33話 前編 組織レッドコート
赤いコートの大鎌を持った小柄な男が王林を狙って接近してくる。
奏楽は叫び危険を知らせる。
「狙われているぞ!」
王林は召喚板にカードを一枚配置しさらにモンスターを召喚する。
「こいっ! ルビーマン!」
顔に赤い宝石が埋められていて目も口もついていない。手は鋭い棘になっており五本の指もないモンスターが王林を守るべく召喚される。
ルビーマンは大鎌を持つ小柄な男の前に立ち塞がり手から伸びる棘で攻撃する。
小柄な男は彼のモンスターの召喚振りに思わず呟く。
「なんだよ。お前だって異世界生活楽しんでいるじゃねえか。俺たちといったい何が違うっていうんだよ!」
赤いコートの小柄な男の言葉に対して魔王になろうとしていた自分と重ねてしまう。
「異世界は、そんな自由な場所なのかな……」
悲し気に呟く王林に喝を入れる奏楽。
「今悩んでいる暇はない! こっちは劣勢なんだぞ!」
三頭の飛竜が六人も相手にしている。いかに強力なモンスターといえど相手は転生者。やられるのも時間の問題だ。
奏楽はペガサスの姿となり、三頭の飛竜の援護に向かう。
〇
フクロウの見た目をした胴体に巨大な一つ目があるモンスターを倒した吉塚は手を組んで体を伸ばしていた。
「いやー飛んでいるのを仕留めるのは苦労する」
フクロウのようなモンスターを倒すのに小型爆弾を使ったり、おびき寄せるための鳥獣の笛を吹いたりして討伐をするのに大分工夫したのだった。
「いやー疲れた」
吉塚はモンスターから剥ぎ取りを行うと羽を手に持って思う。
「俺も空を飛びてえなあ」
〇
援護にペガサスと化した奏楽がいるとしても三頭の飛竜は六人を相手に戦っている。これはまずい状況である。
三頭の飛竜が光線を発射すると、六人は散り散りとなり躱してしまう。ペガサスの羽で攻撃しようともそれも身を翻して躱されてしまう。
赤いコートの坊主頭の男がペガサスの姿となった奏楽に興味を持つ。
「すごいじゃないか。転生者の変化でペガサスとは。見たことがなかった」
他の赤いコートの男たちが一斉に三頭の飛竜に刀で襲いかかると、三頭の飛竜は翼で風を起こし攻撃の邪魔をして身を守った。だが、この状況はやはり多勢に無勢。このままでは押されてしまうのも時間の問題だ。
そんな時、聞きなれた女性の声が聞こえてきた。
「負けてんじゃないわよ!」
後ろを振り向くとそこにいたのはノワールであった。
ノワールは詠唱をしモンスターを召喚する。
「いでよローズドラゴン!」
薔薇の姿をしたドラゴン。ローズドラゴンは棘の生えたつるで赤いコートの男どもを捕まえて動きを封じてしまう。
奏楽はペガサスの姿から人間体へと戻りノワールに駆け寄った。
「ありがとう」
「ナナも来てるわよ」
顔のない赤い宝石が埋められていて目も口もついていないモンスターと大鎌を持った赤いコートの小柄な男と戦っている最中、突然の雷撃が割り込んだ。
「サンダーライト!」
ナナの人差し指から雷が飛び赤いコートの小柄な男に命中する。すると雷を浴び動きを封じられその場に座り込んでしまった。
「二人とも、ありがとう」
奏楽は気のゆるみでその場にへたり込んでしまった。
〇
ローズドラゴンのつるに捕まったオールバックの男が大声で叫び抵抗する。
「ふざけんなてめえら! プレイヤーがプレイヤーを妨害してどうする?!」
とりあえずノワールとナナはこの状況が理解できないため奏楽が説明することに。
――赤いコートの男たちはこの世界をゲームだと思っていて、一般人を殺すことをなんとも思っていない寧ろ使命だと思っている。そんな彼らを止めるために奏楽と王林は動いたのだった。
奏楽は王林に「そういえば名前はなんていうんだっけ?」と聞く。
「僕の名前は王林。酒井王林。前世の名前をそのままにしている」
「そっか。俺は豊餅奏楽。味方になってくれてありがとう王林」
奏楽と王林は握手を交わす。




