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九泉万緑 ‐常夏世界の底でまた会いましょう‐  作者: ガリガリワン
第一章 復活編

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第五話 教育


「あ、あたしは……何が出来るって……」


 ペルポネとリフルが住まう洞穴。

 そこに運悪く訪れてしまったユニム。


 彼女は盗みを働く猫魔族らしい生き方をしており、ペルポネに盗みを働いたが許された身であり、同時に彼女の配下となった身だ。


「なんでも良い。言ってみろ」

「無能でしたら殺しますからね!」

「……よせリフル」

 ユニムは怯えた様子で二人を見て、

 頭の中に外見の特徴が情報として刻まれた。


 リフルという天使族に属するであろう自身よりも身長の低い少女、天使の環に白い翼、銀色の瞳に金色のふわふわした髪を持っている。

 そして、高身長のペルポネという者は空色の髪を持ち青黒い瞳を持っていて、ただ立っているだけなのに近寄り難い雰囲気を纏っていた。


「あた、あたしは、偵察が得意にゃ!」

 ユニムは下手なことを言えば死ぬと察する。


「偵察……どうですペルポネ様」

「悪くはない」

 そこそこの反応を見せる二人、

 ユニムはその様子にホッとしたようだ。


(絶対ヤバいにゃ……こいつらどっちも強いし、あたしじゃどうやっても敵わない……)


「貴様の出来ることは知れた。次だ」

(ま、まだあるのにゃ……?)

 ペルポネは続けて質問をしてきた。


「貴様、神魔である赫海に出会ったことはあるか? ないなら、ないと言え」

(にゃんで赫海様のことを……?

 べつにあたしは配下じゃなかったケド……)


 ユニムは視線を少し逸らしながら答える。

「会ったことありますけどぉ……」


 そう言うとペルポネはリフルの方へと顔を向け、彼女はそれに反応して頷いた。


「そうか、質問は以上だ。好きにしろ」

 ペルポネはそう言うと、リフルは彼女へと近づき、後ろから抱きつく。おそらくあの状態が日常として存在しているのだろう。


「そ、それだけ……にゃ?」

「逃げぬなら好きにしていろ」

(あれぇ……にゃんだこの楽な配下生活。

 なんもしなくて良いの?)


 地面に座ってリフルの温もりを背中に感じるペルポネ。ユニムはゆっくりと動き出し、壁に背をつけて二人から離れる。


「そ、そのぉ、ご飯とかって?」

 ユニムが恐る恐るそう聞くと──


「余らと同じだ。生活は保証してやる。

 貴様はただ、余の質問に答えればいい」

 ユニムは未だに現実が信じられない様子。


「ので、質問だユニム」

「にゃ、にゃんですか……?」

 ユニムは肩に力を入れて緊張し、

 ペルポネからの質問に身構える。


「この付近に王魔はいるか?」

「ペルポネ様、それ私に聞いてくださいよぉ」

「……たまには良いだろう」

「私の一つのお仕事〜……」

 嫉妬したようにペルポネの身体を揺らすリフル。ユニムはどれだけ彼女らが親しいのかと困惑しながらも、問われた内容に答えた。


「えっと……長い間王魔として聞くのは、ここから西にある緑穣谷に竜の群れがいますにゃ。竜の親玉がちょー強くて、取り巻きの竜も強力です……にゃ。そ、それでどうする──」


「そうか。なら明日にでも向かおう」

 ペルポネは平然とした様子でそう言う。


「にゃ、にゃんで!? 死にますよ!」

 ユニムは思わず声を上げてしまった。


 竜族。人型と竜の状態へと変わることが出来る魔族で、天龍族の下位種族として知られている。また、全大陸に多くの種類がおり、環境によって生態は大きく変わるのが特徴。


(いやいやいやいや……無理にゃ。絶対死ぬんにゃ……この魔族たち世間知らずなんにゃ)

 ユニムは呆れたようにそう確信する。


「聞くが貴様、余を誰か知っているか?」

「ふぇ? し、知りませんにゃ……」

(そんな大物気取りされてもナ〜……)


「余は凍塵、ペルポネ・ライダイアだ」


 ユニムは固まる。


「え? いやぁ嘘つきですにゃぁ〜。

 だって凍塵は九千年前の魔族ですよぉ?」

(な〜に言ってるんだかこの魔族! あたしを脅かそうとしたってそんな甘くにゃいし!)


 そう言ったところで二人は無言のまま、

 ユニムは次第にその様子に怯え始める。


「え、え、え。本当な感じですにゃ……?」

 自身の問いに頷く二人。


「……え?」

(終わったんにゃぁあ〜!!

 にゃんで復活してるんにゃ!?)

 ペルポネはため息を吐きながらも事の経緯を話し始め、ユニムはそれを信じ込んでしまう。


「余は世界の中心にある大穴を目指している。だが、リフルが言うには大穴自体も封印されているようでな。ので、封印を力ずくで破壊するために、余の残る十二個の身体が必要だ」

 ペルポネはこれからのことを話し始め、

 ユニムはそれを黙って聞き続ける。


「大国を相手するには配下が少なすぎる。

 それに、今の余は力も弱いからな……

 配下を増やすために今は動いているのだ」


 ペルポネの発言からユニムの中には一つの感情が浮き上がる。


(めんどくせぇ〜〜〜っ!!!)

「あたしって必要ですにゃ……?」

「必要だ」

(逃げられんにゃぁ〜〜〜っ!!!)


 ユニムは肩を落として眉を下げては、

 この面倒事から逃げられないことを察した。


「明日にでもここを発ち竜族のもとへと向かう。ユニム、貴様は身体を休めておけ」


「はぁい……」


 * * *


「それで、吸血族のゲスどもがウチら竜族になんの用? 内容次第じゃ殺すわよ」


 緑穣谷。大量の植物に覆われる谷であり、

 竜族の毒緑竜が一帯を縄張りとしている。


「カルトナサマハイイマシタ。

 トウジンニハカカワルナ。ト」


 毒緑竜の女王として君臨する個体。

 王魔に分類されながらも異名を持つ彼女は、

 桜姫、ラハヴャ・ワイルドア。


「はぁ? 何、上から目線なのよあのクズ!

 腹立つぅ……噛み殺してやる!!」


 竜族は通常人型となっていて、力を全て使う時のみ竜へと姿を変える。


「デンゴンハイジョウデス。サヨナラ」

「待ちなよ! あんた、こっちからも伝言! 吸血のクズ女! 凍塵よりあんたを先にぶっ殺してやる! って伝えな赤い蝶々!!」

 ラハヴャは強気な性格を持つ女性であり、

 同族間でも彼女に口答えするものはいない。


「……ショウチイタシマシタ」


 彼女はとんでもないわがままである。

「うぅっ、凍塵がなによ、噛めば一発よ!」


 常勝無敗の竜のお姫様は、イライラとしながら今日もわがままを垂れ続ける。


「あぁもう!! テルト! 肉持ってきて!」

「え、あ、はいお姫様!」

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