31話 前編 赤いコートの二人組
異世界に転生した者は一人ではない。奏楽含め吉塚もいれば、まだまだ他にも転生した者がいる。そして全てが善であるわけではない。
異世界の一般人をコンピューターで動くキャラクターのように見ている者もいる。
「このNPCどもがよ! 斬り放題な訳よ!」
刀で一般人を襲って斬り付ける者がいた。
「斬って斬って、斬り斬り斬り斬り!」
容赦のないその行いは王国の耳に入り軍隊を送られるほどであったが、軍隊でも転生者には勝てなかった。
赤いコートを身に着ける集団。名をレッドコートといった。
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リンゴで栄える東の町イズルーンへとやってきていた奏楽とエクスマキナの少女すず。そこで霧が発生していてモンスターが出現しているらしく討伐と魔女の保護のため向かっていた。
そこで出るモンスターは動きがゆっくりで本来であれば誰でも狩ることができるのだが、精神支配の能力があるらしく、狩る前に精神をやられてしまうらしい。精神支配系の場合、機械仕掛けで精神攻撃が効かないエクスマキナはよい相性となるだろう。
討伐へと向かう霧の中で、男のテンションの高い声が聞こえてきた。
「斬り斬り! 斬り斬り斬り!」
モンスターと刀で戦う男。
そこへやってくる奏楽とすずは刀で刻まれていく人型のモンスターを目にする。倒れるモンスターを目にして刀で戦っていた男の元へと奏楽は近づいていく。
男の見た目は赤いコートを着ていてオールバックの髪型をしていた。
「おー、なんだお前ら」
「俺たちはこのモンスターの討伐の依頼を受けた者です。先に来て討伐してくれていたんですね。ありがとうございます」
「あっ? ああん。そういうことか。お前ら冒険者か。まあ、感謝するんだな」
そう言って刀を鞘に納めるオールバックの男。
「報酬はいらねえから。じゃあな」
そのままどこかへ去っていくのだった。
〇
オールバックの男は他の赤いコートを着ていた男と待ち合わせしており、待ち合わせ場所にやってくると、そこにいた長髪を束ねた男に「お前また遊んできたのか?」と問われる。
「いいじゃねえか。モンスター狩りは久々でなあ。人間と違ってやられる時に騒がねえ。潔いもんだぜ」
「分かった。次の町へ行こう。霧が出てない町じゃないとコンピューターで動く人間がいない」
オールバックの男は「そうだなあ」と言い一人で盛り上がる。
「斬って斬って斬りまくるぜ!」
〇
どこか人通りの多い町にたどり着いた赤いコートの男たちは着くなり人に襲いかかった。オールバックの男は刀で背後からバッサリと斬り付け声を上げる。
「一人目えええええ!」
もう一人の赤いコートの男も両手で印を組み炎を吐く。炎に巻かれた者は暴れて助けを乞いながら動かなくなっていく。
町の様子がおかしいと思いレストランから飛び出していく王林。王林はウエイトレスの恰好のまま左手に召喚板を付けて人々を襲う者たちの前に立ち塞がっていく。
「お前ら何やっているんだ!」
赤いコートの男たちは召喚板を身に着ける王林を見て、転生者であることを直感で感じた。
オールバックの男は「転生者か」と言い刀を肩に担ぐ。
「お前も転生者なら、俺たちと一緒に楽しまねえか? こいつら皆コンピューターだ」
「なんだと?!」
聞いたことがなかった。生きている人たちが皆コンピューターだというのか。
「コンピューターってどういうことなんだ?」
長髪を束ねた男に説明される。
「この世界はゲームの世界。俺たちはそのプレーヤー。俺たちはプレーヤーだけの世界を作ろうと思っている」
王林はいかれていると思いながら「コンピューターだって証拠はどこにあるんだ!」と声を上げる。
オールバックの男が答える。
「そんなの決まっている。ここがゲームの世界なら、ここの住人はゲームのキャラクターさ。ほら剣や魔法の世界。精霊だっている。だとしたらほら、ゲームやっているとあるだろ、車を奪って逃走したり、一般人を銃で撃ったり、そういうのさ」
「そんなことのために女神様は転生させたんじゃない。それにここはゲームの世界じゃない! 何を言っているんだあんたたちは!」
召喚板にカードを一枚配置しモンスターを召喚する。
「いでよ! シルドラ!」
シルフとドラゴンの混血である緑色のドラゴンが召喚される。
オールバックの男が「なんだよそっちもゲームやってんじゃねえか」と呟く。




