は呟く。


「本当に大丈夫なのかな……」


      〇


 ギルドへ行くと掲示板を拝見しどんなクエストがあるのか確認する。薬草採取任務や飛竜の討伐任務、他にはハチの巣撤去や害獣駆除の任務など。吉塚は何の迷いもなく掲示板に貼り付けられていた飛竜討伐の依頼書を手に取る。


「皆、これでいいよな?」


 奏楽は「皆の意見を聞いてからにしようよ」と注意する。


「おっ、悪かったな。では誰かこのクエスト以外にやりたいクエストある人いるか?」


 ……誰もいない。


「じゃあ、この飛竜討伐で決定だな」


 吉塚は飛竜討伐が得意分野ということもあり張り切っていた。

 ノワールはため息を吐く。


「油断大敵って言葉を知らん男だな」


 奏楽も同じようなことを思っているらしいが、吉塚の意思を尊重している。


「そうは言っても彼がやりたがっているのだから、しょうがないさ」


      〇


 飛竜を狩りに山へと入っていく一行。狩りとは言いつつも吉塚はなんだか気持悪そうだ。

 奏楽は「もしかして吐きそう?」と問う。


「……かもしれん」


 皆足を止めて吉塚に視線が集中する。ナナは吉塚の丸くなっている背を撫でる。


「大丈夫ですか?」


「ちょっと、吐くかもしれん」


 そう言いながら草むらの中に入り嘔吐したのであった。

 ノワールは言った。


「ありゃ駄目だ」


 奏楽も同じことを思ったが口に出たのはため息であった。


      〇


 嘔吐して軽くなった吉塚は腕を回して「よし、準備完了」と言った。

 ノワールは気に入らなそうである。


「最低な準備完了」


 この発言には奏楽も苦笑いであった。

 突如として大きな影が通過したと思い上空を見上げると飛竜が飛んでいた。

 吉塚はドラゴンを呼ぶ笛を取り出した。

 ノワールは吉塚を止める。


「ここで吹かないで! もうちょっと見晴らしのいい場所まで移動しましょう」


「そうだな! そうしよう」


 四人は見晴らしの良い場所を求めて急いで移動していく。飛竜がどこか遠くへ行かないことを祈るばかりである。


「俺一人だったらとっくに吹いていたのに。畜生」


 ノワールは「あんた一人だったらそうでしょうねえ」と突っ込む。

 奏楽は二人の間に割って入る。


「とりあえず走りましょう? ね?」

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