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07話 後編 羽虫のモンスター

 再びエクスマキナの少女と異世界へやってくる奏楽。まだどこかにモンスターがいるらしく一度元の世界に戻ってからこの異世界へと舞い戻ってきたのである。

 町は霧に包まれた状態だ。以前もそうだった。倒したと思ったら二体目がいてそれを倒したら霧が晴れたのだ。


 少女は辺りを見回し探索する。すると何かに反応したように走り出した。奏楽も後を追って走り出す。

 塔の下の待合室のような場所。そこに何かはいた。


「任務了解。危険分子の反応あり。気を付けるように。」


 少女に危険を忠告され気を引き締める奏楽。

 二人で待合室へと入るとそこにいたのは。――一人の女だった。

 長い後ろ髪に髪留めを付け額を出し黒い服を着ている二十代くらいの女性。


 奏楽は「あなたは!」と声をかける。


「以前はガラスを割ってしまい申し訳ございませんでした」


 女性は「ああ、あの時の」と言って微笑む。


「気にしないでください。あそこはたまたま逃げ込んだ部屋で私の部屋じゃないんですよ」


「そうだったんですか。あ、でも本当の持ち主に迷惑かけてしまったわけで」


 女性は「健気な方ですね」と言いながら唇を触る。

 少女は女性をじーっと見ている。


 奏楽は女性の紹介をする。


「この人はこの世界の人で、モンスターに襲われたことがあってその時に会ったんだ」


 本当であれば巨大な羽虫に襲われていた時にこの女性が一人で逃げなければあの時に少女とも顔を合わせたはずだった。

 少女は目を光らせた。


「危険分子。任務了解。これより敵を打ち倒す」


 奏楽は「なんだって?!」と声を荒げた。


「どこが危険なんだ? よくこの人をよく見て。安全だよ」


 少女は首を横に振った。


「いいえ、安全ではありません。モンスターと同じ反応を検知。これより打ち倒します」


      〇


 女性は奏楽に泣きついてすがる。


「あの子何言っているのか分からない。ねえ、助けて」


 奏楽は女性と少女の間に立ち塞がる。


「この人は、俺が守る」


 女性はにやっと笑い思わず高笑いしそうになるのを必死にこらえた。


「この人は危険なんかじゃない。前にも会ったことがある。危険なはずがない!」


 すると再び巨大な羽虫が現れ待合室の天井を這い歩く。女性は「怖い」と言いながら奏楽にすがるように抱きつく。


「ねえ、前みたいに助けて」


 奏楽は頷きながらも前と同じような状況に困惑していた。本当に危険分子なのか。危険分子にしても何か事情があるのかもしれない。

 奏楽はペガサスの翼を生やし天井の巨大な羽虫に向かって飛んだ。


「翼で打つ!」


 翼で薙ぎ払うように巨大な羽虫を叩き落とす。叩き落とした巨大な羽虫を無視して女性に近づく少女。


「やばい! 逃げて!」


 女性は背中を見せて逃げ出す。

 急いで奏楽は少女を羽交い絞めにして動きを止める。


「どういうつもりだ?」

「それはこっちのセリフだ。異世界の一般人を狙うだなんて。どうかしている! どう考えても保護対象だろ!」


 少女は奏楽の縛りを自力で解いてそのまま背負い投げで投げ飛ばすも、翼で地面への衝撃を回避しそのまま立ち上がる。


「あの人は巻き込まれているだけなんだ! 危険分子というが説明がない! 説明しろよエクスマキナなんだろ!」


 少女は「危険分子の反応が出ている」と言いそれ以上の説明はしなかった。

 立ち上がる巨大な羽虫、明解な敵に対して奏楽は再び翼で打ち倒す。


「本当に危険なのはこっちじゃないのか? あの人は狙われていた。前にもこの巨大な虫に狙われていたんだ! 狙われる理由があるのかもしれない! 分かれよ!」


      〇


 一度元の世界へと戻ってきた奏楽は今回の事情を異世界研究捜査部の大島警部と佐々木警部補に聞いてもらった。異世界の一般人を狙う事態が起こった。助けなくてはならない人に対して危険分子として対処しようとしたこと。

 大島警部も佐々木警部補も困ったように首を曲げて顎の周りを触っていた。


「こんなことは前代未聞なんだよ。悪いがこのまま何かあれば君の方で止めてほしい」


 大島警部から佐々木警部補からも頭を下げられる。

 だが大島警部は一つ付け加えた。


「もしかしたらだが、あくまで憶測でしかないが、その女性が魔女である可能性はないかね?」


「なんですって……」


 奏楽は思考が止まり今までのことを振り返った。確かに決まって巨大な羽虫に襲われるパターン。もしあの虫をその女性が操っていたとしたら。

 考えられることが脳裏に浮かび、嫌な汗が流れた。

 佐々木警部補は「そうじゃなきゃいいな」と声をかけ奏楽の肩をトントンと叩いた。


「あの人は狙われる理由があるんだ。きっと……」

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