37話 前編 でかい犬
レッドコートのメンバーを捕らえ終え、皆は再びいつもの生活に戻っていくことになった。
焼き肉屋での飲み会で奏楽は王林にこれからどうするのかを聞いていた。
王林はとあるレストランでウエイトレスをやっているらしく、しばらくはそこで働いてみるらしい。
ベテラン冒険者のベッシはギルドの依頼を受けて明日も何かを討伐しに行くらしい。酔っぱらっている吉塚は「俺も一緒に連れてけー」と声を上げていたが、実際に本当に行くかは分からない。なにせ酔っぱらっているのだから。
奏楽の方は変わらずエクスマキナの少女すずと共に魔女の保護を行うこととなる。
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次の日の朝、奏楽とすずは霧の町にてモンスターと魔女の捜索を行っていた。すると二メートル越えのミニチュワダックスフンドを連れて二本足で歩く黒猫に遭遇した。霧の中でか犬をリードで繋いで猫が散歩している。シュールな光景だ。
奏楽は思った。あれがモンスターなんじゃないだろうか。声をかけると黒猫は肩を震わせて「やあ」と返した。
「君の連れている犬。でかいね」
「そうにゃ。僕の連れている犬はでかいんだにゃ」
奏楽は引き続き問う。
「もしかして、モンスターじゃないのかな?」
「にゃ! そんな言い方はないんだにゃ。ただでかいだけでモンスター扱いしたら可哀そうなんだにゃ」
奏楽は心の中がもやもやしながらも「そうんだね、ごめんよ」と言い、捜索を続けるのであった。
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モンスターはとある一軒家の屋根にいた。人型の鳥のようだ。くちばしがついていて腕から伸びるのは翼である。そして足は鳥の足のようで四本の指が左右についている。
すずに「いたぞ」と声をかけると「はい」と返事をする。
「任務開始。鳥獣の人型モンスターを討伐します」
奏楽は詠唱しペガサスの翼を背中から広げる。
「ペガサスの翼!」
両手ですずの手を握り飛翔して屋根の上までやってくる。
すると人型の鳥獣のモンスターは「何奴?」と言葉で反応する。
「言葉が喋れるのか?」
「貴様たちこそ何者だ?」
すずが拳銃を取り出すと撃たないようにさえぎるように彼女の前に出る奏楽。
「君は何者なんだ?」
すると下から声がする。あのでか犬と散歩をしていた黒猫であった。
「その人はよい人なんだにゃーん! 攻撃しちゃダメにゃんだからあ!」
でか犬を置いて屋根まで自力で登ってくる黒猫。
「駄目なんだにゃ。攻撃はしちゃ駄目なんだにゃあ」
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黒猫の話を聞くと、この人型鳥獣のモンスターは動けない人の代わりに薬を貰ってきたり、荷物を運んだりしてくれるらしい。討伐してはいけないモンスターであった。
奏楽たちは鳥獣のモンスターとともに黒猫の家に入ると猫の飼い主の女主人がお茶を出してくれたのでそれをいただいた。ミニチュワダックスフンドのでかい犬は家の中でくつろいでいる。
話を聞く限りではどうやらこの女主人が魔女らしい。
自分がいるところに霧が発生しやすくモンスターも湧いてくるらしい。彼女はそれを受け入れて生活していた。霧が発生すると霧が止むまで家の中で生活する。この町では他の人もそうやって生活している。彼女をこの人型の鳥獣モンスターは守っていたのだった。
猫が犬の散歩にでかけていたのは慣れである。生活するのに霧が出るのは当たり前になっていたからだ。
その慣れのため奏楽がやってきて魔女の救済を知った女主人は驚きと同時に喜んだ。これで遠慮して生活する必要がなくなり、自分のせいで発生する霧だったりモンスターだったりで周りに迷惑をかける必要もなくなるのだ。
この町には教会はないらしく、教会のある場所まで一緒にいくこととなった。
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吉塚とナナはベッシのモンスター退治に付き合うこととなった。
吉塚は昨晩一緒について行くと言っていたが、案の定酔っぱらいの戯言で覚えていないらしい。
ナナは「あんまり飲んじゃだめだよ」と訴える。
「ああ、すまない。ほんとすまない」
これからはお酒を飲むのは自重することだろう。
森の中を進んでいく三人。彼らの今日の目標は飛竜の討伐であり、赤い竜と呼ばれている炎を吐くドラゴンだ。赤い竜は巨大で二十五メートルもある。
ドラゴン退治は吉塚の得意分野でもあるのだが、ベッシはファイターのため一人で拳で勝負しようとしていたのだから驚きである。




