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33話 後編 組織レッドコート

 ローズドラゴンに拘束されている赤いコートの男たち。だが、ずっと拘束されている彼らではなかった。

 刀でつるを斬り次々と脱出していく。

 赤いコートの男たちは自由になり、電撃を浴びて動けなくなった仲間の小柄な男を担いで退散していった。


 オールバックの男は奏楽に向かって中指を立てて暴言を吐く。


「ばーか」


 やはり赤いコートの男たちは何も理解していないらしい。


      〇


 赤いコートの男たちの対処をしたことで王都に呼ばれることとなった奏楽。王都では王からの命令が待っていた。あの赤いコートの男たちを討伐してほしいというのだ。

 王国も彼らの行いには困っていたらしく、対処できる者を待っていたのだ。


 奏楽も奏楽で困った。何せ相手は生身の人間なのだ。モンスターではない。

 討伐せよといっても命を奪うことはできない。だが止めなければ彼らの危険な思想のために多数の人間の命が犠牲になってしまう。


 王都での謁見が終わると奏楽は頭を抱えた。


「どうすればいいんだ」


 王の言う通りとするならば命を奪うことになる。だがそうしないためには彼らにこの異世界の一般人を殺してはいけない認識を覚えてもらうしかない。それをどうやって覚えてもらうのか。神が出てきて忠告されたころでゲームのイベントとしか認識されないのだから困ったものである。己の行いの意味が分からない者にいったいどうやったら人を殺してはいけないかを問えるのか。難しい問題である。


      〇


 赤いコートの男たちは拠点となる一軒家へと戻ってくるとそれぞれソファーに座るなり炭酸飲料を飲むなりして休息をとっていた。

 オールバックの男が坊主頭の男に話かける。


「なあ、ちょっといいか?」


「なんだ?」


「あのさあ、なんであいつらゲームの世界でいい人ぶって好き勝手しないんだろうな? ゲームの世界の意味なくね?」


 坊主頭の男は腕を組んで考え事をして唸り声をあげる。


「難しい質問だ。彼らは正義を行っている。そこに愉悦を覚える人種なのかもしれない」


 オールバックの男はげんなりした表情になる。


「マジで? 好き勝手やってああいう行動に出るってこと?」


「そういうことかもしれん」


 分かり合えそうもない奏楽たちのことを思うと頭が重くなっていった。


      〇


 奏楽は王都の帰り道一人考えていた。いったいどうすれば殺しをする者を殺さずに理解してもらうことができるのか。どうやったら認識を改めてもらえるのか。

 ノワールは「無理なんじゃない」と言う。


「だって人を殺しちゃダメな理由が分からない人たちなんでしょ。やっちまうしかないわよ」


 ナナも頷いていた。


「そうなのかなあ。それで解決なのかなあ」


「人を殺す人がいなくなれば解決でしょうね」


 ノワールは冷淡に話すが、それでは目的のために人を殺す奴らと同じなのではないかと思ってしまう。


「誰も死なずに解決する方法はないんだろうか」


「今回ばかりは駄目よ。常習犯の人殺しを止めるには一生鎖でつないでおくか、殺すしかない」


 ノワールの「一生鎖でつないでおくか、」という発言にヒントを得た奏楽。


「それだ! それだよ! 理解できるまで一生鎖でつないでおけばいいんだ!」


 奏楽も奏楽で案外きついことを思い浮かぶと思ったノワール。


「ほぼほぼ終身刑ってことね。それで解決って、奏楽もなかなかに厳しいこと言う」


      〇


 赤いコートの小柄な男が町で好き勝手に単独で殺人を行おうとしていたところであった。助けを求める叫び声を聞いてやってきた吉塚によって取り押さえられる。


「お前、何をやっている?」


「お前こそなんだお前! 邪魔すんじゃねえ」


 吉塚は掴んだ腕を離さず「何をしているか質問しているのはこちらだ」と威圧するように問う。


「NPCを殺そうとしていただけだろうが!」


「ふーん、でNPCってなんだ?」

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