12話 前編 悪魔退治
白い翼で悪魔アスモデウスを打つべく飛翔し突撃する奏楽。だが、悪魔は身を翻して躱し白い翼を掴む。そのまま投げ飛ばされた奏楽は地面に激突し気を失ってしまった。魔女である老婆は笑いながら奏楽へと近づき一人語る。
「またまたやってきた転生者。だけど何も変えることなんてできない。この原初の呪いは誰にも解くことはできないのだから」
奏楽のピンチに走ってくるエクスマキナの少女は拳銃を取り出して老婆へと向ける。老婆は遠目に拳銃の先を撫でるように指を動かし詠唱する。
「グラビティバリア」
拳銃が発砲され老婆めがけて飛ぶ弾丸は動きを鈍らせそのまま落下していく。
少女は拳銃を背中のホルスターへと戻し接近戦へと対処術を変える。蹴りを浴びせようとするも老婆は同じく指を動かす。少女の足は鈍い動きで蹴りを空振りさせる。
「機械の女か。別世界は面白い物を作るじゃないか。私も行ってみたくなる」
次々と蹴りを繰り出すもすべてが空振りとなる。
ノワール・セブーンは老婆に手を構える。
「ローズウイップ」
薔薇のモンスターが召喚され棘のつるの鞭が老婆へと向かって伸びる。
「だから無駄じゃて」
指をつるに対してなぞる様に動かすと棘のつるはゆっくりした動きで老婆へと伸びるも、そのゆっくりとした動きは躱すチャンスを与えてしまう。
老婆は詠唱し魔法を展開する。
「クラックイングランド」
地面が割れエクスマキナの少女は老婆から離れ、ノワールが召喚した薔薇のモンスターは地に飲み込まれていく。
戦いを見ていたナナは老婆を恐れた。召喚された悪魔アスモデウスも強敵であるのにも関わらず老婆の方も戦闘スキル持ちで強いのだから。
〇
奏楽が目覚めたのは異世界の病室だった。白い天井。
起き上がると同じ部屋で大木吉塚もベッドで寝ていた。
「ちょっと、起きていいの? どこも痛くないの?」
起き上がる彼を気遣うノワールの姿もあった。吉塚の方にはナナが付き添っている。
「ああ、なんとも。……今のところは」
奏楽一行は悪魔を召喚する魔女に負けたのだった。おそらくあの魔女が原始の魔女の可能性が高い。教会で呪いを浄化しきれなかった。
両手を頭の後ろに組み再び仰向けに横になる奏楽。
「……どうすればいいんだろ」
その答えを持つ者はここにはいなかった。
〇
奏楽の住む世界の日本では記録を持ち帰ったエクスマキナの少女と警察の二人が会議を行っていた。大島警部は佐々木警部補とパソコンから伸びる機器を少女の背中に繋ぎながら問う。
「つまりそちらの世界でも浄化できない呪いがあったんだな」
少女は「はい」と答える。
大島警部は眉間に皺を寄せる。
「困ったなあ」
佐々木警部も一緒になって眉間に皺を寄せていた。
「そうですよね。ようやく霧の町に行方不明になる件が解決しかかっていたというのに」
「そうなんだよなあ。困ったもんだ」
少女からデータを回収しながらため息を吐く二人であった。
〇
悪魔アスモデウスが焼け焦げた教会の屋根から町を見下ろす。首をひねり何かを考えているような動作をする。そんな奴を倒すため冒険者が集っていた。
大剣を振るう巨漢の男。尖った帽子をかぶる魔法使いの女。弓矢使いの長い髪を一束に束ねた男。精霊を召喚する召喚士の男。
召喚士は風の精霊を呼びだした。
「今、我が名に従い風を成し悪を閉じ込めよ! ――シルフ!」
悪魔アスモデウスを風で作った壁の中に閉じ込める。巨漢の男が教会の焼け残った鉄骨を渡り、アスモデウスめがけて大剣を振り下ろす。
「おらあ!!!」
アスモデウスは身体を翻して躱し、右手の人差し指を巨漢の男に向ける。
人差し指が突如伸びて弾丸のように巨漢の男の肩を貫く。
「ぐあっ」
弓矢使いの長髪の男が即座にアスモデウスの右手を射抜き巨漢の男の肩に刺さった指を離れさせる。さらに魔法使いの女が魔法で追い打ちをかける。
「フリーズドライブ!」
精霊シルフの起こす風に氷結魔法が重なりアスモデウスの動きが鈍くなる。
巨漢の男が大剣を構え走り出す。
「お前はここで俺たちが倒す!!」




