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12話 後編 悪魔退治

 冒険者たちが悪魔退治をしていると聞き奏楽とノワールは病院から抜け出してきた。

 大剣の一振りを真正面からくらい教会の屋根から落ちていく悪魔アスモデウス。さらに真上から大剣を両手で担ぎ上げ落下してくる巨漢の男。


「逃がさねえぜ」


 倒れるアスモデウスへと巨漢の男が歩み近づく。ゆっくり近づくと奴の首に刃を向ける。


「悪魔退治もこれで終了だ」


 血を吐きながらアスモデウスは何かを訴えようとしているようだがその言葉は人に伝わる言語ではなかった。

 巨漢の男は何の反応もせずに悪魔の首を落とす。

 悪魔退治の様子を見ていた奏楽はだがまだ原始の魔女の問題が残っていることを危惧する。


 ……どこだ。あの魔女はどこにいるんだ。


 悪魔退治の野次馬たちの方向そこにもいる気配はない。もうこの町にはいない可能性もある。

 奏楽は町の中を走って探し回る。だがもう霧も晴れている。おそらくもうこの町にはいないのだろう。


「くそ。本当にどうすればいいんだ」


      〇


 魔女の老婆は一人どこかの町で霧に囲まれながらリンゴを食しながら歩いていた。


「この世界はどーしてこんなに理不尽なのか。最初から救われない命を産み落とし、誰も責任が取れない呪いをかけられないといけないのか」


 彼女の名はルート・フォリオ。

 魔女の過去は悲惨だった。とある青年に恋をしたのだが、その青年はとある女神に気に入られていたことでとばっちりの呪いを受けてしまいそこから霧に囲まれて過ごすしかない人生が待っていた。最初は彼女の両親が彼女を守ろうとした。だが永遠には続かなかった。モンスターとの戦いの日々で両親は衰弱していくのが目に見えていた。だから家を飛び出すしかなかった。


 それからというものモンスターを引き連れ町を移動していくしかなかった。

 迷惑がかかるため一つの町にずっとは居られなかった。


 いつの日か理不尽な呪いを受ける身である自分に馬鹿らしくなり、女神がやったことを自分もしてやろうと思いついたのだ。この世はバランスを成り立たせないといけない。だとしたら自分みたいな理不尽な呪いを受ける者を増やさないとこの世のバランスが崩壊してしまうと考えたのだ。


 彼女によってノワール・セブーンもナナ・アルファスも呪いを受けた。霧が発生しモンスターが発生する特異点となる呪いを。

 ノワールもナナも呪いを教会の祝福により解くことができた。だが、このルートという魔女の呪いは女神から受けたものであり信仰対象が女神である教会で呪いを解くのは不可能なことだったのだ。

 リンゴを食べながら霧の町を歩くルート。


「馬鹿らしいね。私のような者がいることが普通になるかあるいは、私のような者が救われる世となればよいのに」


      〇


 奏楽は病院の病室のベッドで仰向きとなって寝ている大木吉塚に問う。


「なあ、どうすればいいんだろう。殺すわけにはいかない。といってこのままという訳にもいかない」

「誰も考えずに放置してきた結果がこれなんだろうさ」


 吉塚はどうするべきかと奏楽と共に悩んだ。そして答えが出た。


「女神に会って話をつけるしかないかもしれない」


「そんなどうやって。俺たちだって死んだ時しか会えなかったのに」


「僧侶に相談だな」


 教会の僧侶に相談してみる提案。もっとも教会は魔女によって焼かれた。それを許し話を聞いてくれるかだ。


「これで話を聞いてくれたらそうとう心が広い人だな」


      〇


 教会が焼け落ちた後も僧侶はこの場所に通い祈りの習慣を欠かさなかった。そこへ奏楽と吉塚はやってきた。

 奏楽は僧侶に問う。


「すいません。魔女のことなのですが。彼女を救うことはできないのでしょうか?」


 僧侶は言った。


「彼女が心から気持ちを入れ替えることができたら可能かもしれません。ですが、可能でしょうか? 彼女はここまでのことをしています。悪魔さえ召喚してしまう行い。自分が被害者であるというだけの意識から抜け出すことはできるのでしょうか」


 腕を組み吉塚は難しいかもしれないと思ったのだった。

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