06話 前編 魔女との遭遇
大木吉塚は幻聴のため病院に入院することとなった。奏楽はお見舞いに行き面会室で調子はどうか聞いた。
「調子はいかがですか?」
「まあまあぼちぼちだな」
「幻聴の方は?」
「薬をもらって寝ているんだが、まだ幻聴はある」
吉塚は疲れ切っていたようで薬を飲んで寝るだけの生活を病院内でしていた。いくつものクエストをこなし続けて心も体も疲労が溜まっていたようだ。
それにしても魔女の声はどうやって届いているのか。それが不思議でしょうがなかった。
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魔女探しをすることが今の奏楽の役割だが、どうやって探せばよいか分からない。ギルドの窓口で魔女探しというと役職が魔法使いの女性を紹介される。間違ってはいないが、その魔女ではない。魔女といっても誰でもよいわけじゃない。人を異世界に誘拐する魔女を探しているのだ。
その話をしてもギルドの職員にはよく分からないらしい。異世界遭難者の話をしたが異世界転生者と間違われてしまう。どうやら異世界では遭難者が知られていないらしい。
とりあえず奏楽は異世界遭難者が襲われる可能性があるため、モンスターの討伐クエストを受けることにした。モンスターが減れば減る分異世界遭難者の安全が確保できる。
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モンスターが発生している霧の町へ歩いていく道の途中、いじめられている少年がいた。まるで異物を拒絶するように少年は仲間に入れずにいた。何か強い罵倒を受けている。
「おい何しているんだ!」
奏楽が問いただすといじめをしていた少年たちは「こいつ嘘つくんだ」と言い出す。
「常に魔女が僕たちを見ているとか言うんだ。どこに魔女がいるっていうんだよ!」
奏楽は驚いた。いじめられていた少年に問いかける。
「ねえ君。その魔女ってなんだい?」
いじめられていた少年が答える。
「魔女が僕たちをずっと見ていて何かを判断しているんだ。勇者になる器かもしれない。勇者になる者は試練が与えられてモンスターを狩りに行かされる運命を背負う。時が来れば何かの役割が与えられるんだ。それが何なのか分からないけど」
さらにこんなことも言い出す始末。
「お兄さんもそうでしょ? それで冒険者やっているんでしょ?」
奏楽はそれを否定した。
「違うよ。俺は女神によって転生を受けてその力でできることをやっているんだ」
いじめていた少年は「ね? 気持ち悪いでしょ?」と言ってくる。
この少年も幻聴を聞いているということなのだろう。
いじめられている少年が言うには女神によって転生を受けたとして、その様子を魔女が監視しているらしい。確かにその通りだとしたら気持ち悪い話だ。
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霧が発生した町へ到着した奏楽はペガサスの翼を使い飛翔した。町全体を観察するのだ。そのモンスターはすぐに見つかった。
大きなくちばしの鶏のような巨大なモンスターが町の中をうろついていた。
すぐさま急降下し一撃で仕留めようと企むも、気付かれてしまいそのまま躱す体勢をとられてしまう。まっすぐに降下して鶏のようなモンスターに躱されてしまい再び天に飛翔する奏楽。再び強襲するもまたもや躱されてしまう。
この強襲的な戦い方を止めた奏楽は地面に足を着き、翼で迎え撃とうとする。翼を剣の代わりにするのだ。
「翼で打たせてもらう!」
鶏のようなモンスターは一直線に向かってきて鋭いくちばしで突こうとするも奏楽は翼で弾き、さらにその翼で鶏のようなモンスターを切る動作をする。
切られた箇所から出血し損傷を与えたことで叫び声をあげるモンスター。
再び奏楽は走って追い打ちをかける。
「翼で打つ!」
両方の翼でクロスするように鶏のようなモンスターを切るとさらに出血し逃げようとするも途中で倒れて力尽きたのであった。
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今回のクエストでは遭難者にも遭遇しなかった。だが不思議なことに霧はまだ晴れない。どういうことなのだろうか。まだ討伐されていないモンスターがいるのかもしれない。
辺りを見回すも誰もいなければモンスターもいない。
一度飛翔して上から様子を見ようとするも「あのー」と女性の声が奏楽を引き留めた。
後ろを振り向くとそこにいたのは二十代くらいの女性が立っていた。後ろ髪は長く髪留めを付けて額を出し黒い服を着ている。
奏楽は駆けつけて「大丈夫ですか?」と声をかけた。
「もしかして道に迷われてここまで?」
女性は首を横に振るう。
「私はこの町に住んでいる者です」
「そうですかー。避難なされていないのですか?」
「はい、外に出なければ安全な部類のモンスターだと思いまして」
なるほどと奏楽は思う。だがまだ霧が晴れていないため安全ではない。
「ですがまだ霧が出ています。危ないので家の中にいた方がいいですよ」
女性は「そうですか」と呟き手を振って近場の家に戻っていった。




