表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/34

全てを知る夢 1

ふと意識が浮上する感覚になった。


俺は周囲を確認する。

何もないが、暖かい雰囲気が漂い、天井や足元にはスモークが焚かれてるようなもやがあった。


「何してるの?」




待ち遠しい声が聞こえた。

一瞬だけ、じわりと涙が出そうになったが、ぐっとこらえて振り返った。


「君を待ってた。」


そこにはあの神代女子高の制服を着た彼女、茉莉花の姿だった。


「お兄ちゃんから聞いたよ。」


悲しくも苦しくもない、普通の笑顔だった。


「みんな、知っちゃったんだね。」


「ああ、君を探してたら、そうなった。」


茉莉花は笑みを絶やさないまま、あーっと言いながら天井を仰いだ。


「そっかぁ、じゃ、もう終わりだね。」










「ボクが茉莉花を演じるのも。」


「!!!」


俺は後ずさった。

予想外の展開に、さぁっと背筋に悪寒が走った。


「あは?ビックリしたみたいだね。」


茉莉花の顔で、醜悪な笑みを浮かべる"何か"。

が、すぐに耳元に手を当てて、何かを聞いてる仕草を見せた。


「あー、はいはい。ちょっと待って。」


「"お前ッ!誰なんだ!?"」


栄一の怒鳴り声が聞こえた。確か、操者はインカムで状況を見聞きしてるから、と言ってたな。


「そこに、暁斗もいるよね。じゃ、種明かししようか?」


指をならすと、茉莉花の姿が一瞬にして変化した。


シルクハットに礼服を着た、少年のような姿。

金髪を一つに縛り、耳の上部が尖っている。

彼が一礼すると、ニヤッと笑ったその歯には、八重歯が鋭く伸びていた。


俺は似た姿を、実際に見たことがあった。


「"エルフ"、いや、精霊か?」


「おー、ボクって有名人かな?」


胸元の蝶ネクタイを両手で引っ張り、胸を張る。

シルクハットを手に取り、醜悪な笑みを向ける。


「こっちだと、バクとか夢のヨウカイとか言うだろうけど、なんか似合わないから。」


ニヤッと笑った口から、八重歯をのぞかせて笑う。


夢精霊(ナイトメア)と名乗ろうか。」






「"茉莉花はどうした!?どこにいるんだ!?"」


「お兄ちゃんの熱烈なラブコールに、嫌気が差したらしく、引きこもってるよ?」


ナイトメアがそう言うと、栄一がなっ!と声だけが響いた。


「でも、ボクでもわかるよ?ダメだよー、お兄ちゃん。」


ニヤッと笑ったナイトメアが顎に手を当てて話す。


「いくら血が繋がってないからって、妹を抱いちゃうのは。」


「なっ!!!!」


声が3つ重なった。俺、栄一、暁斗だ。


「あは?知らないと思った?ボクは茉莉花と契約した精霊だよ、茉莉花の全てを知り、代弁するものさ。」


「代弁?」


俺がそういうと、ナイトメアはニヤッとこちらに笑みを向ける。


「そうだよ。ああ、ちなみに茉莉花は、現実に帰りたくないってワガママ言うから、幸せな夢を見せてあげてるんだ。」


ナイトメアは羨ましいねぇ、と醜悪な笑みを浮かべる。


「"あれは、茉莉花が望んだんだ。"」


栄一が震えた声で、絞り出すように言葉を呟く。


「望んだぁ?まぁ、マッキーなんかで処女膜破られ、男性教師達に順に犯されたら、良い想いで濁したいよね?まぁ、ボクから言わせれば、単に妹に欲情しただけだろ?クソ兄貴。」


ナイトメアの痛烈な言葉に、栄一は違う、と呟いてる声が小さい。


「マジックだけじゃなかったのか。」


俺は怒りやら焦りやらを抑え込みながら、ナイトメアに話しかけた。


「ああ、そういや君にも同時上映してあげたね?ちなみに君には男性教師に回されてたとこはカットしたよ。茉莉花がダメってさぁ。」


やめろと叫ぶ栄一が、相当のショックとパニックになってるのが声でわかる。

向こうで暁斗が何かをしてるのが、聞こえだしたので、こっちに集中する。


「今まで俺に会ってたのは、アンタか。」


「いや、君に会ってたのは茉莉花本人だよ。加害者や教師のやつらに、素敵な悪夢を上映してあげたのはボクだけどね。」


ナイトメアは妙に優しげに笑った。


「茉莉花はこの5年間、ボクの見せた幸せな夢に漂う中で、昔の愛しい記憶を思い出したんだ。」


ゆっくりと歩き出しながら、声色は優しく甘く聞こえた。


「茉莉花からお願いされたら、拒めないからね。デートはどうだった?楽しかったろ?」


「感謝する気はないが。」


「あは、君も素直じゃないねぇ。あっちのお兄ちゃんも事実をねじ曲げちゃう位に素直じゃないからねぇ。」


ふと見上げたような仕草を見せたナイトメア。


「あっちが落ち着かないみたいだから、ボクと話をしようか。」


指をならすと、テーブルと椅子が現れて、紅茶の入ったカップが2つ置かれている。


「ああ、大丈夫。毒とかはないからね?」


「ここがアンタの領域だ、何でもできるんだから、そんな心配は無駄だろ。」


そう言いながら着席する俺に、満足そうに醜悪な笑みを浮かべるナイトメア。


「さぁ、お茶会としようか。」

まさかの続編、と思う方もいると思いますが、

世界線が一緒なだけですよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ