41話 前編 組織レッドコートの終わり
赤いコートの二人組。長髪を束ねた男と赤髪の男はベッシとの戦闘の末、一時撤退をしたのだが、拠点へ戻ると仲間たちから何故逃げてきたかを問われた。
赤髪の男はオールバックの男を見て言った。
「お前の言った通り、サメの格好をしたネタキャラのNPCは強かった」
オールバックの男は「そうか」と呟き、ソファーの上で寝返りをうつ。
赤髪の男は続ける。
「NPCであそこまで強いものかね」
オールバックの男は「知らねえ」と言った。
両手の指すべてに指輪をつけた坊主頭の男は二人のやり取りに突っ込む。
「そんなことを言ってもしょうがないだろ。結局、NPCをすべて倒して人間だけの世界にしなくちゃいけない目標は変わらない」
〇
王都では組織レッドコートを何とかするべく城に冒険者を招集していた。そこにはベッシ・アンデイスの姿もあった。もちろんのこと豊餅奏楽や大木吉塚の姿もある。ノワール・セブーンやナナ・アルファスも集まった。
謁見の間へと集まった冒険者たちは王と王を補佐する宰相の話を聞いていた。
宰相は拘留所に拘束しても脱走し、再び殺人に手を染めるレッドコートのメンバーの彼らを処刑すると宣言した。
そうなってしまうのかもしれないと奏楽は思った。何しろ捕まえてもロオキの手によって脱走してしまうのだから。罪を罪として実感することもできないまま処刑するというのは抵抗感があるが、どうしようもない。
だがこれだけでは済まないかもしれない。もしかしたら、一人処刑してもその分ロオキはどこからか異世界転生させ殺人鬼の仲間を補充する可能性もあるのだ。
単に処刑すればよいという話ではないのかもしれない。
奏楽はそんな意見を王に伝えると頷いて宰相は「ではどうする?」と意見を求めた。
「神であるロオキを何とかするしかないのかもしれない」
〇
神であるロオキは混沌とした異世界を楽しんでいる。歪んだ視点で人が人を殺す光景を楽しんでいるのだ。
この神を倒すしかない。だがどうやったら倒せるのか分からない。
宰相は言った。
「神を倒すことはできない。だから組織のメンバーを倒すしかないのだ」
奏楽は受け入れがたかった。実際に殺人を止めることができないのであれば処刑をしても仕方がないのかもしれない。だが、神の寿命は人間とは違う。これが永遠に続いてしまうことを考えてしまう。
奏楽は「処刑を繰り返すことになってもいいのか!」と訴えると、宰相は厳しい意見を述べた。
「ではどうすればいいのだ? 代替案があって君はそんなことを言っているのか?」
「それは……」
吉塚は奏楽の肩を掴む。
「奏楽、お前が思っていることは皆思っていることだ」
結局、レッドコートのメンバーを処刑することに決まった。それ以外で殺人を止めることができないのは奏楽以外の人もあまり認めたくない内容であった。捕まえたら処刑、捕まえるのが難しい場合殺してもよいという命令。
どちみちこの命令だとレッドコートのメンバーに未来はなかった。
〇
城から出ると奏楽は酒井王林が働いているレストランへと足を運んだ。情報を共有するためだ。
ウエイトレスの格好で外に出てくる王林。彼は奏楽から王都が決めた内容を伝えた。
すると王林は「そうか」と呟いた。
「そういう手を使わないと一般人を守れないのであればしょうがないのかもしれない。そうしないと奴らによって皆殺されてしまうのだから」
赤いコートの男たちは王都のこの決定をどう思うのだろうか。単なるイベントに過ぎないと思うのだろうか。
〇
赤いコートの連中が次に活動したのは王都の町であった。彼らの殺戮に対し王都は兵士を送って対処している。
首輪をつけた男は刀を振るって兵士たちに斬りかかっている。
「NPCに負ける訳がないじゃーん」
赤髪の男は鉄の爪で兵士たちの剣を受け流し斬りかかる。
「まったくよお。NPCごときに負けるはずがねえ」
すると兵士に紛れて戦っていたノワール・セブーンが詠唱をする。
「ローズウイップ!」
薔薇のモンスターが召喚され、植物のつるで首輪をつけた男と赤髪の男の動きを奪う。
「悪かったわねえ。転生者じゃなくて。転生者以外は皆NPCとやらなんでしょ?」
赤髪の男は「くそ、NPCごときに」と呟く。
ノワールが召喚した薔薇のモンスターのつるで動けなくなった赤髪の男を王都の兵士たちが剣で串刺しにするのはすぐであった。
もう一人の首輪をつけた男はやられる仲間の姿を見て発狂する。
「ゲームオーバー?! 馬鹿な!」
そして彼がとどめを刺されるのもすぐであった。




