30話 後編 魔王は終わり
王林は肩を落として降参した。
「僕の負けだ。このドラゴンで勝てないんじゃ。……僕は魔王の座から降りるよ」
ペガサスの背から降りた吉塚は「その方がいい」と言う。ペガサスから人間の姿へ戻った奏楽は肩を回す。
「よかったよかった。これで一件落着だ」
倒れた三頭の飛竜へ駆け寄る王林は傷ついた三つの頭を撫でるのであった。
「ごめんな。ゆっくり休んでくれ」
召喚板から配置されていたカードを外すと三頭の飛竜の実体が消えてなくなった。
〇
戦いが終わってギルドへ向かうと魔王討伐の依頼報酬が支払われた。王林は魔王城への入場を禁止されもう自身が魔王であると語ることができなくなった。これからはただのモンスター使いの少年だ。
王林は付き人であったオーウェルに「もう魔王じゃないから、どこにでも好きなところに行ってほしい」と告げた。
オーウェルは王林が魔王でなくなることが受け入れがたいらしく、「魔王様」と何度も漏らしていた。
「オーウェル。僕はもう魔王じゃない。だから魔王様はやめてほしい」
「そんな……」
信頼し慕っていた魔王は魔王という立場を失いオーウェルは放心状態であった。
「魔王様が消えたら、私はどうしたらよいのだ」
王林はオーウェルの肩に手を当てて「ありがとう」と言うのだった。
「自由になっていいんだよ」
〇
みんな新魔王との戦いに疲れたらしく、皆家に帰ることとなった。
エクスマキナの少女すずとの待ち合わせ場所のカフェへ行くと、椅子に座って休んでいる彼女の姿があった。
「充電中悪いね」
「いいえ、特に負担はありません」
すずが右手を外して脇に抱え右腕を前方に構えると光の輪が出現した。その中へ奏楽とすずは入っていき元の世界へと帰還したのだった。
いつものように警察署へ行き活動報告をする奏楽。彼の言葉を聞きながら佐々木警部補がパソコンに文字を打ち込んでいく。大島警部はお茶を奏楽に出し質問などをしていく。
すずは段ボールの中でうずくまっている。充電中であり彼女の定位置である。
報告を終え家に帰るとすぐさま自分の部屋へ行きベッドに横になった。
「あー疲れたー」
疲れが溜まっている状態であり、そのまま就寝するのであった。
〇
次の日のこと。
サメガールことベッシはアンデッド討伐の依頼を受けるようであった。協力してくれたお礼に奏楽たちもその依頼に同行することに。
墓場近くのダンジョンであり、採掘が進められている場所であった。
奏楽はダンジョンは初めてであり、少し緊張している。
ベッシは掲示板の依頼書を剝がし取って受付へと持って行った。
〇
五人はダンジョンへと足を踏み入れる。入り口は洞穴となっており、洞窟のように見える。
ずんずん歩いて進んでいくと、スケルトンが待ち伏せしており、数体の骸骨が剣を持って向かってくる。
奏楽はライフルバックからライフルを取り出し構え、ファイターであるベッシと剣士である吉塚が突撃していく。後ろではノワールとナナが魔法の詠唱をして攻撃の準備をしていた。
ノワールとナナが人差し指をアンデッドたちへ向ける。
「「サンダーライト!」」
人差し指から雷撃が飛びスケルトンを解体していく。
吉塚の剣がアンデッドを一刀両断し、ベッシが拳で同じくアンデッドを砕いていく。隙を見て奏楽がライフルでアンデッドの眉間に銃弾を撃ち込んでいく。
この戦いの中で皆が自分の役割を徹底している。
〇
アンデッドの掃討が終わると休憩して持ってきていたサンドイッチを皆で食べた。吉塚は卵サンドが好きでそればかり食べている。
大体アンデッドを倒し終えたので、ベッシがそろそろギルドへ戻ろうと提案をする。
皆その提案に賛成しダンジョンから出ることに。
吉塚はそんな提案に賛成しながらも「お宝が欲しかったなあ」とぼやいている。ナナはそんな彼に「ミミックばかりですよ」と突っ込みを入れる。
確かにダンジョンはミミックばかりだ。本当のお宝はそう簡単に手に入らない。




