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42話 前編 巨大な魚

 レッドコートのメンバーたちが次々と討ち取られていく中、神の世界で見物するだけのロオキ。


「困ったなあ。大事な手駒が消えていくのは本当に悲しいよ」


 彼に近づくもう一人の神オーディオデ。


「貴様ほどの下郎が悲しみを感じることがあるとはな」


「オーディオデ。僕だって意志もあれば感情だってあるのさ」


 オーディオデは金の槍グングニルをロオキの首に突きつける。


「……なんのつもりかな? 神が神を殺していいのかい? 駄目だよね? そういう決まりだろ? 昔からの」


「ああ、そうだな。どこかの酔狂な冒険者にでも討ち取られてほしいものだ」


 ロオキは笑いながら言う。


「なら僕は当分の間、下界に降りるのはやめようかな。勝利の剣を持った子もいるし。なんか、危なそうだしね」


 ついでに文句も垂れる。


「ヘイラーだって、ここまで嫌われなかったのに何で僕だけかなー」


      〇


 王都から追われる身となった組織レッドコートのメンバー。残るは二人となった。

 長髪を束ねた男はその長い髪を切り短髪に、オールバックの髪形にしていた男は上げていた前髪を下げた。今は赤いコートも捨ててしまった。現在指名手配の張り紙では長髪を束ねた男の姿とオールバックの男の絵が描かれている。


 食堂で食事をしていた彼らは改めて自己紹介をしていた。

 髪を下げた男は「そういえばお前の名前は?」と聞く。


「今さらだな」


「……ああ、今さらだ」


 短髪の男は自身の名を答えた。


日比谷克義(ひびやかつよし)


 髪を下げた男も自己紹介する。


「そうか。俺の名は大重和己(おおしげかずみ)っていうんだ」


 和己は水の入ったグラスを持って「乾杯」と言う。克義は彼の意に応え水の入ったグラスを持って乾杯したのだった。

 克義は苦笑いしながら水を飲んで現在の状況を皮肉にした言葉を述べた。


「いつ最後の乾杯になるか分かったもんじゃないがな」


      〇


 奏楽は空を飛んでパトロールをしていた。最近は赤いコートの男の出現はなく、静かな日々を送れている。


「このまま何事もなければいいな」


 そのまま下降していき吉塚が待っている場所へ降りた。


「その様子だと、何事もなかったようだな」


「ああ」


「残りの二人が出てこないにしても、ゲームオーバーくらいにしか思ってなさそうだけどな」


 奏楽はため息を吐いて同感した。


「かもしれないね」


      〇


 吉塚と奏楽とベッシはギルドで新たなクエストを受けるのだった。水龍であるオオダイジンというモンスターの討伐だ。体は魚のような鱗があり足と手が生えている。


 受付でクエストを受注すると出現する川へ移動する一行。

 吉塚は肉まんを食べながら移動しており、奏楽やベッシには「食うか?」と問う。


「いいやいらない」


「私もけっこうです」


 吉塚は肉まんを食べながら残念そうにする。


「そっかー。美味しいのに」


 皆は今オオダイジンの出没する川へと進んでいる。川へはまだ少し距離があり三人は雑談をしながら歩みを進めているのであった。

 吉塚が肉まんを割って強引に二人に半分ずつ食べさせようとする。


「体力つけておかないとな」


 二人はやれやれといった具合で肉まんを半分食べることを受け入れた。

 吉塚は二人が食べているのを見てにっこり笑う。


「それにしてもだな。俺オオダイジン見たことがなくてだな。どんなモンスターなんだ?」


 ベッシが答える。


「私もあまり見たことがないのですが、巨大な魚に手足がついたような感じですかね」


 全く想像ができない吉塚。それをいえば奏楽もだった。

 奏楽は肉まんを食べながら思考する。巨大な魚に手足がついた姿。想像しようとしたが駄目だ、どうもコスプレのような姿になってしまう。

 ベッシは「会えば一目で分かるよ」と言った。

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