踏み出した気持ちを 3
実家に帰ると、鍵がかかっていた。
そうか、お袋達は仕事だったか。
持ってきた鍵を使って、中に入る。
真っ直ぐ俺の部屋に行くと、久しぶりに入るためにちょっと埃っぽかった。
「ぐえ、換気するか。」
窓を開けて、部屋を確認する。
「違う。」
夢で見た部屋と、今の部屋の家具や荷物がやっぱり違った。
薄々気づいていたけど、夢で見た部屋は10年前より以前の俺の部屋だ。
並んでいた本棚が小さい頃に流行った小説やマンガで、古い気がしていた。
「10年前、10年前。」
必死に思い出す、高校3年の頃は何をしていたか。
「くっそ、栄一と遊んだこと位しか出てこねぇ。」
今はまだマシだが、高校時代はさらにコミュ力なさすぎて、栄一以外と遊んだ記憶がない。
「空気変わったかな、なら閉めて次のところに。」
窓を閉めて、カーテンを閉める。
手がかりがなくなってきたことの焦りか、足元に落ちてた写真を踏んづける。
「あ、やべ。」
拾い上げて見ていたら、それは両親と撮った高校の卒業写真だ。ただ、その中に栄一が照れ臭そうに混じってる。
「確か、あいつんちの両親、来なかったんだよな。」
なんで来なかったんだっけな。
「あ。」
思い出した。
確か、高校時代に両親が離婚したんだったな。
片親になったら、休みの都合がつかないって、結局両親が来なかったんだよな。
「で、代わりにうちの親が、写真だけでもって一緒に撮ったんだ。」
お袋はあいつんちの事情は知ってたな。
だから、うちに遊びに来ては、夕飯食べてけとか泊まってけ、なんてしっちゅうだったな。
写真を机の上に戻してから、部屋を後にする。
しっかり戸締まりしてから、次のところへ向かう。
「後はもう神代総合病院しかないか。」




