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27話 前編 魔女の救い

 魔女が減ってきたと誰もが思っていたところだ。だが同時に誰もが予想していたかもしれないことが起こった。

 それは魔女のままでよいという女性が現れたことだ。魔女のままだとモンスターの発生がその者の周りで起こり続け、別の世界にも影響が起こりこの異世界へ遭難する人が出てきてしまう。奏楽が異世界へ遭難したように。運が悪ければ命を失っていたかもしれない。


     〇


 神の世界からとある魔女の様子を見ていたオーディオデは不愉快極まりないと暴言を振るった。


「この人間どもは汚物であるな。呪いから解き放ってやろう言うとるのになんたる様だ」


 フリイグは彼の態度に物申す。


「しかしながら、永遠ともいえるような孤独と自分のせいではないながらも迷惑を振り撒く存在になってしまって、いきなりこれで終わり、後は私たちのように生きてねと別の人間に言われたら虫が良すぎる話に聞こえます。彼女たちにとってはそんな感覚なのではないでしょうか?」


「喋りすぎだなフリイグ。だから意地が汚いと申しておるのだ私は。解決しないのが心の問題というのは厄介だ。あいつをぶつけてみろ」


 フリイグは首を曲げて疑問を覚えながら問う。


「豊餅奏楽ですか?」


「そうだ。あいつならそういう繊細なところに介入するのが得意分野であろう。あやつに任せよ」


 フリイグは頭を下げて承認する。


「承知しました」


      〇


 三本の足が生えた巨大な鴉を相手に奏楽とノワールは戦闘を行っていた。ノワールの魔法攻撃は全て躱され、奏楽は翼を生やして上空を飛び回り鴉の行く手を阻んでいた。

 ライフルバックからライフルを取り出し照準を定める。


「……当たれ」


 引き金を引くと弾丸が射出され巨大な鴉の胸を貫いた。墜落していく鴉。地面にぶつかると砂埃が舞った。ノワールは死亡を確認した。

 だがまだもう一体いる。三本足の鴉はノワールに向かって飛んでくる。

 ノワールは魔法を詠唱し攻撃に備える。


「ウオーターハザード!」


 空中に水流を作り出し渦が巻くと三本足の鴉へとぶつけた。水流に巻き込まれうまく飛ぶことができずにそのまま墜落していく。

 さらに魔法を使って追い込みをかける。


「ローズウイップ!」


 薔薇のモンスターが召喚されつるが絡みつき三本足の鴉に身動きをとらせない。

 その隙にライフルを構え狙いを定める奏楽。狙撃を行い二体目の三本足の鴉も動かなくなってしまった。


      〇


 奏楽とノワールがギルドへ戻る途中、フリイグの声が頭の中で響いた。


 ――これからあなたたちには魔女との対話をしていただきます。


 どういうことだと思いながらも冷静に話を聞く奏楽。


 ――東の町ヘイルウへと向かってください。やるべきことがきっと分かります。


 ノワールは首をかしげて奏楽に問う。


「私も行かないと駄目?」


「あなたたちって言ってたでしょ」


 面倒そうに手を頭の後ろに組むノワールであった。

 ギルドへ戻り報酬をもらうとすぐさま東の町ヘイルウへと行く準備に取り掛かった。


      〇


 東の町ヘイルウへとたどり着いた奏楽たちがまず目に飛び込んできたのは町の住人たちがローブを深く被っていたことである。まるで何者かに見つからないようにしているようであった。それに薄く霧が発生している。

 さらには町の噴水広場にて集会が行われていた。演説を行っているのは三十代の女性であった。


「我々魔女に人権が必要である! 何故ならば人生を失っている者と失っていない者がいるならば、そこに平等を求めることは正しいからである!」


 神が奏楽に何をしてほしいかがなんとなく察しがつくのであった。

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