08話 後編 魔女の呪い
ギルドの窓口へ行くと奏楽は抗議した。なぜ魔女の討伐クエストがないのか。魔女はどこにいるのか。ギルドの窓口では何も答えられなかった。なぜならば報復を恐れているためだ。
もし冒険者が魔女を倒せなかった場合、その報復を受けるのは誰か。そんな依頼を出したギルドということになる。
力ある魔女は恐れられる。特に呪いを知り覚えている魔女は。
ノワールをギルドまで連れてきたことも問題になる可能性もある。魔女に嫌われている者をギルドの建物内に入れてしまうと、匿っていると魔女に受け取られかねない。
そしてこのギルドのある町も霧に包まれる始末だ。
どこにいても邪魔者なノワールは町を転々としていた。
奏楽は思った。ここで終わらせようと。少女に彼女の護衛を頼むとペガサスの翼を展開し、どこかへ飛び立っていく。
「任務了解。ノワール・セブーンを警護する」
〇
奏楽がやってきたのは魔王城だった。魔王城の扉を叩き、奏楽はモンスターに囲まれながら謁見の間へと通された。
相変わらず玉座にて退屈そうに座る男性老人。彼がこの城の魔王となる。
「魔女っていったいどこにいるんですか?」
魔王に詰め寄る奏楽。魔王は面倒そうに頬杖をつく。
「奴がまだまだとぬかしそうな質問じゃな」
「どういうことだ?」
どこからともなく女性の笑い声が聞こえてくる。
――フフフ、フフフフフ。
「戦いはまだ終わらぬようじゃな」
奏楽は何が何だか分からず質問を重ねる。
「この声は誰なんだ! 奴って何なんだ! 魔女は一体どこにいる!? それに戦いってなんだ? 終わらないってどういう意味なんだ!」
老人は語り始める。
「この声は知れたこと。魔女の声よ。奴というのも魔女。魔女は目的があって人を誘拐している。戦いとはモンスターと冒険者の戦いよ。終わらない」
奏楽は声を張り上げる。
「誘拐だけじゃない! 異世界の住人にまで呪いをかけている。惨い。人間のやることじゃない」
「奴は人間ではなく魔女だ。道理は魔法以外通じんよ」
〇
魔王は困り果てていた。モンスターを統率し魔界の力でこの異世界を征服しようとしていたのだが、この世界には魔女がいた。魔女は魔王より強かった。世界を魔の力で陥れようと目論むも、魔女はあらゆる手で妨害してきた。今では魔王も呪いを受けて自由に動けない状況だ。その呪いとは魔法が使えなくなる呪いだ。
魔界のトップである魔王が魔法を使えなくなってしまった。こんなことがあっていいのか。そして魔界のモンスターたちは自由に動き始めたり魔女の手下になるものまで現れてしまう。
今の異世界の状況だと悪さをするには魔女に従う方が早いのだ。そして驚くことに魔女に会ったものは誰もいないらしい。
〇
ギルドでエクスマキナの少女と奏楽の帰りを待つノワール。ノワールは涙を流しながら高笑いをしている。その様子から周りにいる冒険者やギルド職員にも怪しまれている。
自分でもなぜ泣くのか、なぜ笑うのか分からない。
助けを求めようとも奏楽は魔王城で魔王と謁見中だ。
ノワールは自分でコントロールできない惨状に「ごめんなさい」と声を上げた。そしてこうも呟いた。
「あともう少しのはず……」




