29話 後編 最強の三頭の飛竜
ギルドに戻ると任務失敗したことを告げた。これからギルド掲示板にまた魔王と魔王軍討伐の張り紙が再びされることになる。おそらく彼ら以外の誰かがこの任務を引き受けることになるだろう。
それにしてもだ。三頭の飛竜の強さは予想外であった。ノワールも見たことがある。三つの頭から放たれるブレスはまさにオーバーキルであった。ブレスを使わなくともこんなにも強い。
簡単には魔王は討伐されないだろう。
奏楽はギルド内のカフェで水を飲み吉塚は汗をタオルで拭いていた。
魔王から降ろさない限り王林は狙われ続ける。討伐依頼が出ている以上、場合によってはどこぞの冒険者に命を奪われる可能性だってあるのだ。どこかの国の王様が軍隊を差し向けるかもしれない。悪い奴ではないのだ。このままにはしておけない。
奏楽はみんなの顔を見ながら言った。
「作戦会議だ」
〇
魔王王林は次から次へとやってくる冒険者の相手をしていた。だがどの冒険者も三頭の飛竜には敵わなかった。それほどまでに強いのだ。
王林は玉座に座り続ける。そして挑戦者が現れるのを待ち続ける。玉座に座り続ける王林は付き人のオーウェルに問う。
「なあ、僕は間違えてないよな?」
「何を言っているのですか魔王様。魔王様が間違っているはずがございません。魔王様がいらっしゃるからこそ、私は救われたのです」
王林は「そうだよな」と言い肘をついて手のひらで顎を支えた。
「僕は間違ってない」
〇
魔王城では魔王王林を倒すべく冒険者が集まっていた。大剣を振るう巨漢の男。尖った帽子をかぶる魔法使いの女。弓矢使いの長い髪を一束に束ねた男。精霊を召喚する召喚士の男。
かつて教会が魔女に焼かれた際の悪魔アスモデウスの討伐に集まった冒険者たちだ。
「いでよ! 僕の三頭の飛竜!」
魔王によって召喚された三頭の飛竜は集まった冒険者たちを見据える。
精霊を召喚する男が詠唱を始める。
「今、我が名に従い風を成し悪を閉じ込めよ! ――シルフ!」
風の精霊が呼び出され風の壁で三頭の飛竜を閉じ込める。巨漢の男が風に乗り頭部の上から切りつけようと大剣を振りかざす。だが三頭の飛竜は風の壁をぶち壊し飛翔して攻撃から逃れる。
距離をとった三頭の飛竜に対し弓矢使いの長髪の男が一気に六本の矢を放つ。
尖った帽子をかぶる魔法使いの女がその弓矢に対して魔法をかける。
「フリーズドライブ!」
氷の属性を得た矢が三頭の飛竜に飛んでいく。
だが三頭の飛竜の方は翼で風を起こし弓矢での攻撃を退いた。
巨漢の男は三頭の飛竜の戦い方に思わずつぶやいた。
「……強い」
三頭の飛竜の戦い方は知能がある戦い方だった。
王林は高らかに笑う。
「そうだ! 僕の一番のお気に入りのドラゴンは強いのだ!」
〇
魔王と魔王軍を討伐すべくやってきた冒険者は一旦撤退していった。今の戦い方では魔王のドラゴンは倒せないと結論が出たからだ。
彼らが撤退するのを空高くから奏楽は眺めていた。
「さて、どうしたものか」
名のある冒険者たちでもどうしようもなかったらしい。それほどまでに王林のドラゴン、三頭の飛竜は強い。
奏楽はこの情報を持ち帰り次の作戦を立てた。




