勿忘草の香り 3
子供の頃の記憶があやふやなことがおおい。
何故、あやふやなのかは解らないが、そのせいもあって、学生時代の友人はかなり少ない。
その中でも、栄一だけはちがった。
あいつといたら、なんでも楽しかった。
いつしか、それ以外は気にしなくなってた。
「はぁ、なんで負けたかな。」
「ん?どういう意味だよ。」
「独り言だ。それより、話を戻すぞ。」
暁斗は3本目のタバコに火をつけた。
「操者が装置で手助けしながら、彼女は次々に夢に入りこんでは、イジメの体験だけじゃない、ホラー映画さながらの悪夢を見せ続けた。」
写真を見る。
幼少時代の兄妹の楽しげな雰囲気からは、そんな想像もつかない。
「その対象は、イジメの加害者から、親へ。そして、教師や教育委員会にまで広がっていった。」
「教師もか?」
「当時はイジメ発覚から数ヶ月は、揉み消されてたらしい。その恨みもあったんだろうな。」
この辺の事情は詳しくないからな、と暁斗は呟いた。
「そして、この影響で加害者の親、教師達から噂が広まり、神代女子高校は教師、生徒不足で敢えなく閉校となったわけだ。」
その影響だったんだ。確かにSNSにはイジメの悪評が原因かも、とは書いてあったな。
「で、一通り復讐した彼女は、ふとアンタを思い出した。会いたくなったんだろうな、同じ手で会いに行った。」
それがあの夕日の学校だったんだな。
あのときの懐かしさは、幼少時代の彼女の面影を感じたからだったんだ。
「彼女はまた会えたこともそうだが、前と変わらずに接してくれたことを喜んでたよ。」
「質問なんだが。」
ふと沸き上がった疑問を、暁斗に問いかける。
「ん?なんだ?」
「まるで直接、本人から聞いたみたいな話に聞こえるんだが。」
「ああ、そりゃ本人から聞いてるからな。」
ん??
「彼女は未だに意識不明のままなんだよな?」
「ああ。ん?ああ!そこの説明もいるのか。」
暁斗は少し悩んだ末に、俺を見た。
「まぁ、なんだ。その疑問は後で答える。」
「なんだよ、煮え切らないな。」
「話の続きを聞けばわかる。」
暁斗は話を進める。
彼女は俺との逢瀬が楽しみになっていたようだった。しかし、それも全て操者には知られてしまう。
「操者はかなり焦っただろうな。なんせ、」
「妹が、自分の親友に恋してたのを知って。」




