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10話 前編 解かれる呪い

 退院した大木吉塚は奏楽という友人とともに病院から出てきた。

 奏楽は転生冒険者として先輩である吉塚に今の現状を伝えどうしたらよいか意見を聞いた。魔女を倒すわけにはいかない。助けなくてはならない。


 吉塚は腕を組んでうーんと唸る。


「呪いを解除するということは、ヒーラーが必要になるかもしれない。もしくは僧侶だな」


 奏楽は「そんな手があるのか!」と声を上げる。


「考えられる限りではな」


 奏楽は思った。だから魔王は呪いを解除することができない。魔王の味方をする僧侶がいるとは思えない。そして人を癒すのが仕事なヒーラーも同じことだ。


      〇


 ギルドに戻ると魔女の呪いを解除するためのヒーラーを募集した。一緒にギルドまでやってきた吉塚はそこにいた女性に言葉を失った。ショートヘアでカチューシャを付けた十代後半くらいの黒い服を着た女性。まさに夢で見た女性そのままだった。

 奏楽は明らかに様子のおかしい吉塚に声をかける。


「どうしたの?」


「夢で見た人だ」


 吉塚の視線に気づいたナナはノワールの影に隠れる。


「……この人、いい人だ」


 ヒーラーに頼み色々な治癒魔法を試したが結局は呪いは解けなかった。ノワールは「でしょ? こうなると思った」と言い不貞腐れる。確かにヒーラーの治癒魔法で解けるのであれば未だに呪いで苦しんではいないだろう。

 奏楽は思った。女神やその恩恵を得ている僧侶なら解けるのではないだろうか。


 吉塚も同じように頷いたが問題は女神がどこにいるかだった。二人とも女神に会ったことはあるものの死んだときだ。死んだ時に会える女神と生きている時にどうやって出会えるかが問題となる。

 吉塚はある提案をする。


「教会へ行ってみよう」


      〇


 教会へ行くとそこには僧侶がおり、道半ばで死んでしまった者たちを蘇生する仕事をしていた。モンスターに負けてしまった者やダンジョンの罠で死んでしまった者などがここで蘇生される。


 僧侶にノワールとナナが呪われている話をすると僧侶は深くお辞儀をして「さぞかし辛かったことでしょう」と言い呪いを解く準備に入った。僧侶の仕事は蘇生だけでなく、エクソシズムや除霊やら呪いを解く仕事など幅広かった。

 ノワールとナナは早速入浴させられ白装束に着替えさせられると教会のステンドガラスの前で膝をつき聖水を頭からかけられた。

 そして僧侶による呪いを解くための詠唱が行われる。


「この者たちの罪汚れを落とし、自らの苦しみとなる呪術を解きたまへ……」


      〇


 玉座に座る魔王は怒りで頭の中が憎い魔女のことでいっぱいだった。


「なぜこの我だけが呪いをかけられたままこのままこの椅子に座っているしかないのだ!」


 どこからともなく声が聞こえてくる。


「もうすぐですよ。もうすぐあなたを倒す人が現れます」


 魔王は怒り心頭で荒ぶる声を上げる。


「この我が倒されるだと、馬鹿な!」


 外が騒がしくなっていく。どうやら戦闘が始まったようだ。

 魔王の城の前でモンスターを狩りまくる吉塚。そして援護にエクスマキナの少女の姿も。上空には白い翼で羽ばたく奏楽。さらに魔女と呼ばれていたノワールとナナの姿もあった。

 魔王城の周辺には仮面をかぶった裸の大男やら肩に針を無数に刺している女やらそんなモンスターたちがうろうろしているが、奏楽とその仲間たちによって倒されていく。


 呪いが解かれたノワールの本領が発揮される。魔法を使い空中に水流を作り出し渦を巻かせると、それをモンスターどもにぶつけた。


「ウオーターハザード!」


 水流に溺れる仮面をかぶった裸の大男たち。さらにナナが人差し指を針を無数に肩に刺している女型モンスターへと向ける。


「サンダーライト!」


 人差し指から雷が飛び女型モンスターどもを焼き尽くす。

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