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39話 前編 戦いの始まり

 ギルドに向かうと吉塚と奏楽は組織レッドコートが復活したことを職員から聞く。一般人をNPCだと思い込んで殺戮を繰り返す危険な組織だ。そんな組織が復活した。奏楽は間違いなくロオキという神のせいだと思い込んだ。

 奏楽は吉塚に「どうする」と聞く。


「そりゃあ、奴らを止めるしかない。なんせ転生者以外はみんなコンピューターで動いている人形みたいな感じだと思っているらしいからな」


 クエストを受注している場合ではない気がした。いったいどこで活動しているのか。それも調べないといけない。

 奏楽はギルドから外に出ると翼を生やして飛翔した。


「ちょっと空から辺りの町の様子を見てくる!」


「おお、頼んだぞ!」


 空高く飛んでいく奏楽。彼の姿を見て吉塚は呟いた。


「空飛べるって、いいよあな」


 空を飛んで数々の町の様子を観察する奏楽。


「なんともなきゃいいけど」


      〇


 赤いコートの男たちは誰も住んでいない一軒家を見つけそこを新たな拠点とするのだった。ただオールバックの男はなんだか気怠そうにリビングのソファーで横になった。

 仲のよい長髪を束ねた男に「どうしたんだ?」と問われる。


「お前らしくない。いつもだったらこういう時は次の仕事にわくわくしてそうに思えるけどな」


「なあ、俺たちがやっている仕事ってなんなんだろうな」


 指十本に指輪をはめている坊主頭の男に「そりゃあお前NPCの排除とそれによるプレイヤーのみの世界の実現だろ」と言われる。


 オールバックの男は「そうなのかもしれんがなあ」と呟く。


「俺、NPCに負けちまったんだよな」


 首輪をつけた男は驚いた。


「お前そんなこと気にしてんのか? 俺なんかゲームプレイヤーにみぞおち突かれてやられたんだぞ。舐めプにもほどがあるだろ」


 そんなことどうでも良さそうにオールバックの男はソファーの上で寝返りをうつ。


「NPCってなんなんだろう。ただコンピューターに従って動いているだけなのかな」


 彼の様子を見て皆げんなりする。

 坊主頭の男はソファーで横になるオールバックの男の太ももを叩いて「お前、大丈夫か?」と声をかけると、太ももを叩かれた彼は手を振って応えた。


「この世界がゲームの世界だから魔法もモンスターも存在している。だから異世界転生していない者はNPCで、神と呼ばれる存在もNPCでしかない。でも俺はそのNPCに負けた。それもサメのきぐるみを着たネタキャラ全開の女に。正直、当分の間はNPCを見たくない。……ちょっと考える」


 長髪を束ねた男は「同情はする」とだけ言い部屋から出ていこうとする。

 赤髪の男はどこへ行くのかを問う。


「おい待てよ。どこに行くんだ?」


「何って、いつも通りのNPC狩りにだ」


 赤髪の男は身を乗り出して玄関まで歩いていく。


「俺も行くに決まってんだろう」


 長髪を束ねた男と赤髪の男は外に出ていった。コンピューターで動く人間を狩りに。つまり異世界転生していない一般の人間を殺しに。


      〇


 一般人を襲う前に奏楽は赤いコートの二人組を見つけ出した。そこですぐに吉塚のところまで戻りペガサスの姿と化した。

 吉塚は首を縦に振る。


「乗れっていうんだな」


 ペガサスと化した奏楽の上に跨る。

 するとすぐさま走り出し助走をつけてそのまま飛び上がった。


「本当に羨ましいよ。空が飛べるのは」


 空を飛んで駆けつけた奏楽たちと、空を見上げる赤いコートの男たち。長髪を束ねた男と赤い髪の男は飛んでくるペガサスとそれに乗る剣士を見る。

 長髪を束ねる男は「来たか」と呟く。

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