第218話 さまよってない鎧
「えーっと、とりあえず、なんかすごそうな剣だね」
「わかりやすいお宝ですね」
「でも、あの鎧は……」
「剣を取った者を斬るんじゃろ」
そんな気がする。
「どうしましょう? ここで帰るのもあれですし……」
「先に攻撃するか?」
「それはダメですよ。マナーというものがあります。魔法少女も変身中には敵も攻撃してこないでしょ」
「そんなことが起きたらそっ閉じ案件じゃの」
全国の女児が泣くわ。
「そもそもあの鎧も飾りという可能性もあります」
「それはない。魔力を感じる」
「確かに感じますね」
「ええ。多分、ガーディアンよ」
あ、そうですか……
「強いんですかね?」
「いや、そこまでの魔力を感じんし、おぬしやジュリアの敵ではなかろう」
じゃあ、別にいいか。
「怖いのは奇襲ですね」
取ったら左右から襲ってくるわけだ。
ちょっと危ない。
「私が行きましょうか? 自信があります」
ジュリアさんは速いからな。
でもなー……
「うーん……」
「別に近づく必要はないぞ。この距離なら我の転移で取れる」
あ、そうなんだ。
「じゃあ、それでいきますか。サクヤ様、お願いします」
「ん。任せい。ほれ、黄金の剣じゃ。魔力は感じんし、本当にただの黄金の剣じゃな」
サクヤ様の手にはもう台に置いてあった黄金の剣があった。
「早いですね……あ」
「動き出しましたね」
2体の鎧が動き出し、こちらに向かって1歩2歩と歩いてくると、駆けだした。
「ハルトさん、足を止めてもらえますか?」
「わかった」
ジュリアさんの意図がわかったので走ってくる2体に狙いを定める。
「いくよ?」
「はい」
ジュリアさんが頷いたので手に魔力を込めた。
「コキュートス!」
氷魔法を放つと、2体の鎧の足元が凍り、足が止まった。
それを見たジュリアさんがどこかで見たことがある構えをし、突っ込んでいく。
そして、あっという間に鎧2体の近くまで到達すると、左の方の鎧に左片手一本突きを放った。
すると、剣が鎧の上半身に勢いよく当たり、砕け散る。
さらにはその勢いのまま、くるりと横回転し、右の方の鎧を斬ると、鎧が斜めに切れ、地面に落ちた。
「なんか昔、アニメで見たことがある突きじゃの」
「好きらしいですよ」
ってか、強っ!
「普段は包丁以外は刃物を持ったことがないって雰囲気なのにのう……やっぱり浅井の子は浅井じゃの」
浅井さんも強いのかな?
「ハルトさん、この剣も良さそうじゃないです?」
ジュリアさんが戦利品の2本の剣を持って戻ってくる。
「良さそうだね。ノーラさん、この3本の剣はどうすればいいんですかね?」
「え? あ、うん。ちょっと見せてくれる?」
ジュリアさんとサクヤ様が床に剣を並べると、ノーラさんがじーっと見始める。
「ここって結局、何だったのかな?」
「宝物庫って感じではないですよね。お宝も黄金の剣だけですし」
でも、鎧が守ってたんだよな。
「多分だけど、この黄金の剣はこのピラミッドの頂上で何かの儀式か何かで使う剣なんだと思う」
剣を見ているノーラさんが推測する。
「戴冠とかですかね?」
「それが有力なんだけど、王政じゃないのよね」
複数の豪族が権力を持っているんだったな。
「その辺も調査ですか?」
「そんなところね……ふぅ……どうしよ?」
ノーラさんは立ち上がり、一息つくと、考え出した。
「どうしたんですか?」
「えーっと、まず、この黄金の剣は普通の剣よ。普通って言っても黄金だから売ればそれだけで高いし、オークションとかに出せば歴史的価値も相まってかなりの額になると思う」
おー!
「それはすごいですね」
「まあね……それでこっちの2本の剣だけど、特殊な魔剣ね。とはいえ、そこまで珍しいものじゃないから金貨数百枚ってところかな?」
いや、すごいよ!
「十分にお宝です」
「やりましたね!」
ジュリアさんと共に喜ぶ。
「まあ、それがはした金と思えるのがこの黄金の剣よ。金貨1000枚は軽く超える」
すごっ!
「そんなにですか?」
「最低でもよ。オークションならもっといくかも……」
オークションかー。
また、マージェリーさんに頼むか?
「あのー、何を悩んでいるんですか?」
ジュリアさんがノーラさんに聞く。
「うん……これ、売ってほしくないなーって思う。まだこれからの話だけど、歴史の研究が進めばもっと価値があるものになる気がする」
今は古い黄金の剣だが、もっと付加価値が付くってことか。
「こっちの剣は?」
2本の剣を指差す。
「そっちは変わらない。十分に高価だけど、ただのガーディアンの剣だからね。でも、この黄金の剣は違う。国宝級になる可能性を秘めている」
「そんなにすごいんですね」
「まあ、あなた達が持っている剣はその比じゃないけどね」
そりゃノルン様ソードだもん。
「えーっと売らなければいいんですか?」
「そうなるわね……この前の本を解読し、ここが何なのかを調べ、この剣の価値を出したいわけよ」
なるほどー。
「じゃあ、売らなければいいんじゃないですかね?」
「所有権はあなた達よ。あなた達がここを見つけ、あなた達がガーディアンを倒して手に入れたものだから」
そうなるのか。
「いや、じゃあ、売りませんよ。部屋に飾っておきます」
上級の部屋がさらに上級になる。
「いいの?」
「いいよね?」
ジュリアさんに確認する。
「いいんじゃないですかね? 他の2本でも十分にお金になりますし」
だよね。
「そういうわけなんでこの剣はあの部屋に置いておきます。何か研究に必要なら勝手に持っていっていいですよ」
「えーっと、それでいいの?」
「ええ。インテリアにしておきます」
「そう……じゃあ、そうしてちょうだい。もう2本の剣は売却?」
持ってても仕方がないしな。
それ以上の剣を持っているし。
「そうします」
「どうする? どっかの商人を紹介しようか?」
うーん……
「いや、こっちの伝手で売ります」
マージェリーさんだな。
「わかったわ」
ノーラさんが頷いた。
「じゃあ、帰りましょうか」
「そうね」
俺達は階段を昇っていき、車まで戻ると、サクヤ様の転移で聖都近くまで飛び、帰還した。
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