21緊張のプロミス
リュークとミーナは商店街をぶらぶらと歩いた。
人は少ないが、やはり商品は高価で繊細な物が多い。
店員も上品に品を勧める。
ミーナは一つ一つの店を本当に楽しそうに見てまわっている。
店員と語り、商品を手に取り、お礼を言って次の店へ行く。
リュークは少し後ろからその様子を見る。
ミーナはたまにリュークの方を見て話しかけ、はっとしたと思うと顔を赤くしてまた店員と話始める。
リュークは自身の異変を感じていた。
ミーナと会ってから調子がおかしい。
先程から話しかけられるたび時々鼓動が速くなり、視線を避けられるたびになんだか苦しくなる。
これは一体何なのか?
欠片も答えを出せずに内心戸惑うことしか出来ない。
商店街を一通り見てまわって、椅子や机がたくさん置かれている広場のような所へ来た。
「……わ、私!何か食べるものを持ってくる!」
「いや、そんなの悪い……」
「いいの!付き合ってくれたお礼!」
「ちょ、まっ……」
引き留める暇もなく、一目散に駆けて行ってしまった。
まあ、好都合だ。
「どうだった、ゼナル」
リュークの背後、建物の陰に隠れていたゼナルがリュークの傍へ駆け寄る。
ゼナルはリールから言われたことをそのまま伝えた。
「そうか……予想通りだな。俺は続いてミーナに着く。…………ところでさ、俺ちょっと調子が悪いみたいなんだ」
「!?それは一体どういう症状なんですか!?」
ゼナルは一気に冷静さを失ってリュークの肩を掴んで揺する。
ゼナルの過保護さにちょっと引きながら言った。
「なんかさ……」
リュークの症状を聞いた後、ゼナルは落ち着きを取り戻して淡々と言った。
「それは大丈夫です」
訳がわからずもう一度確かめても、
「無視してもらって構いません」
ゼナルはそう言って駆けていった。
「リューク!どちらがいいですか?」
いつの間にかミーナが戻ってきて、片方の手にサンドイッチ、もう一方にホットドッグを持ってリュークを見上げていた。
まただ……
「ありがとう……ミーナが好きな方選んで」
建物の陰から様子を見ていたゼナルの表情が険しくなったのを、リュークは知らない。
リールの方へ連絡が回ったと伝わるのはおよそ五日後になるようだ。
それまでリュークはミーナを監視かつ信頼獲得。
ゼナルは隠れて二人を監視。
リュークはミーナと明日からも共に過ごすことを約束せねばならなかった。
夕刻。
暗くなる前に帰らなければいけないと事前に話していたため、そろそろだと門へ向かう。
しかし……どーやって明日から会えばいいんだ?
リールは誘い方まで教えてくれなかった。
もちろんリュークは女性を救ったことはあっても誘ったことはない。
どーすればいいのかと迷いながら歩くと、とうとう門の前に着いてしまった。
「今日は……ありがとう」
周りに兵士の姿は見えない。
向かい合ってお礼を言ったミーナは動かない。未だにリュークの方を向いて俯いている。
誘い方を考えていたリュークがやっとそれに気付き、声をかけようとしたとき
「あの!」
ぱっと顔を上げてリュークを見つめる。
ミーナの顔は夕日に照らされて赤く染まって見える。
「明日も……ここで待っていてもらえませんか?あ、……待ってて?」
誘われてしまった。
しかしもうリュークの頭にそんなことは入っていなかった。
思わず見惚れる。
少し潤んだ瞳が、
照らされて輝く髪が、
赤く染まる頬が、
彼女の上目遣いの様子が……
「……了解」
陰で見守るゼナルの不安は募るばかりだ。
それから五日、二人は会い続けた。




