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23止まったエキサイト


「……あ、リューク!」


ミーナは輝く笑みを浮かべてリュークの元へ駆け寄る。


脱走はお手のものとなっていて、慌てて逃げないといけない、ということはなくなっていた。


「今日は!どうしましょう?」


小首を傾げる。

小動物のような愛らしい仕草で、リュークに全く警戒心を持っていないことは明らかだった。


「あのさ」


片言の話し方になる。

なんとか自然にと笑顔で言い切る。


「今日、ミーナの親に会えないかな?」


やはり疑わしかったかと焦る。

ミーナの目が大きく見開き、くちをぽかーんと開いてリュークを凝視したからだ。


リールはこれで大丈夫だと言ったが、全然大丈夫ではない。


「いや、ミーナ。ええっとな……」


「……よ」


「え?」


ミーナが俯いてしまった。


本格的にまずいと片膝を地面につけて覗きこむ。

髪で顔が隠れて見えない。


「ミーナ?」


やっと顔を上げてくれた……と安心したとたん、今度はリュークの目が見開かれた。


ミーナは目を少し潤ませて、顔を真っ赤にしていたのだ。


「いいよ。うん、行こう」


リュークは訳がわからないままただ頷くしかなかった。



最近この、胸が苦しくなって、首から頬にかけてが熱くなる症状を気にしないようにしている。


ゼナルは気にしなくていいと言ったし、

自分の勘だが、これは邪魔だと思う。


この症状のせいでミーナの前で

上手く笑えず、

上手く話せず、

頭が回らず、

別れが惜しい。


そしてこれは考えれば考えるほど抜け出せなくなる。

他のことを考えられなくなる。


邪魔だ。

とてつもなく邪魔だ。





ミーナの手に引かれ、リュークは初めて『シストリアン』へと足を踏み入れた。



感覚的には、


どこだここ?


というような感じだった。



壁一枚向こう側。

こんなに近いのに、今まで自分が暮らしていた所が嘘のように遠く感じる。



地面は細かく整備されている。

ぎっしりと滑らかで白く輝く石畳。

土が見える所がない。


家はどれもこれも大きい。

レンガ、シルバー、金色もある。


通行人は華美なドレスやタキシードを身につけ、指や手首、首には宝石がキラキラと輝いている。

子供でさえ高そうな服を身につけて遊んでいる。



ここが『シストリアン』……



立ち尽くしているリュークの手が握られる。


「行こっ」


二人は特別大きな建物に向かって走る。






リールの弾ける笑顔に、

リュークの心拍数は上がらなかった。




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