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重なる想い 2

「後は、そうだな。」


俺は思考を巡らせながら、ちらりと栄一の顔を見る。


「さっきお前がそそのかした、って話だが。」


「暁斗の言うとおりだ。」


一呼吸おいて、後悔の溜め息をもらす栄一。


「確かに茉莉花にも、復讐を望んでたが、それは加害者だけだった。」


栄一はひどく冷めた目付きになっていく。


「あいつが苦しみ、死を選ばざるをえなかったのは、加害者だけのせいじゃない。本来、生徒を守るべき教師だって、教育委員会もだ。茉莉花を追い詰めたのは変わらない。」


それはひどく歪んでいる考えだったが、あいつは分かってるんだ。

茉莉花を守れなかった、先に大人になった自分自身への罰も含めてる。


「だいしゅきな茉莉花たんの為に奮闘したが、所詮出来ることは限られてたもんな?」


「それはお前もだろうがッ!」


からかわれた栄一が、暁斗に怒号をあげた。だが、純粋に怒っているのではなく、からかいだと分かってるようだ。


「それで、夢で?」


「ああ。茉莉花の為、とかいいつつ、結局は自分が満足できる研究結果と、復讐心を満たしたいだけだったんだな。」


栄一ははぁ、と深いため息をこぼした。暁斗は少しほっとしたような笑みで、紅茶を飲む。


「で、茉莉花が最後に言ってた、多分もうって。」


「ああ、俺が会うのをやめろと言ったからだ。それに…………。」


机をみて、栄一は笑った。


「"ドリームダイバー"の臨床試験から茉莉花を外すつもりだ。」


「それじゃ。」


「【夢の死神】はいなくなる。」

栄一はもっと早くすべきだったな、と呟いた。


もう彼女は、【夢の死神】でなくなる。

自身を苦しめた加害者たちへの復讐は終わるのだと、思った時に俺はアッと気づいた。


「そうだ。加害者たちは、何故、昏睡状態が続いてるんだ?」


「それなんだが、加害者たちが何故眠り続けてるのか、原因不明なんだ。」


「茉莉花がやってるんじゃないのか?」


「いや、無関係のはずだ。茉莉花にはそんな力はない。」


てっきり茉莉花が加害者たちを悪夢に閉じ込めてるのだと思っていた。


「じゃ、本当にわからないのか。」


「ああ。ただ今度、うちの病院にちょっと変わったやつが来るんだ。そいつなら何とかなるかもな。」


「変わったやつ?」


「あー、これ以上は機密情報だから言えない。が、もしかしたら、この病院の意識不明の患者がいなくなるかもな。」


衝撃的な発言に、俺は思わずハァ?っと声をあげた。

栄一はまぁ、そうなるよな。と笑っている。


「でも、そいつが頑張れば、加害者だけじゃなく、茉莉花も意識を取り戻すんだ。」


「あ、そうか!」


茉莉花も意識不明の患者なんだから、対象になるのか。


「いつなんだ?」


「明後日。」


「近いな。そうか、良かった。」


心の底からほっとすると、栄一は急に真剣な顔つきに戻る。


「それで、桔梗。」


「ああ、なんだ?」


「頼みがある。」


その真剣な顔つきは、近くに座る暁斗もしていた。


「茉莉花の最終臨床試験まで、俺の研究に付き合ってくれないか?」


「あ、ああ。出来ることは手伝うぞ、親友と彼女の為だからな。」


俺がそういうと、栄一と暁斗がニヤリ、と同時に笑った。

あまりにもタイミングがあった上に、不気味に笑う二人に、背筋に悪寒が走る。


「いやぁ、良かった!持つべきは親友だな!なぁ、暁斗。」


「ま、待て!内容話せよ!付き合うんだから、それ位は権利があるだろ!」


栄一の笑みがますます不気味になっていく。

ちょ、ちょっと待て!マジで何をさせる気なんだ!?


「乗り気で助かるなぁ、じゃ、話をしようか?」

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