25話 後編 ペガサスの力
奏楽や吉塚をはじめとしてノワールやナナ、そして他のギルドでクエストを受注している冒険者たちはモンスターを狩るのと同時に魔女の保護活動を行っている。このおかげもあってこの異世界は住みやすい世界にはなってきているはずだった。
だが、元魔女の声の中には悲痛な内容を訴える者もいた。年月を失っていない者たちと失ってきた私たちは相容れない存在だというのだ。要するに恵まれた人たちの中でそうではない私たちは生きずらさを感じるというのだ。
結局のところ魔女の呪いから解放されたとしても家から出られない引きこもりになるケースも多いらしい。
現実的な問題としてどうすれば社会で負担なく生きていけるか、苦しまずに生きていけるかを社会問題として考えなくてはならなかった。
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奏楽と吉塚とナナはノワールと共にホットドッグ屋のチェアに座り新魔王の情報を共有し合っていた。例えばノワールが気持ち悪いモンスターと対峙した際にそのモンスターを手に入れようとしていたとか。
ナナは「変わった人なんだね」と言うも吉塚はうーんと唸るばかり。
「俺の仕事が無くなるのは困るんだが」
「じゃあ、敵対する?」
奏楽は彼と敵対行動をとるかを問う。
「いや戦うか? 間違ったことはしていないんだよなあ」
奏楽も吉塚と共に腕を組んで考え込む。
「そうなんだよな。そこなんだよね」
これから冒険者の仕事はどうなっていくのか。モンスター討伐クエストはこのままだと徐々に減っていくこととなる。
吉塚は奏楽に語る。
「俺はやっぱり全部が全部言うことを聞いてくれるモンスターばかりじゃないと思うんだ。そういう考え方は危ないと思う」
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次の日の朝、とある山の麓に出現したシルフとドラゴンの混血であるシルドラの討伐という新たな依頼がギルドに届いた。
吉塚と奏楽はその依頼を受けることにした。
山の麓まで歩いていく二人。すると四枚の翼で飛行する緑色の飛竜を発見する。だがその背後には三頭の飛竜がいて追われているようであった。
奏楽は「魔王だね」と言うと、吉塚も頷いた。
三頭の飛竜に捕まりそのまま落下していくシルドラ。
落下と同時に土埃が舞い、周りの木々が折れる音がした。
そして魔王王林の声が。
「君が欲しい!」
急いで駆けつける奏楽と吉塚。そして落下したシルドラと三頭の飛竜が取っ組み合いをしている現場にたどり着いた。
そして近くには王林と付き添いのオーウェルの姿が。
オーウェルは「ここは魔王様の要件。邪魔はしないでいただきたい」と言う。
王林は真っ白なカードを取り出しそれをシルドラに向ける。だが一向に絵柄がつく気配がない。
「なんでだ? どうして……」
そうこうしている間にシルドラは風の力で三頭の飛竜を吹き飛ばし、ターゲットを王林たちへ変更していく。
「馬鹿な、仲間になりたくないというのか」
王林の盾になるように吉塚は前に出る。
「そういう個体もいるってことだ。ここは俺たちに任せな」
奏楽は詠唱してペガサスの翼を生やし、同じく詠唱して吉塚は己のスペックをあげていく。
「――今身体の耐久値を上げよ、エクスタフネス! ――今身体のスピードを上げよ、スピードソルジャー! ――今我が剣の威力を上げよ、スラッシュナイフ!」
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シルドラは空を飛び回りそれを追うように奏楽は飛行する。これでは吉塚の剣が届かない。奏楽も追いかけるだけで手の出しようがなかった。すると奏楽の頭の中に女神フリイグの声が響いた。
――あなたにはまだ力が眠っています。
「どういうことだ?」
――あなたの力はペガサスの力。翼だけではありません。
奏楽はまさかと思いながらも詠唱する。
「ペガサス!」
身体は白い毛に覆われ四つ足となり、馬の身体へと変化した。
ペガサスと化した奏楽は吉塚を背に乗せる。
「奏楽。君にはこんな力があったんだな」
吉塚が乗るとペガサスは宙を駆けだす。




