42話 後編 巨大な魚
川へと辿り着いた奏楽一行。川には大きな影が浮かび上がっていた。
奏楽は唾を飲み込む。
「もしかしてあれが……」
「そうです! あれがオオダイジンです」
吉塚は顎に手を当てて「これをどうやって地上に上げさせるか」と言う。
ベッシは準備していた爆弾を見せつける。
「これを使って陸に上げます。水中にいるオオダイジンに向かって爆弾を投げて水中から引きずりだすのです作戦」
吉塚は笑顔で答える。
「物は試しだ。やってみるか!」
ベッシは奏楽と吉塚に爆弾を持たせる。
ベッシはまず手本を見せた。
「いいですか? まずはマッチに火をつけて、導火線に火をつけます。そして火のついた導火線の残りが四分の一くらいになったら奴のいる川の中へ投げ込みます。すると、」
水中で爆弾が爆発しオオダイジンがその場で跳ねた。
跳ねた時オオダイジンの姿がお披露目される。全長9メートルほどの姿だった。
吉塚と奏楽は顔を見合わせて言った。
「「秋刀魚じゃん」」
姿形がまったくもって秋刀魚であった。巨大魚の正体は巨大な秋刀魚だったのである。
奏楽は「本来は海にいるはずなんだけどな」と呟く。
吉塚は淡水魚でこの大きさならば海の魚はどうなるんだろうと、好奇心と恐怖心を感じたのであった。
ベッシは二人に爆弾を渡す。
「はい、頑張ってね!」
サメのきぐるみを着たベッシに爆弾を渡されるとマッチに火をつけて導火線に火をつける二人。
そして導火線の残りが四分の一ほどになったところで二人はオオダイジンに投げつける。
川の中で二回連続で爆発が起こり川の中から陸に上がったオオダイジン。その姿はまさに手足のついた巨大な秋刀魚の姿であった。足で立ち手で上体を支えている。
ベッシは「出たー!」と喜んでいる。
出てきたところで吉塚は剣を引き抜き構える。
そして奏楽も両手を剣を持つように構え詠唱した。
「――今我に勝利を約束したまえ! 勝利の剣!」
奏楽の両手に光が収束し一本の剣となる。これが女神から与えられた勝利を約束するチート武器である勝利の剣である。
奏楽はさらに背中に翼を生やす。
「ペガサスの翼!」
翼を生やした奏楽は飛翔し二人に声をかける。
「吉塚! ベッシ! 行こう!」
飛び上がった奏楽は剣でオオダイジンの体に剣を突き立てまっすぐに飛び体に一本の傷を作った。
吉塚も詠唱し剣を振るう。
「――今身体の耐久値を上げよ、エクスタフネス! ――今身体のスピードを上げよ、スピードソルジャー! ――今我が剣の威力を上げよ、スラッシュナイフ!」
吉塚の剣でオオダイジンの足を斬る。
するとバランスがとれなくなったオオダイジンはその場でぐったりと横に倒れてしまった。
陸に上がった魚のようにその場でぴちぴち暴れるオオダイジン。
ベッシは頬を膨らませて怒った。
「私の出番なかったじゃん」
〇
クエストが無事終了しギルドへ戻る奏楽一行。ベッシは未だに出番がなかったことをぶつぶつ文句を垂れていた。
吉塚は「しょーがないだろ?」と言うも、分かっているが気に入らないらしい。
「よし分かった。明日またモンスター狩りに行こう。それも格闘戦強いられたら楽しそうなモンスターだ。熊型のモンスターとか巨大猿みたいなモンスターとかな」
「そうしようではないか。忘れんじゃないわよ」
奏楽は出番なくても楽ならそれでいいのに変わっているなあと思うのであった。
ギルドに着き報酬をもらうと食事をすることになったのだがベッシが「お酒を飲もう」と言い出す。奏楽は苦いものを食べたような顔をする。
すると吉塚が「どうした?」と聞くのだが、お酒が入った吉塚がめんどくさいなど言えるはずもなく、
「お酒? 飲みます? 明日の狩りの約束もあるし今日はほどほどにした方がよいのでは?」
吉塚とベッシはゲラゲラ笑いだして言った。
「「それはそれ」」




