第219話 楽しい週末
聖都に戻ってきた俺達は教会のノーラさんの部屋でお茶を飲み、剣を預けて家に帰った。
剣を預けたのはノーラさんが詳細に調べてくれるそうなのでお願いしたのだ。
家に帰ると、ノルン様とタマヒメ様がゲームをしていた。
「あ、帰ってきた。どうだったー?」
タマヒメ様が聞いてくる。
「お宝を見つけましたよ。ピラミッドの地下にあった黄金の剣です」
「おー、良かったわね。すごいじゃないの。見せて、見せて」
「あ、ノーラさんに見てもらっているところです」
「そうなんだ。じゃあ、今度でいいわ、ノルン、黄金の剣って知ってる?」
タマヒメ様がノルン様に聞く。
「黄金の剣ですか……私が与えた神器の中にはありませんね。黄金なんて切れ味の悪いものは与えません」
ノルン様の剣じゃないわけだ。
「あのピラミッドのことは御存じですか?」
「ノーラがいつも祈っている祭壇ですね。先程も聞きましたよ。あれは祈りの祭壇ではないです」
ノルン様、ちゃんと聞いてたのか。
心の奥底でもしかして、聞いてないのかなーと思ってしまっていた。
「お墓でもないですよね?」
「あれは譲位のための祭壇ですね。かつての王が次の王に譲るためのものです」
へー……ん?
「権力を持った豪族が何人もいるだけで王はいないって聞いてますけど?」
「いましたよ。正確にはその時代よりも前の話です。王がいた国はその豪族達に滅ぼされたわけですね。ですので、あのピラミッドはその豪族達の時代より遥か前に作られたものになります」
そ、そうなんだ。
またしてもすげーネタバレを食らってしまった。
ノーラさんには言わないでおこう。
「となると、あの剣は王の剣ですかね?」
「そうじゃないですかね? 譲位する時に使う剣でしょう」
なんかすごい価値のある剣に思えてきた。
「売るのはやめよっか」
ジュリアさんに確認する。
「そうですね。飾っておきましょう」
俺達は家で少し休憩すると、ビルの20階に飛び、夕日に染まる砂漠を眺めながらゆっくりと過ごしていった。
日が落ちると、歓楽街の砂の城に行き、夕食を堪能する。
「ハルト、結局、デスワームは見れたの?」
骨付き肉を頬ばっているタマヒメ様が聞いてくる。
「いませんでしたね。でも、ピラミッドの地下には動く鎧が2体もいましたよ。黄金の剣を守っているガーディアンらしいです」
「へー……行かなくて良かった」
もったいないなー。
地下を見つけた時も黄金の剣を見つけた時もめちゃくちゃ興奮したのに。
「そこまで強い相手ではありませんでしたよ。ジュリアさんが瞬殺しました」
「ハルトさんが止めてくれたからですよ」
良い奥さんだわ。
「はいはい。お互いを支え合うといいわ。その鎧は売れないの?」
「砕けたのと斜めに切れちゃいましたからね。代わりに持っていた剣を回収しました。マージェリーさんに売ってもらおうかと思っています」
「あー、あいつね。良いと思うわ」
彼氏さんと一緒のところに遭遇しませんように。
俺達は食事とちょっとだけお酒を飲みながら楽しむと、部屋に戻った。
そして、サクヤ様、タマヒメ様、ジュリアさん、俺と順番にお風呂に入り、ソファーで家族団らんの時間を過ごしていく。
「こっちは暑いままですけど、だいぶ涼しくなってきましたね」
「そうだねー。もう10月の半ばだし、これから冬に向けて段々と寒くなるね」
「今年はコタツがありますのでコタツで鍋をしたいです」
「いいねー」
日本の冬って感じだ。
「我は水の国でカニが食べたいな」
「私もー」
水の国は冬になるとそういう食材が出てくるんだよな。
「それも良いですね」
「楽しみです」
また巫女様方を誘ってもいいだろう。
「次は風の国か?」
サクヤ様が聞いてくる。
「ええ。そのつもりです。巡礼の旅の最後になりますね」
火の国、水の国、土の国、そして、最後が風の国だ。
「まあ、巡礼なんかせんでもその神は家におるがな」
そこはね。
それに前にも言ったが、ウチは別宗教。
コンプライアンスかかってこい教だもん。
「どういうところなんでしょうかね?」
ジュリアさんが楽しそうな表情で聞いてくる。
「峡谷だっけ? 当たり前だけど、行ったことないね」
「私もです。なんかアメリカのやつはテレビで見ましたけど」
俺も見た。
「楽しみだね」
「そうですね」
この世界は広い。
風の国を見て、それからはまたカーティスさんに他の見どころを聞いてみよう。
いつかは大陸を離れたところも行ってみたいと思う。
俺達の旅はまだまだ続くのだ。
「明日はどうする?」
「んー? 明後日も休みなんですよね」
またもや2週連続の3連休なのだ。
だからかなりゆっくりできる。
「マージェリーさんに鎧が持ってた方の剣の売却をお願いしに行ってもいいし、ディーネさんにお願いしてクルージングでもいいよ」
「クルージングが良いです!」
楽しかったもんね。
海で泳ぐシーズンは終わったが、暑さも和らいだ季節になったし、クルージングにはいい時期だろう。
「じゃあ、そうしよっか」
「はい」
俺達はその後、ちょっとお酒を飲みつつ、漫画やラノベを読んだり、カードゲームを楽しみながら週末のひと時を楽しんだ。
ここまでが第5章となります。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
引き続き、第6章もよろしくお願いいたします。
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