41話 後編 組織レッドコートの終わり
王都で暴れているレッドコートのメンバーは残り5人。ピアスを耳につけた男が刀二刀流で兵士たちの相手をしていると、そこに現れたのは大木吉塚。吉塚は剣を抜き詠唱を始める。
「悪いが遠慮はしない。これ以上犠牲者を出さないために。――今身体の耐久値を上げよ、エクスタフネス! ――今身体のスピードを上げよ、スピードソルジャー! ――今我が剣の威力を上げよ、スラッシュナイフ!」
肉体強化を行ってピアスをつけた二刀流の男に向かっていく吉塚。
上から振り下ろされた剣を二本の刀で受け止めるピアスをつけた男。
「なんだ、同じゲームプレイヤーのくせに仲間撃ちかよ!」
「勝手に貴様らの仲間にするな! お前らはただの人殺しだ!」
二本の刀で吉塚の剣を流し、斬りかかるピアスをつけた男。
肉体強化でスピードが上がっている吉塚は剣で受け止めることもなく体をひねって斬撃を躱す。
「そんなに強くなってんのに、どうしてここがゲームの世界だと受け入れないんだ?!」
「たくさんの人の生きる苦悩や苦労を知って、人間じゃないなんて感想が抱けるはずがない」
「だから、そういうのって、ただの設定とかで動いているだけなんでしょうが!」
吉塚は思いっきり剣を振り下ろす。
「そんなわけないだろおおお!!」
二本の刀の刀身が折れる。
「そんな力を持って、何を正義ぶっている。その力、好きに使っていい世界なんだぞ?」
その答えが吉塚により得られる前にピアスをつけた男は兵士たちの剣によって串刺しされてしまった。
吉塚は剣を鞘にしまいピアスをつけた男の最期を見届けた。
「皆生きようとしているだけなのに。それが分からぬ哀れな自由だな」
〇
大鎌を担いだ小柄な男が兵士たちの首を狩り戦場を駆け抜けていた。そのスピードに敵う兵士はいなかったが、戦場に奏楽が介入する。
小柄な男は真っ白な翼を生やして飛んでくる奏楽を見て「なんだ?」と呟く。
「あいつ、冒険者か?」
奏楽は手を前に出し詠唱する。
「――今我に勝利を約束したまえ! 勝利の剣!」
彼の両手に光が収束し一本の剣となった。
「いくぞ!」
勝利の剣を握った奏楽は天高く飛翔すると一気に降下し小柄な男に剣を突き刺した。
小柄な男は刺さった剣を引き抜くと短い悲鳴を上げて去っていった。だが彼の後ろには無数の兵士がおり、彼のとどめを刺すべく追いかけていく。
「今まで散々殺しておいて、一般人にやられる宿命とは。皮肉だな」
奏楽は次の援護に向かうべく再び空へ舞い上がる。
〇
十本の指全てに指輪がはめられた坊主頭の男。彼は詠唱を始めると自身を囲んでいた兵士たちに拳で殴りつけた。
「――今我の攻撃力を上げよ! タイラントインパクト」
彼を囲む兵士たちが次々と拳によってふっ飛ばされていく。
そこへやってきたのはナナ・アルファス。詠唱をし魔法を行使する。人差し指を坊主頭の男へと向ける。
「サンダーライト!」
指から放たれる雷の魔法、坊主頭の男は雷に打たれたようにその場で痙攣して動かなくなる。そのチャンスを逃さず兵士たちが剣でその男を刺しにいく。
「私の家族を守るため!」
どこかの兵士が言った言葉だった。
〇
残るレッドコートのメンバーは二人になった。長髪を束ねた男とオールバックの男。兵士たちから逃れた長髪を束ねた男は「おかしい」と一人で疑問を自分自身にぶつけていた。彼は仲間が一般の兵士たちにやられるのを見てしまった。この世のほとんどがNPCだというのならそれはありえないことだった。NPCはゲームプレイヤーに危害を加えることができないはずだった。
「馬鹿な我々はゲームオーバーだとでもいうのだろうか」
長髪を束ねた男が混乱しているところにオールバックの男が歩み寄る。
「もしかしたら、そうかもしれねえ。覚悟を俺たちも決める必要があるのかもしれない」




