30話 前編 魔王は終わり
魔王の城へ再びやってきた奏楽一行。今回はサメのきぐるみを着たサメガールことベッシ・アンデイスも尽力してくれることに。彼らはまだ王林を魔王の座から降ろすことを諦めていない。最悪の場合、国の軍隊が出陣する可能性だってある。そんなことになってはたくさんの犠牲者が出てしまう。それに魔王である王林の命だって危ない。その前に魔王を玉座から降ろさないとならない。
玉座のある謁見の間へとやってきた。するとやはり王林が戦いの準備をしている。左手に召喚板が装着されていていつでもモンスターを召喚できるようにだ。
王林は奏楽たちに笑顔を向けた。
「またやってきたのか。まだ勝てると思っているのかな?」
奏楽は「勝つとか負けるかじゃない」と言い返す。
「君を止めないと、いずれは国が動く。そうなればたくさんの命が犠牲になる。勝つとか負けるとかじゃないんだ! だから君を俺たちは必死で止める! それに魔王の立場じゃなくてもできることはたくさんあるはずだ!」
「でも僕は魔王から降りるつもりはない。戦いしかないんだよ。この世はそれで回っている」
カードを一枚召喚板に配置し、三頭の飛竜が召喚される。
「僕に、このドラゴンに勝ってごらんよ」
〇
三頭の飛竜が突進してくると、ベッシがサメのきぐるみのヒレ、つまりは両手で抑え込んだ。
ノワールは驚いて思わず声が出てしまう。
「すごいっ、サメガール強い!」
にやっと笑うベッシは「サメガールは強いのだ!」と言って、抑え込んだドラゴンの三つあるうちの真ん中の頭に頭突きをかます。
三頭の飛竜にダメージが入ったようで怯んだ。
王林は少々焦って「怯むなっ!」と声を上げる。
「いけ! かっこいい僕のドラゴン! 閃光のバースト!」
ノワールは破壊力の高いやばい攻撃がくることを予感して両手を前に出し防御魔法の詠唱を始める。
「――我らを守れ、シールドダークプラス」
黒い靄が奏楽たちを囲み薄い膜となる。
両手を前にかざすノワールはナナにもシールドを展開するように指示を出す。
「私ひとりじゃ無理。ナナもシールドを出して!」
ナナも前に両手をかざして詠唱する。
「――私たちを守って、ゴールドスピードシールド!」
黒い膜のシールドに対して金色の膜のシールドが上から被さるように展開される。
三頭の飛竜の三つの口から光線がそれぞれ発射されシールドへ命中する。もろに受ければひとたまりもなくすべて吹き飛んでしまうことだろう。
光線が当たり続け金色のシールドにひびが入る。
ナナが弱気な発言をする。
「限界かもしれない……」
金色のシールドが砕け、黒いシールドにダメージが入る。だが光線は弱くなっていきそのまま光線の照射は終わるのであった。
王林は眉間にしわを寄せる。
「閃光のバーストを耐え切るだと……」
〇
奏楽は吉塚に提案する。自分がペガサスになるから君を乗せて必殺の分身技で仕留めようという案だった。その案に吉塚は了承した。
「いいじゃないの。次の来る前にとっとと仕留めちゃおう」
奏楽は「ペガサス!」と叫ぶと体が馬へと変化し白い翼が生えた。吉塚は彼の背に乗る。
「さあ、行こうぜ相棒!」
ペガサスの背中を優しく撫でると羽ばたいて飛び立った。
三頭の飛竜へ向かって飛び、吉塚は剣を引き抜いて詠唱する。
「シャイニングエキストラソード!」
ペガサスとペガサスに乗った吉塚が八体の分身に分裂し、三頭の飛竜を取り囲む。
王林は危険な状態の三頭の飛竜に指示を出す。
「三頭の飛竜! 閃光のバースト!」
三つの口から光線が発射する前に八体の吉塚の剣によって体が刻まれていく。
魔王城の壁に三頭の飛竜が背中から衝突し倒れてしまった。
「馬鹿な。僕の最強無敵のドラゴンが負けるなんて……」




