40話 前編 ロオキとの戦闘
吉塚は剣をロオキへ振り下ろすも杖で受け止められそのまま流されて、杖の先で鎧の上から肩と腹を突かれてしまう。
奏楽は女神フリイグから受け取った勝利の剣で横なぎに振るうも、ロオキは杖を振り回して勝利の剣を受け流し杖を奏楽の頭に振りかざした。
頭から血を流す奏楽。
「奏楽!」
吉塚は奏楽の盾になるように立つ。
ロオキは杖の先を地に突き堂々と腰に手を当てる。
「だからさあ、君たちでは勝てないんじゃないかな?」
吉塚は奏楽に下がっているように伝え詠唱を始める。
「――今身体の耐久値を上げよ、エクスタフネス! ――今身体のスピードを上げよ、スピードソルジャー! ――今我が剣の威力を上げよ、スラッシュナイフ!」
そして果敢にロオキへ向かっていく吉塚。だがその剣はやはりロオキには届かない。
「肉体強化か。うん、なるほどね。それならさっきよりかは戦い安くはなっていると思うけど」
次から次へと剣を振りかざしてはロオキは杖で受け流す。
「僕は神だからね。勝てるかな?」
すると今度は攻撃をやめて吉塚は剣を地に刺し叫ぶ。
「シャイニングエキストラソード!」
彼の影が分裂し同じ姿の存在が8体にまで増えてあらゆる角度からロオキを囲んだ。
「ほう、これはちょっと危ないかな」
8体の吉塚は剣を構える。
「いざ参る!」
分裂した吉塚たちが一斉にロオキに切りかかるもロオキは一つ一つの斬撃に対して反応し躱しきってしまう。
吉塚はあまりの出来事に「馬鹿な」と呟く。
〇
奏楽と吉塚は剣を構えながらも攻撃しない。しても無駄だということが分かっているからだ。
吉塚は剣を握り眉間にしわを寄せて思考する。
「くそっ、いったいどうすればいいんだ」
奏楽も考える。今持っている剣は勝利の剣。つまり勝利を約束するチート武器といっても過言ではない。それでも勝つことができない。そもそもが夢で見た景色ではこれをフリイグも使っていて奴に勝てなかった。
だとしたら、ロオキ自身の特別な何かがある。例えば相手のスキルや能力を受け付けない何かが。
ロオキは自身の顎を触りながら奏楽に語りかける。
「ほーう、君は答えにたどり着きそうだねえ。もう答えにたどり着いてしまったかな」
「あなたは自分以外を受け付けない何かがある」
「そうかい? 僕の反射神経がいいだけかもしれないよ?」
奏楽は「そうかもしれない」と言って勝利の剣の柄を両手で握る。
「それかあなたが自分の周りにいる者の能力やスキルを無効化できる何かを使っている可能性もある」
ロオキは拍手をする。
「当たり当たり。そうじゃなければその勝利の剣で僕はあっという間にぐさりさ。でもそれだけじゃない。僕はスキルアクセルを使っている。だからみんなの攻撃がゆっくりにしか見えないのさ。君の隣の男のシャイニングエキストラソードは危なかった。ゆっくり見えても躱せなかったら意味がないからね」
奏楽は「どうりで」と呟く。
〇
ロオキが戦闘を始めたところで置き去りにされた赤いコートの二人組。長髪を束ねた男は赤髪の男にここを去ろうと提案する。
「ここに俺たちがいても仕方がない。去ろう」
「え、でもよお。これはこれで面白い展開だぜ? このイベントかなり見応えあると思うんだけど」
長髪の男はこの場を去っていく。
「あ、ちょっと待てよ。俺も行くって」
赤髪の男は長髪を束ねた男についていくのであった。
〇
ロオキとの戦いにて勝つには攻撃がゆっくり見えているにしても躱せない攻撃を仕掛けるしかない。両手から勝利の剣を手放す。
「ペガサスの翼!」
ペガサスの翼を背中から生やすと高く飛翔する奏楽。そしてさらにライフルバックからライフルを取り出す奏楽。そして吉塚の方は再びシャイニングエキストラソードを唱える。
上を見ながらロオキは「これは危ないねえ」と呟いていた。
剣を捨てた8体の吉塚がロオキに飛び掛かる。
「これでどうだ!」
8体の吉塚に体を拘束されたロオキ。さらに上空からはライフルで狙われている。
奏楽はライフルの引き金を引く。
「これで終わりだ」
ロオキは様々な方向から拘束してくる吉塚を跳ね除けてライフルの弾丸を躱した。
すると弾丸を躱したロオキは杖を地に突いて魔法を詠唱し始めた。
「君たちと戦うのはこれまでとするよ。今回は単なる挨拶。赤いコートの連中の面倒を見てくれているお礼さ。また会おう」
ロオキの体は光の粒子となって消えていったのだった。




