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38話 前編 戦いが始まる気配

 飲み会でそのまま眠ってしまった吉塚は顔面に当たる生暖かい感覚で目を覚ました。赤い竜討伐の時からついてきている巨大な柴犬が吉塚の顔面を舐めていたのだ。どうやらお店の中に入ってきてしまっているようだ。


「あ~、君ですか~」


 まだ少し酔いが回っているようでよたよたした声でしゃべる。周りにはベッシが寝ていたり、ナナが吉塚に寄り添って寝ていたりする。奏楽とノワールは帰ったらしい。


「やばい。退店しなかったことでお店の迷惑になる」


 お店の店員は飲みグラスや皿を洗っていたりする。


      〇


 吉塚は巨大な柴犬を連れて外に出る。ナナはまだ眠そうに瞼をこすっている。ベッシも同じく眠そうであくびをしていた。


 吉塚は「今日はもう帰ろう」と提案するが、後ろには巨大な柴犬がついてきている。

 後ろを振り向くと巨大な柴犬の顔が吉塚の方を向いていた。


「一緒に、帰る?」


 柴犬は尻尾を振ってワンッと吠えるのだった。

 異世界の賃貸物件で暮らす吉塚は巨大な犬を入れてあげるスペースがなく、代わりにナナの家に連れて行ってもらうこととなった。ナナの家は一軒家であり、両親と一緒に住んでいる。吉塚の家の前で待機するような生活をするよりはよい生活ができるだろう。


      〇


 奏楽は霧の町の中でモンスターと戦っていた。モンスターの姿は巨大な蜘蛛で尻から糸を出して罠を作るように這いまわっていた。奏楽の足が糸に引っかかり次々と糸が体に絡まっていく。


「く、くそ!」


 エクスマキナの少女すずが援護に回り、ナイフで糸を切ろうとするが柔らかく伸びる糸を切るのは難しかった。

 すずは拳銃を取り出し蜘蛛を狙うも蜘蛛は町中の壁を這いまわって狙いが定まらない。


 奏楽は詠唱しペガサスの翼を背中から生やすと、蜘蛛の糸ごと飛翔し空へ舞ったのだった。

奏楽はライフルバックからライフルを取り出し狙いを定めようとするも動きが早く狙うのが難しい状態であった。


「ならば……」


 飛翔した奏楽は急降下し蜘蛛に向かって加速する。


「翼で打つ!」


 巨大な蜘蛛は奏楽の翼の一撃をくらい町の路面を転がっていった。奏楽は地に足をつけると翼を畳んで巨大な蜘蛛へと近づいていった。蜘蛛はぴくぴく痙攣しているようである。奏楽はとどめを刺すべくライフルバックからライフルを再び取り出し至近距離で銃弾を撃ち込んだ。


      〇


 その夜、奏楽はとある夢を見た。女神フリイグがロオキという男神と戦っていたのだ。フリイグは剣でロオキの杖を弾き攻撃をしのいでいた。何故戦っていたのか、奏楽には分からない。ただ、フリイグは攻撃を防ぐように対応しているようで倒そうとはしていなかったように思える。


 朝起きた奏楽は自分の部屋から外を眺めた。

 自分でもよく分からないざわめき。これから何か起こりそうな気がしてならなかった。


 朝食を食べて警察署へ行く奏楽。今日もエクスマキナの少女すずとともに霧の町のモンスター退治となる。

 警察署に着くなり異世界研究捜査部で佐々木警部補は奏楽の様子を見て心配し声をかけた。


「奏楽さん。何かあったんですか?」


「いや、変な夢を見てちょっと気になっているんです」


 佐々木警部補は「そっかー」と呟く。


「でも夢は夢だからね。どんな夢を見たのか分からないけど。あまり気にしなくても大丈夫だと思うよ」


「そうですね、お気遣いありがとうございます」


      〇


 異世界でのモンスターの反応があり、異世界への扉を開くすず。光の輪を通って異世界へと辿り着くなり、いきなりモンスターが飛びついてきた。人型だが毛が一切生えてなく手も足も爪が鋭利で長く危険だ。

 モンスターの腕を掴んで攻撃を防ぐ奏楽。その後ろからナイフを引き抜いたすずがモンスターに切り付けていく。


 モンスターは叫び声を上げて後ろに下がってしまった。

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