40話 後編 ロオキとの戦闘
吉塚と奏楽は近くの町へ寄るとモーテルに宿泊し、夕食を近場の食堂で食べることにした。
奏楽は生姜焼き定食を注文し、吉塚は焼き魚定食を注文した。
吉塚が「お酒はどうする?」と聞いてくるので、奏楽は「いや、いらんでしょ」と返す。さすがに吉塚は最近お酒を飲みすぎなのでいらない。
注文が届くまで二人は赤いコートの組織について話し合うことにした。
吉塚がグラスに入った水を揺らしながら問う。
「なあ、これからどうする? あいつらまた一般人を襲うぞ。しかもそんなこの世界の状況をロオキという神が楽しんでいる」
奏楽は「大丈夫さ」と言う。
「僕には勝利の剣がある。この剣さえあれば神にでも勝てる」
吉塚はグラスの水を飲みきってしまうと「そうだな」と返した。
「確かに勝利の剣は必ず勝つ剣。まさしく神々だけが使うチート武器だ」
「本来であればこの剣でロオキは倒せるはず。だけどこの剣の能力を無効化されてしまっていた。作戦を考えなくてはならない」
〇
燃えていく町を遠くから眺める影があった。神ロオキだ。
「またあの子たちがやんちゃしているよ。あはは、あはははははは!」
町が燃えていく光景を目の当たりにして楽しんでいる。
赤いコートの二人組。長髪を束ねた男が炎をまき散らし、赤髪の男が鉄の爪を装備して一般人を襲い切り裂いている。
一人の影が炎に巻かれる町の中を駆け抜ける。サメガールことベッシ・アンデイスである。サメの着ぐるみを着た彼女が赤髪の男の鉄の爪をきぐるみのひれで弾き、さらに尾ひれでキックをくらわせる。
「がはっ」
一旦下がる赤髪の男は長髪を束ねた男に尋ねる。
「もしかして俺たちの仲間の一人がおかしくなった原因のネタキャラなNPCってこいつじゃねえのか」
「だとしたら、倒すのはもったいないな」
赤い髪の男は「でもよお」と声を上げる。
「倒さねえと! 人間だけの世界にならねえからよお!」
両手の鉄の爪をこすり合わせ突進していく赤い髪の男。
鉄の爪が振り下ろされ身を翻して躱すベッシ。さらによこなぎに鉄の爪が振るわれると両ヒレで受け止める。
「あんたらみたいな弱い奴らに負けるわけないよ?」
「おっ、挑発もしてくるじゃねえか。レアすぎんだろキャラが!」
ゲラゲラ笑い始める赤髪の男。
だがベッシはそんな余裕を与えたくもない。両ひれで鉄の爪を流し、両ひれつまりは両手の拳で赤髪の男の腹にいっぱつくらわせた。
吹っ飛んでいく赤髪の男。その隙にベッシを倒そうと長髪を束ねた男が動き始める。両手で印を組み詠唱する。
「火遁豪爆殺の術」
炎が蛇の動きを模してするする進んでくる。ベッシは距離を取り、地面を拳で割ってその破片を蛇のように動く炎へ投げつけた。すると爆発していき、その間にベッシは長髪を束ねた男との距離を詰めていく。
だが両手で印を組み、さらに炎を吐いていく。
ベッシは炎を吐く相手に苦戦していた。距離を取れないのだ。仕方がないから、地面を割って、地面を固めていたコンクリートを投げつけて攻撃する。
長髪を束ねた男は「潮時だな」と呟いて後ろへ下がっていく。赤髪の男も彼に肩を担がれて去っていった。
ベッシは彼らの後ろ姿に叫ぶ。
「二度と来るんじゃねえ! 馬鹿野郎ども!」
敵は去っていき、あとは殺されていない残った者たちで町の消火活動を行うことになる。襲われた町に罪はない。襲われた理由はコンピューターでうごいている人間じゃない者たちが住む町だからだ。
彼らの考えは一度捕まって拘留所に入っても変わることはなかった。




