重なる想い 3
最終臨床試験は、難しいことはない。
茉莉花が俺の夢の中に来て、色々と試したいことがあるらしい。
「構わないぞ。」
「かなり長い時間に行う関係上に、途中で目覚めないように、麻酔医が麻酔管理を行う予定だ。」
かなり大掛かりな臨床試験になるんだな。
「なら、入院になるのか?」
「ああ、臨床試験での入院だから、費用はこっち持ちだ。」
「そりゃ、助かった。会社には数日間の有給休暇取ってあるから、延びでも多少はな。」
俺がそういうと、栄一はえっ、と固まった。
「休み取ってあるのか。」
「まぁ、彼女を探すのに時間かかるかも知れないから、取った。」
さらっと話すと、栄一はきょとんとした後、壮大に笑いだした。
「いやぁ、相変わらず、変にアクティブだな!」
「今回は純粋に、彼女に対してだからな!」
暁斗もつられて笑いだしてる。
「入院なら、とりあえず服とか諸々の支度して戻ってくるわ。」
そう言って立ち上がった後に、アッと思い出して栄一に向き直る。
「そうだ、会いに行っていいか?」
「茉莉花にか?今は話せないぞ?」
「まぁ、ちゃんと会っておきたい。」
茉莉花が眠っている一般病棟に向かう。
暁斗が案内役を買って出たので、一緒に歩いている。
「ここだ。」
ガラガラとドアがスライドする。
そこには静かに横たわる、彼女の姿だった。
さらさらとカーテンが揺れ、心電図や呼吸器の電子音が聞こえる。
「やぁ、茉莉花。」
暁斗がまるで起きてるかのように、話しかけている。
「君の想い人が来たよ。」
そう言った辺りで、一瞬だけ心電図が揺れたように見えた。
「大丈夫、君はそのままでいいんだ。」
暁斗の顔は見えないが、声でわかる。
やっぱりこいつ、茉莉花が好きなんだ。
しかも、現在進行形で。
「じゃ、俺は帰るわ。」
暁斗はあっさりと俺の横を通りすぎていった。
病室を出ようとした際に、
「また明日な、お二人さん。」
と声をかけて去っていった。
俺は息を飲んだ後、そっと近づいた。
「やっと、会えた。」
呟きは聞こえているのだろうか。
ベッドに横たわる彼女は答えない。
顔を見ると、酸素マスクをしているからわかりづらいが、夢の中で会う彼女よりも、細く大人びていた。
ただ、寝顔すら愛らしくてたまらなかった。
「まぁ、その、話はまた後でしようか。」
「今夜、夢で会えますか?」
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