忘れたくない夢
気づけば、夕日の差し掛かった、俺の部屋。
今の家じゃなく、実家の部屋だった。
「はやく!はやく!」
待ちきれない様子で彼女が隣にいた。
手元のコントローラーを握りしめて、楽しげにしていた。
「はいはい。操作方法は、簡単だから。」
ゲームが始まると、やはり彼女は楽しく遊んでいる。俺もつられて騒ぐ。
二人でダンジョンに潜ったりして、敵を倒して宝を持ち帰るゲーム。
俺が前衛で、彼女が後衛。
最初は操作がおぼつかないが、徐々に慣れてきて、ガンガンとダンジョンを回る。
宝も集まるし、彼女のキャラもレベルが上がる。
「お、レアがでたね。」
「ホント!?」
出てきたアイテムは"勿忘草の花の冠"
効果はレベルアップ時にスキルを一つ、違うスキルに振り替えができる。
そう説明すると、へぇっと彼女が呟いた。
「花言葉が好きじゃないかな。」
「ああ、"わたしをわすれないで"ってやつ?」
「忘れられたら、悲しいから。」
そう彼女は寂しげに笑った。
「俺は忘れないよ。」
「そう?」
「忘れなかったから、今日会えた。」
ふと止まる空気。彼女はじわっと涙を見せる。
「ごめん!泣かせるつもりじゃ!」
「ち、違うの!」
涙をふいて再び顔を上げた彼女は笑っていた。
「嬉しい。」
「俺も会えて嬉しい。」
しばらくゲームをしてると、
「そろそろ時間だよ?」
目覚める時間を彼女が教えてくれた。
「あのさ。」
「うん。」
「また、会いたい。」
「私も。でも、多分もう。」




