全てを知る夢 2
まさか、夢の中でナイトメアと呼ばれる精霊とお茶会するとは。
「いや、君とはゆっくり話したかったんだよね。」
「それはどうも。」
紅茶を一口飲んで、俺はナイトメアを見る。
ニヤニヤと醜悪な笑みが気持ち悪い。
「異世界人相手の商売なんて大変だね。」
どうやら俺の事も筒抜けらしい。
「君はとても面白い生き方してるから、興味があったんだよね。」
「はぁ。」
「興味のない存在をバッサリ切り捨てて忘れちゃうんだもん。良い性格だよね!」
ナイトメアはとても醜悪な笑みを俺に向けて、ケタケタ笑いだした。
「よく生きていけるね!君のおかげで茉莉花や栄一たちがそれはもうひどく傷ついたってのに!」
面白すぎてお腹を抱えて笑う仕草をみせるナイトメアに、
「ああ、そうだな。」
感情を押し殺して耐える。
「ちぇ、反応悪いな。」
「そんな使い古された手に乗るか。」
ナイトメアはですよねー、って紅茶をすする。
「暁斗は君よりこういうのに慣れてるから、話しても引っ掛からないしなー。」
さすが探偵、ナイトメアと対峙して乗り切ってるのか。
「"呼んだか?"」
「お、暁斗。そっち落ち着いたかい?」
「"まぁな、近くにいるから、話は聞こえてる。"」
暁斗も話してたと思った相手が、茉莉花ではなくナイトメアだったと知ったわけだから、怒りもあるだろうが、声にも出てない。
「あー、種明かししたところで話が止まってたね。」
「そうだな。」
ナイトメアが笑みを絶やさず、頬杖つきながら話を続ける。
「で、事実知った君らは茉莉花をどうするんだい?現実で話し合ったんだろ?」
ナイトメアは視線をはずさない。真っ直ぐ見つめ返しながら、俺が答えた。
「ああ、それを聞いてどうする?」
「質問返しは卑怯だよ。」
ニヤニヤと醜悪な笑みを向けるナイトメア。
「どうするもなにも、ボクは茉莉花のお守りから解放されるのかな?」
ナイトメアは寂しげに答えた。
そういうことか。
「ああ、いてもらう方が邪魔だから、どっかいってくれ。」
「ああ、冷たいな。ボクは茉莉花と長い付き合いだからね。君らを見定めたいんだよ。」
ナイトメアはカップにスプーンをいれ、ぐるぐるかき回す。
「お兄ちゃんはあんなんだし?暁斗はフラれたし?君ならとは思ってる。」
「"フラれてない。告白してないからセーフ。"」
「あと10年早かったら良かったね、暁斗。」
悔しげな暁斗の声にもさらっと返すナイトメア。
「こう見えても、ボクは茉莉花が大好きだ。精霊じゃなかったら、お嫁さんにほしかったよ。」
ナイトメアはカップの紅茶を飲み干す。
「だからさ、桔梗。」
真剣な眼差しと、醜悪な笑みを浮かべるナイトメアが俺に迫る。
「茉莉花、大事にするよなぁ?」
「バカなのか?当たり前だろ。」
即答してやった。
ナイトメアはさらに畳み掛けるように語り出す。
「処女じゃないし、胸も小さいし、性格は繊細で天然だし、もうかれこれ5年は寝っぱなしだから体型もひどいよ?」
「で?」
「おまけに仮に目覚めたとしても、寝っぱなしだった彼女はリハビリや今回の罪悪感で、金銭的にも精神的にもかなりの負担になるんだよ?」
「それすら分からないほどガキじゃない。」
バッサリ切り捨てるように言い放つ俺。
「なるほど、君はそういう人なんだね。」
ナイトメアは分かりきってたようで、笑みが変わる。
「うん、栄一よりは精神的には大人だし、暁斗よりは経済力や包容力がありそうだ。」
「"一言余分だ、枕返し。"」
「ちょっとッ!ボクはそんな低俗なヨウカイと一緒にしないでよ!マナリスでは存在自体がレアな精霊なんだぞ!」
ナイトメアはプンプンとポーズをしてまで、怒りを見せている。
その仕草だけ見れば、見た目通りの少年だ。
「じゃ、茉莉花を含め、眠ってる悪いやつらを解放するよ。すぐ目を覚ますからね。」
「茉莉花だけでなく、加害者たちもお前がやってたのか。」
「そうだよ。精霊魔術師を呼ばれる前に、退散させてもらうよ。」
ガタッと椅子から立ち上がり、机に置いたシルクハットをかぶるナイトメア。
「実はボク、マナリスでは狙われてるからね。誰かと契約とかはしない主義だけど、茉莉花は特別。」
優しげに笑ったナイトメアは、俺に向かって握手を求める。
「茉莉花を頼んだよ。」
「ああ。」
俺も握手に応じると、ぐいっと俺を引っ張り出した。よろけてナイトメアに近づいた瞬間。
「不幸にしたら、死ぬ方がマシな悪夢に閉じ込めるからね?」
バッと離れると、そこには最初に見たあの醜悪な笑みを浮かべていた。
たまらず俺は手を放す。
「あは、約束したよ?じゃねー!」
ナイトメアのキャラが好きです。
リアル友人をモデルにしています。
はい、お察しの通りにウザイです(褒め言葉)




