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踏み出した気持ちを 1
「っあ。」
ふっと視界が切り替わり、天井が見えた。
目が覚めてしまった。
聞けなかった、彼女の言葉。
多分もう、ってなんだ?
「会えない、って意味なのか?」
あっけなく終わってしまったのか?
彼女は約束を守ってくれたのに。
名前もまだ聞いてないし、ゲーム以外の趣味も聞いてないし、甘味以外の好きなものも聞いてない。
知ってるのは、笑顔だけ。
泣いてたり、楽しんだりしたあの笑顔だけだ。
「ヤバいな。」
無理だった。
色々考えた。
彼女が【夢の死神】で、関わるなと姿なき誰かに警告されてる。
だから、もう彼女が夢に現れなくなったら、俺はある意味、助かったんだと思う。
でも、それは嬉しくなんかなかった。
もっと彼女と話したい、遊びたい。
「本当に幸せな笑顔が見たい。」
そう願ったら、それ以外考えられなくなった。
「あ、課長。すみません、急なんですが今日から数日ほど休みたいのですが。」
手短に嘘の休みを取り、俺は目立たない私服を選ぶ。
軽く朝食を済ませ、かばんに色々詰め込んで、家を出た。
さぁ、彼女を探しにいこうか。




